「仕事は変えずに週末だけ地方に移住したい」「将来的に田舎暮らしをしたいが今移住をすることはできないので週末だけ田舎暮らしができないだろうか」と週末移住について興味がある方は増えています。
国土交通省が2023年3月に実施した調査によると、東京圏に在住する20歳代の44.8%の人が地方移住に関心があると答えました。また、東京の移住相談件数は増加しており、地方移住を検討している人は増加傾向にあり、その最初の一歩として週末移住をするという方が増えているのです。
この記事では週末移住のメリットやデメリットのほか、週末移住をするためのポイントについて詳しく解説をしていきます。田舎暮らしに憧れて将来住みたいと考えている方、週末だけ田舎でゆっくり暮らしたいという方は参考になると思いますので是非最後までお読みください。
目次
週末移住とは、週末のみ別の場所に移住する生活スタイルを指す
週末移住はデュアルライフ(二拠点生活)とも呼ばれていて、都会と田舎、といった異なった生活拠点を2つ持っている状態のことです。
田舎への移住というと、ひと昔前だと現役を引退した世代が「田舎暮らし」を満喫し、第二の人生を楽しむというイメージがありましたが、現代ではリモートワークの推進でどこにいても仕事ができるようになったことや、フリーランスとして仕事をする人が増えたこともあり、20代~30代の若い世代にも注目されるようになりました。
週末移住のスタイルは、平日に都会で仕事をし、週末や休日だけ田舎で暮らすといったケースが一般的です。ここでは、週末移住の特徴について解説していきます。
週末移住でリフレッシュする人が増えている
生活拠点は今のまま、週末だけ環境の違う場所でリフレッシュする人が増えてきています。
人が多く賑やかな都会を離れ田舎に足を運べば、自然に触れられたり、移住先でしかできない趣味を楽しめたりと、日常とは異なる環境で充実した休日を送れます。
移動の手間はかかってしまいますが、アウトドアの趣味を楽しんだり田舎暮らしならではの生活をしたりすることでデジタルデトックスができることが、現在の情報化社会の中で魅力的なのでしょう。
また、将来田舎に移住したいと考えている方が、まずは週末だけ住んでみることで将来移住するイメージをしやすくしたり、地方移住を失敗しないためにコミュニティ作りを事前にしておくなど、準備として活用している方もいます。
週末移住はもう一つの家を構えるので旅行とは異なる
週末移住はもう一つ新しい家を構えるので、観光をするための旅行とは異なります。
スケジュールを細かく立てたり、宿を予約したりする必要もなく、自然に囲まれたもう一つの家で都心の暮らしとは生活します。都会にいては味わえないアウトドアや趣味に没頭するなど、普段の生活では味わえない時間や経験を得られるでしょう。
国や地方自治体で推奨している
週末移住は、国や自治体でも積極的に推奨している新しい暮らし方です。
地域づくりの担い手となる人材確保を目的として、都市部の人が農山漁村などの地域にも生活拠点を持つライフスタイルの推進を図っています。
一般社団法人 移住・交流推進機構による「JOINニッポン移住・交流ナビ」では、移住支援制度を調べられます。完全移住ではなく、週末移住に対しても、移住者に対して補助金を支給する自治体もでてきています。
週末移住を希望する地域に支援制度があるか、確認しておくとよいでしょう。
参考:JOINニッポン移住・交流ナビ
参考:国土交通省 全国二地域居住等促進協議会
週末移住の5つのメリット
週末移住の最大の特徴は、平日の住環境と全く異なる場所で週末を過ごせることです。転職や転校の必要もないため、今の生活を維持しつつも気軽に移住ができる点は魅力的でしょう。
週末移住では多くの人が生活の基盤は都会、週末移住は田舎といった極端に環境の異なる地域を選択します。平日は都会で働いて、土日は田舎に移住するなどの移住を行う際のメリットとデメリットは以下の通りです。
この項と次の項で、週末移住のメリットとデメリットを解説していきます。
デジタルデトックスができる
デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスとの距離を置くことでストレスの軽減をはかる取り組みのことを指します。
日常の生活から離れた自然豊かな移住先ならば、デジタル機器に触れない状態を一定期間つくるデジタルデトックスは挑戦しやすくなるでしょう。
デジタルデトックスを行うと、以下の効果があるとされています。
・睡眠の質が良くなる
・脳の疲労が回復する
・集中力が上がる
・ストレスが減る
・肩こり・頭痛が軽くなる
移住先ではスマホなどを触ってなんとなく過ごしていた時間を少しだけ減らし、自分の心と体を休ませ、回復させるための時間としてぜひ使ってみてください。
バランスよく都会と自然を感じられる
週末移住では、平日は便利で快適な空間で仕事をして、週末は自然に囲まれた中で心身ともにリフレッシュできるというどちらの利点も味わえます。
