ホームステージングとは?3つの方法と得られる効果・注意点を解説

不動産を知りたい

「ホームステージングってなに?」「家の売却時に高く売る方法や効果を知りたい」
など、近年注目を集めているホームステージングについて知りたいと思っている方もいらっしゃるでしょう。

ホームステージングとは、売却を予定している物件を家具やインテリアでコーディネートし、物件を魅力的に演出する手法のことです。

1970年代にアメリカで始まり、現在では欧米で一般的に行われています。日本でも2000年代ごろから導入がされるようになり、不動産価値を高める上でも注目されているサービスです。

この記事では、ホームステージングの方法や得られる効果、費用相場などについて解説します。
家を高く売りたいと考えている方や短い期間で家を売却したい方は、ぜひ参考にしてください。

ホームステージングとは「家の売却時に部屋を飾り付けて演出すること」を指す

ホームステージングとは、家具、照明、小物などで室内を装飾し、モデルルームのように部屋を演出することです。

家の内装を飾り付ける目的は、物件をより魅力的に見せることにあります。センスのよい小物や家具を適した配置に並べ、物件の印象を良くすることで内見者の増加や高値での売却を目指すサービスです。

一般財団法人ホームステージング協会が実施した調査では、ホームステージングの効果について「非常に効果があった」「少し効果があった」と回答した人が90%に達しています。

演出により「こんな家に住んでみたい」と思ってもらえる人の数が増えれば、内見希望者の数の増加が見込めるのです。

この項では、ホームステージングがいま注目を集めている理由、ホームステージングの費用相場について解説していきます。

参考:ホームステージング白書2022(一般社団法人ホームステージング協会)

ホームステージングはなぜ注目を集めているのか

ホームステージングが注目を集めている理由として、まず、中古マンションの成約件数や新規登録が増えていることがあげられます。

株式会社不動産経済研究所によると、2023年度の首都圏における新築マンションの販売戸数は2万6,886戸となっています。

これに対して、公益財団法人東日本不動産流通機構によると、中古マンションの成約件数は3万5987件であり、地域にもよりますが中古マンションが新築マンションの成約件数を上回っている状況です。

中古物件市場が活発であれば、中古物件を魅力的に演出するホームステージングは集客や早期売買のために活用される機会が増えます。

さらに、実際に物件を見に行かなくてもWEB上でさまざまな物件を閲覧できるようになったことも、ホームステージングに注目が集まる理由のひとつです。

WEB上でホームステージングされた物件が目にとまり、良い印象を持ってもらえば内覧にきてもらえる可能性が上がります。

このような理由で、ホームステージングに注目が集まっているのです。

参考:全国 新築分譲マンション市場動向(2023度)(株式会社不動産研究)
参考:首都圏不動産流通市場の動向(2023度)(公益財団法人東日本不動産流通機)

ホームステージングにかかる費用相場

ホームステージングをどのような方法によって行うかによって費用は異なります。

ホームステージングの専門業者に依頼をする場合は、部屋の大きさや家具をレンタルする期間によっても変わりますが、10万~40万ほどかかると考えておいた方がよいでしょう。

値段は高額となりますが、ホームステージングのプロに依頼すれば、時間も手間もかからずモデルルームのようにコーディネートされた部屋が手に入ります。

ご自身でホームステージングをおこなう場合は、数千円程度~おこなえるケースもあるので費用は抑えられるでしょう。

また、近年ではVR機能を使ってCGによる家具の配置をおこなうバーチャルホームステージングという方法もあります。この方法では実際に家具を借りる必要がないため、費用も抑えられます。

ただし、画像1枚につき一万円程度~費用が発生するので、枚数が増えれば増えるほど金額が大きくなる点には注意が必要です。

ホームステージングを行う3つの方法

住まいへの具体的なイメージや、物件へ好印象を持ってもらうために、ホームステージングはどのようにしておこなったらよいのでしょうか。

専門会社に依頼するのか、自分でおこなうのか、方法によって費用や手間が変わってきます。
ここでは3つの方法を解説します。

不動産会社や専門業者に依頼する

ホームステージングは、不動産会社に相談して依頼するケースや、直接専門業者に依頼するケースがあります。

最近では、不動産会社の営業担当者がホームステージャーの資格を取得して、不動産会社自体がホームステージングを手掛けるケースもあります。

専門業者に依頼する場合は、不動産会社を介して手配できるケースが多いので、売却の仲介依頼した際に不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

インテリアを選ぶことから、搬入、設置まですべてを請け負ってもらえるので、手間がかかりません。家具や小物をレンタルしてくれる業者もあります。

費用は業者によって異なるため一概には言えませんが、10万~40万円程度かかります。高額となる点がデメリットではありますが、物件の魅力を最大限引き出せるようにコーディネートしてもらえるので、検討してみてもよいでしょう。

