マンションの宅配ボックスの使い方を知りたい!種類ごとの特徴を解説

不動産を知りたい

「不在時でも荷物を受け取りたい」「宅配ボックスはどんな風に使うの?」

宅配ボックスとは、宅配業者が荷物を届けることのできる鍵付き設備のことです。

受取人が不在の時でもスムーズに荷物の受け取りができるので、自宅にいる時間帯が不規則な方や、通販をよく利用される方にとって魅力のある設備といえるでしょう。

国土交通省は、宅配ボックスの今後の需要を見込み、設置に関して区分所有者が決議する際、出席者の「過半数」の賛成があれば可能だと明記しました。

宅配ボックスの設置を4分の3の賛成が必要な「特別決議」ではなく、合意形式のハードルが低い「普通決議」とすることで、トラック運転手の不足が懸念される「2024年問題(※1)」に対応するためです。

この記事では、マンションの宅配ボックスの種類や使い方や、メリット・デメリットについて解説します。

2024年問題(※1):2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制により輸送能力が不足する可能性が懸念されている

参考:宅配ボックス設置部分の容積率規制の適用を明確化します!(国土交通省)

マンションの宅配ボックスの種類と特徴

宅配ボックスは届いた荷物を一時的に安全に置いておける、ロッカーのような役割を果たすものです。
機器の特徴により、宅配ロッカーやスマートボックスなどとも呼ばれ、マンションの共用部やオフィス、駅構内などに設置されます。

宅配ボックスとして採用されているのは、主に以下の2種類です。

機械式:宅配会社により設定された暗証番号をボタンやダイヤルで回して合わせることにより解錠されるタイプ

電気式:宅配会社により設定された暗証番号をタッチパネルにより操作して解錠するタイプ

また、近年では、ICカードやQRコードなどをセンサーで読み取るIoT宅配ボックスを活用したマンションも増加傾向にあります。

この項では、機械式の宅配ボックスと電気式の宅配ボックス、IoT宅配ボックスの3種類についてその特徴を解説します。

機械式の宅配ボックス

機械式の宅配ボックスはダイヤル錠や、プッシュボタン錠などで施錠するシンプルなタイプです。
宅配業者によって設定された暗証番号を入力すると、宅配ボックスに入れられた荷物を受け取れる仕組みになっています。

機械式は最も古いタイプの宅配ボックスで、普及率が一番高い種類です。

電気式の宅配ボックス

電気式の宅配ボックスは、コンピューターが電気錠の制御管理をしているボックスです。
一般的に、操作パネルを使用して荷物を受け取るものを電気式の宅配ボックスといいます。

「事前に決められた暗証番号を操作パネルで入力する」「入居時に渡されるカードキーを差し込む」「非接触型の鍵をかざす」などの操作で解錠し、荷物を取り出します。

電気式は利用履歴や荷物が届けられた日時がシステムに記録されるため、機械式に比べてセキュリティ面で優れているといえるでしょう。

スマートフォン連携型のIoT宅配ボックス

スマートフォン連携型のIoT宅配ボックスは、ネットワークを使用した電気式のもので、従来の電気式にはない利便性とセキュリティを兼ね備えたものです。

宅配ボックスに荷物が届くと情報がスマートフォンアプリやメールに通知が届き、また、荷物の取り出しが完了した際にもスマートフォンに通知が届きます。

近年では、戸建住宅に採用されることの多いIoT宅配ボックスですが、マンションにも設置されているケースがあります

マンションの宅配ボックスを使うメリット

在宅・不在を問わずに荷物を受け取れる宅配ボックス。
再配達の手配や、荷物が届くまで外出せずに家で待たなければならないといった煩わしさもありません。

また、宅配業者と対面しなくても受けとれるため、感染症対策やセキュリティ面でも安心といえます。

この項では、マンションの宅配ボックスを使うメリットを解説します。

不在時でも荷物の受け取りが可能

不在時でも荷物が受け取れるという点が、宅配ボックスのもっとも大きなメリットです。

宅配ボックスがなければ、荷物の再配達の手配が必要になったり、再配達の荷物が届くまで家で待機していたりしなければなりません。

宅配ボックスがあれば、好きなタイミングで荷物が受け取れます。

自宅にいる時間が不規則な方や、自宅にいた場合でも、幼い子がいてそのお世話のために受け取りの対応ができない方などは、マンションに宅配ボックスがあると大変助かるでしょう。