休日は仕事のことも忘れ、ゆったりとした時間を自然の中で過ごし、また精力的に仕事に取り組みたいという人には週末移住が向いているでしょう。
趣味やアクティビティの充実
移住先でしかできない趣味や、自然に囲まれているがゆえに行えるアクティビティを楽しめます。登山、トレッキング、釣りや農業など今まで経験してこなかったものに興味が湧くこともあるかもしれません。
また、地域の伝統的な文化に触れ、踊りや歌、陶芸など、これまでそういったことに縁のなかった人が魅了され、新しい趣味のきっかけとなることもあるでしょう。
都会にいるだけでは知り得なかった、新たな文化との出会いやアクティビティの充実は週末移住のメリットといえます。
本格的に移住する準備になる
本格的に移住する前にまずは週末だけ移住することで、自分に合った移住先かどうか確認ができます。
週末だけでも、移住先に住むことにより以下のことが把握できるでしょう。
・自分が楽しめるアクティビティはあるか
・交通利便性は許容範囲か
・物価や水道光熱費が極端に高くないか
・土地の風習や気候に抵抗はないか
・コミュニティに馴染めそうか
週末移住を行うことにより、完全に移り住む前に自分に合う土地か判断する時間がしっかりとれます。
自治体によっては、短期間だけ現地での移住生活を体験できる制度を提供していています。
令和4年度 「お試し居住・体験暮らし」に係る取組状況(集計結果)【都道府県】の結果によると47の都道府県のうち、39の都道府県がこの取り組みを行っています。
まずはこのような制度を活用して週末移住に挑戦してみるもの一つの方法でしょう。
税制優遇が受けられる
週末移住で用いる住宅の購入を検討する場合、居住用財産(セカンドハウス)として扱われるため、固定資産税や都市計画税の税制優遇が受けられます。
生活拠点、ということで日常的に利用しない保養のための別荘とは扱いが異なるのです。
ただし、税制優遇が受けられる居住用財産(セカンドハウス)として認められるためには、以下の2点のうち、ひとつに該当していなければなりません。
・最低でも月に1日以上は居住すること
・生活必需品として活用すること
※生活必需品:たとえば、自宅から職場が遠く、通勤に負担がかかりすぎるため職場の近くに住居を購入した場合、生活必需品と判断される。
住居の立地や広さ、設備によって別荘か居住用財産かが判断されることはありません。生活のために利用しているならば居住用財産として認められ、優遇税制が受けられます。
週末移住の4つのデメリット
ゆったりとした時間を過ごし、リラックスするための週末移住だったはずが、いざ始めてみると建物や庭の管理などに追われ、かえって疲労を溜め込んでしまうことがあります。
生活の場が二拠点となることから、予想していたよりも維持費や移動に費用がかかり、生活を圧迫してしまうケースもあります。
この項では、週末移住にはどのようなデメリットがあるのか、4つ解説します。
物件探しや準備に時間がかかる
週末移住を始めるためには、物件探しのほか、住み始めるための家具や生活必需品の用意もしなければなりません。
これらには時間がかかる上に、平日の仕事を続けながら準備することになるため、思うように進まないこともあるでしょう。
移動の手間や費用がかかる
移住先までは往復の移動時間と費用がかかるというデメリットがあります。あまりに遠いと移動だけで疲れてしまい、やがて行かなくなってしまうというケースもでてきます。
頻繁に長期的に通うことを考えて、移動の時間も交通費もかかりすぎない移住先を選択することをおすすめします。
二拠点の物件や生活の管理の手間がかかる
家を2つ所有することになるため、掃除や庭の整備など、手間が増えることになります。
費用の面では、二拠点の水道光熱費を負担する必要があります。さらに賃貸の場合は家賃の支払い、家を購入した場合には固定資産税などを支払わなければなりません。新しい生活のため、家具や家電をそろえる費用も必要となります。
移住のため、準備費用や家の維持費も考慮した金銭的な計画を立てておく必要があるでしょう。
地域の人やコミュニティとの関わり方が難しい
自治会の集まりや行事など、都会に比べて田舎の方が住民同士の結びつきが強い傾向にあります。
できるだけ集まりに参加し、親交を深めておいたほうがよいですが、週末移住だけでは、集まりや行事に毎回出席するのは難しいといえます。近所づきあいが苦手な人にとっては、土地に馴染むまでに時間がかかるケースもあるでしょう。
週末移住をするための4つのポイント
週末移住をはじめるにあたって、どのような点に気をつけたらよいのか、4つのポイントを解説していきます。
アクセスの良さを重視する
二拠点の生活を無理なく継続させるためには、アクセスの良さを重視しておくことが大切です。