荷物の安全性や防犯性を高められる

宅配ボックスで荷物を受け取るためには、暗証番号やカードキーなどが必要となります。
そのため、玄関先などに荷物が配達されるよりも盗難の被害を防ぎやすくなります。

また、荷物を対面で受けとる必要がないため、配達員を装った不審者やセールスマンなどと対峙する心配もありません。
防犯面を気にする人や、一人暮らしの女性などは宅配ボックスがあると安心でしょう。

対面不要でプライバシーが保護できる

対面しなくても荷物を受け取れることは、プライバシーの保護という点でも大きなメリットがあります。

女性の方だと、荷物が届いたときに化粧をしていなかったり、化粧をしている途中だったりすると、対応に慌ててしまうこともあるでしょう。

休日でリラックスした部屋着でいたために、気まずい思いをした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

宅配ボックスがあれば玄関先で顔をだして荷物を受け取る必要が無いので、宅配時に自分がどのように過ごしていても関係なく、プライバシーが守られます。

マンションの宅配ボックスの基本的な使い方

マンションの宅配ボックスとして、機械式のもの、電気式のもの、IoTタイプのものがあることは前述した通りです。

この項では、マンションの宅配ボックスの基本的な使い方を以下の3種類、解説します。

機械式の宅配ボックスの場合

機械式は電気を用いない、シンプルな方法で施錠する宅配ボックスです。

使い方は以下のような手順です。

1.配達員により宅配ボックスに荷物が入れられ、暗証番号が設定される
2.居住者のポストに暗証番号が記載された不在連絡票が投函される
3.居住者が不在連絡票に記載された暗証番号で宅配ボックスを解錠
4.ボックスから荷物を取りだす

暗証番号は、配達員が荷物を宅配ボックスに入れる際に毎回設定するもので、荷物ごとに毎回変わります。

特別な鍵が必要となることもないため、シンプルで簡単に利用できるシステムといえるでしょう。

ただし、押印が必要となる荷物の場合は、宅配会社から宅配ボックスの利用を断られる場合もあります。
宅配ボックスの中に印鑑を入れておいて、宅配会社の人に捺印してもらうという方法をとっているケースもあります。

電気式の宅配ボックスの場合

ダイヤル式やプッシュ式といった機械式とは異なり、電気を使用した宅配ボックスです。

1.配達員により宅配ボックスに荷物が入れられ、暗証番号が設定される
2.居住者のポストに暗証番号が記載された不在連絡票が投函される
3.居住者が部屋ごとのカードキーや操作パネルで暗証番号を入力して解錠
4.ボックスから荷物を取りだす

操作手順は機械式とほとんど同じになりますが、解錠には、部屋ごとのカードキーや操作パネルによる暗証番号入力が必要です。

また、電気式宅配ボックスには捺印機能がついているものあるので、押印が必要な荷物にも対応可能といった機械式にはないメリットがあります。

IoT宅配ボックスの場合

IoT宅配ボックスは、スマートフォンで解錠して荷物が受け取れる宅配ボックスで、オンラインでのセキュリティ管理が24時間体制でおこなわれています。

カメラ機能で録画していたり、トラブルがあったときにもすぐ対応してもらえたりするので、安心感があるでしょう。

使い方はアプリのQRコードで宅配ボックスのロックを解錠し、受け取るだけです。

1.配達員が宅配ボックスに荷物の追跡番号を読み取らせて解錠し、荷物を入れる
2.居住者が不在連絡票または、荷物が届いた旨のメールを確認
3.居住者が宅配ボックスにQRコードを読み取らせて解錠
4.ボックスから荷物を取りだす

注文したWEBショップからメールで送られてきた追跡番号をアプリが自動解析し、その追跡番号を宅配業者と自分のアプリで共有することにより配達、受取が可能となります。(次世代型宅配ボックス)

また、通常は1つの荷物が届いたら次の荷物は受け取れませんが、外出先から宅配業者と応答、会話ができるので、宅配ボックスのロックを解除し追加して入れてもらうこともできます。

集荷用のパスワードも設定できるので、荷物を発送したい場合にも対応可能です。

多彩なサービスとの連携可能な点が、IoT宅配ボックスの魅力といえます。

マンションの宅配ボックスを使用する際の注意点

宅配ボックスを利用する際には、サイズや保管期限など気をつけておかなければならない点がいくつかあります。

トラブルが起きてしまって配達員が荷物を持ち帰ることになり、結局再配達の連絡が必要となることがないようにしましょう。

この項では、マンションの宅配ボックスを使用する際の注意点を解説します。

荷物の受け取り期限に注意すること

宅配ボックスは、保管できる個数が決まっています。
届いた荷物を何日もボックス内に放置したままにしておくと、他の居住者の荷物を入れられなくなるといったトラブルが発生することも考えられます。

荷物が宅配ボックスに届けられたときは、できるだけ早めに取り出しましょう。

なお、宅配ボックスに長期間預けられたままになっている荷物は、管理組合が中身を確認できるという規定が設けられているマンションもあります。

宅配ボックスを利用する際には、荷物の受け取り期限や規定をよく確認しておきましょう。

大きい荷物は事前にサイズを確認すること

大きい荷物が配達される場合には、宅配ボックスに入るサイズかどうか事前に確認しておきましょう。

宅配ボックスの大きさには、以下のようにさまざまなサイズがあります。

・Sサイズ:縦+横+奥行きが80cm程度
・Мサイズ:Sサイズの大きさで高さが2倍程度
・Lサイズ:ゴルフバック程度のものが入る

このうち利用頻度が最も高いのは、Sサイズやそれより小さいSSサイズです。
日用品などの買い物でも、通販利用が増えていることがその理由です。

また、宅配ボックスの個数や、サイズ構成はマンションによって異なります。
Lサイズのボックスは全体の5%程度が目安とされていますので、個数としては多くありません。

大きい荷物が届くときは、サイズや個数がマンション内の宅配ボックスで間にあうものかどうかしっかり把握しておきましょう。

なお、子どもが入れるほど大きいLサイズのボックスには、万が一に備えて非常脱出用ボタンが装備されていることもあります。

マンションの管理規約やルールを守ること

マンションの宅配ボックスは、管理規約によっては荷物の保管できる期間や受け取り方法が独自に定められているケースもあるので、よく確認しておきましょう。

たとえば、保管開始から決められた日数を超過して宅配ボックスを占有したり、発送用として利用したりすることを禁止しているマンションもあります。

また、一週間のうちで預かれる荷物の最大数が決められているケースもあります。

居住者であれば入居時の書類を確認する、未入居であれば事前に不動産会社に確認するなどして規約を把握しておきましょう。

誤配送時は速やかに管理会社や配送業者に連絡すること

宅配ボックスに荷物が届いている旨が不在票に記載されているにもかかわらず、ボックスに何も入っていない場合は、速やかに管理会社や配送業者に連絡しましょう。

暗証番号が間違えて記載されていた場合には、ほかの居住者が荷物を持って帰ってしまっているかもしれません。

また、宅配業者がボックスに入れるはずの荷物を持ち帰ってしまっていたというケースも考えられます。

さらに、他の居住者の荷物が誤って宅配ボックスに入っていることもあります。

宅配ボックスに届いているはずの荷物が入っていなかったり、他の人の荷物が入っていたりした場合には、すぐに管理会社などに連絡することが重要です。

最後に

この記事では、マンションの宅配ボックスについてその特徴と基本的な使い方について解説しました。

不在時や、忙しくて手が離せないときでも荷物を配達してもらえる宅配ボックス。

大変便利といえますが、どんな荷物でも届けてもらえるわけではありません。

代金引換や支払いが必要な荷物や貴重品、重量制限を超える荷物などは宅配ボックスに預けられません。

冷凍・冷蔵が必要な食材は宅配ボックスに預けられないことが多いので、ネットスーパーなどを利用する際は注意が必要です。

マンションに設置されているけれど、まだ使ってみたことがない、あるいは宅配ボックスが設置されたマンションの購入を考えているという方は、ぜひこの記事を参考に宅配ボックスを活用してみてください。

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引士 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

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