電車の乗り換えが少なかったり、高速道路から近かったりすれば、移住先までの距離が多少遠かったとしても負担は軽減されるでしょう。
移動で疲れ切ってしまう、あるいは移動時間が長すぎて移住先で過ごす時間が少なくなってしまうといったことがないように、移住先までのアクセスの良さは、しっかりとチェックしておきましょう。
地域の安全性と生活のインフラを見極める
移住を希望する地域の安全性を確認しておきましょう。犯罪件数は多くないか、災害の危険はないか、事前に調べておくことが大切です。
ガスや電気、水道などの生活インフラも問題ないか、交通の便は許容できる範囲かどうかも確認しておきましょう。
週末だけ過ごすことを見越した物件選びをする
まず、なぜ週末にその拠点に足を運びたいのか、目的を明確にしておくことが大切です。
週末は登山やキャンプを楽しみたいのか、海でサーフィンを楽しみたいのか、目的がはっきりしていれば、そのライフスタイルに合わせた土地から探すことになります。
賃貸か購入するか選ぶ
週末移住で用いる住宅を賃貸にするか、購入するかを選択します。
賃貸の場合は、気軽に解約できる点がメリットです。
実際に住んでみたら自分には合わなかったという場合や、新鮮だった移住生活も、慣れると飽きてしまい、行くのが面倒になってしまうケースもあるようです。
購入の場合はリフォームして空間を広げたり、ペットを飼ったり、自分の理想のライフスタイルを実現しやすくなります。また、賃貸と違って購入した住宅が資産として残るというメリットもあります。退職後に売却すれば、老後の資金にも充てられるでしょう。
賃貸か購入か、どちらが自分に向いているか検討しておきましょう。
週末移住を行うまでの4つのステップ
週末移住に向けて行う4つのステップを解説します。
週末移住するエリアを決める
前述したように、週末移住でどのような休日を過ごしたいのか目的を決めてからエリアを決めましょう。
山で過ごしたいのか、海で過ごしたいのか、どういったアクティビティを自分が求めているのかによってエリアの候補が絞られてきます。
住居の選定と契約をする
住居が決まったら賃貸の契約、もしくは購入の契約を行います。
購入の場合はローンを組むこともあるでしょう。主に過ごしている住居とは別に第二の住居を購入する場合は、セカンドハウスローンが利用できます。
セカンドハウスローンは、経済的に余裕がある人が利用することを前提としているため 通常の住宅ローンに比べて金利は高く設定されています。返済計画をしっかり立てて、支払いを続けていけるか確認しておきましょう。
必要な荷物の準備をする
契約が終了したら、移住に必要な荷物の準備を始めましょう。家具や生活必需品など、移住先で不便な思いをすることが無いよう準備しておき、余裕を持って搬入できるようにしておきましょう。
今後の週末移住生活の計画を立てる
二拠点での生活となるため、生活必需品や日用品の在庫管理なども今までより煩雑になりやすいです。
週末移住を始めるにあたって、買い物のタイミングや頻度などの計画も立てておきましょう。
週末移住におすすめの地域
東京などの都市部から、週末移住を行うのにおすすめの地域を紹介します。
【長野県】
夏は湿気もなく涼しいので、過ごしやすい場所です。
アルプス山脈に囲まれ、国内でも有数の温泉地でもあります。
都内から車だと3時間、特急電車だと2時間15分ほどかかるのでやや距離はあります。
【山梨県】
富士山をはじめ、八ヶ岳や南アルプスなどといった雄大な山々がそびえ、四季折々の自然が楽しめます。
日照時間が日本一長いこともあり、果物の生産が盛んです。
中央線特急を使えば都心部から1~2時間程度。高速バスや車でも2時間程度で通えます。
【静岡県】
年間の気温差が少なく、気候が穏やか。富士山や伊豆、熱海など自然豊かな観光地が多いです。
東海道新幹線が通っていることから、東京、大阪、名古屋に2時間程度でアクセスできます。
【茨城県】
霞ヶ浦や北浦等などの湖沼や筑波山、八溝山等の山野もあり、関東圏でも有数の自然に囲まれたエリア。
南西部は都内から1時間程度でアクセス可能です。常磐自動車道や北関東自動車道などの高速道路も走っているため、車でのアクセスも良好です。
さいごに
今回は週末移住のメリット、デメリットと週末移住をするためのポイントを解説しました。
週末移住は今の生活を維持しつつ、人生を楽しむための移住体験ができることが大きな特徴といえます。
これから地方移住を考える人に役立つ情報を発信している地方移住のサイトもあります。
東京圏から地方へ移住した人のインタビューや地方移住に役立つ情報が載っているため、週末移住を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
参考:内閣官房・内閣総合サイト地方創生「いいかも地方暮らし|初めての移住応援サイト
<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。