さらに居住中の物件をホームステージングしたい場合、主要なスペースを片付けた後にモデルルームのように飾り付けをおこなってくれるところもあります。

プロによる写真撮影や、荷物を預かってくれるといったオプションがつけられる場合もあります。

居住中ゆえにどうしてもにじみ出てしまう生活感を抑えながら、専門のスタッフが物件の魅力を引き出す演出をしてくれるのです。

バーチャルホームステージングを活用する

バーチャルホームステージングを活用するという方法もあります。

バーチャルホームステージングとは、バーチャル・リアリティ(VR)機能を使い、360度のVR写真に、CG加工で家具や照明、小物などを配置する方法です。

家具のレンタル代や、運搬費がかからないため、専門業者に依頼してホームステージングをするよりコストを抑えられます。

居住中の場合でも、CGによって家具を消せることから配置を変える必要がないので、気軽にホームステージングが行えるでしょう。
ただし、画像の加工作業の件数が多くなると金額も高くなる点に注意が必要です。

実際の家具を配置する方法と映像技術を利用した方法の特徴を理解した上で、バーチャルホームステージングを活用することをおすすめします。

家具や装飾の配置を自分で行う

家具や装飾の配置を自分で行えば、思い通りのホームステージングができます。

ホームステージングにかかる費用も抑えられるでしょう。

家具をレンタルする場合は10~20万円ほどかかる可能性がありますが、自分ですべておこなえば、数千円~でもできます。

ただし、自分でおこなう場合は手間がかかるうえに、電気配線の変更や、作り付け家具といった専門技術が必要となる工事は行えないといったデメリットがあります。

さらに統一感のあるインテリアをそろえたり、物件をより魅力的みせる写真を撮ったりするのも初心者には難しい面もあります。

インテリアについては、カラーや素材などの統一感を気にかけ、使う色が増えすぎないよう気をつけましょう。

物件の広告として写真を撮影するときには、日中の自然光で室内を撮ることをおすすめします。

ホームステージングを実施することで得られる4つの効果

ホームステージングを実施すると、実際にはどのような効果が得られるのでしょうか。

ホームステージングには物件の印象を良くし、内見希望者を増やせるといった点がメリットとしてあります。
ここでは、そのほか4つの効果を解説します。

家の売却期間を短縮できる

ホームステージングをすることで、家の売却期間を短縮できるケースがあります。

WEB上やチラシなどの広告でホームステージングされた魅力的な物件を掲載すれば、興味を持ってくれる人も増えるでしょう。また、内見者の増加も期待できます。

さらに、内見で良い印象をもってもらえれば、早期売却を期待できる点もメリットです。

売却することが困難な物件、長期売却できない物件にホームステージングを実施したところ、67%が平均2ヶ月で成約となったというデータもあります。

参考:ホームステージング白書2022(一般社団法人ホームステージング協会)

相場価格よりも高く売れる可能性がある

ホームステージングをすることで、物件の価値が高まり、相場価格よりも高く売れる可能性があります。

そのためには、購入検討者に「この家に住みたい」と強く思ってもらえるよう、ホームステージングを成功させる必要があります。

ただし、ホームステージングにかけた費用を売出し価格にそのまま上乗せできない場合も多くあります。その点には注意しておきましょう。

実際の暮らしをイメージした部屋の使い方を提案できる

ホームステージングは、物件の良さと購入後の新しい生活をイメージしやすく演出したものです。気に入ってもらえれば、ホームステージングによる提案が成功したといえるでしょう。

ホームステージングでの演出が購入に繋がったという場合、気に入ったその部屋のイメージごと物件を購入したいという場合もあります。

展示してある家具が売主によってレンタルされたものだった場合などは、その家具を購入できるケースがあるので、仲介してくれた不動産会社などに問い合わせてみましょう。

物件の良さがアピールできるとともに、演出した生活イメージを気に入り、購入の決め手となるかどうか。その点がホームステージングによる効果の見せ所です。

周辺地域の類似物件との差別化ができる

周辺地域に類似物件があった場合、ホームステージングをすることにより差別化が図れます。

同じような物件であっても、センスが良い家具や小物が並び、展示場のようになっている部屋とそうでない部屋とでは、前者のほうが興味を持ってもらえる可能性があります。

ホームステージングをおこなった物件のほうを見に行ってみたい、と思わせることができるのです。

ホームステージングを利用する上での注意点

ここまではホームステージングをおこなう方法や得られる効果などを解説してきましたが、ホームステージングには注意しておきたい点もあります。

この項では、費用、時間や手間などホームステージングにおけるデメリットについて解説します。

ホームステージングにかかる費用と売却価格を比較する

ホームステージングには、早期売却や、売却の難しい物件をスムーズに売却へと導くことなどの目的があります。
目的を達成するため、ホームステージングをどこまで、どの程度費用をかけるのか確認することが大切です。

ホームステージングでは、数万円~数十万円の費用を必要とします。
そしてその費用は、売却代金に上乗せできない場合がほとんどであることは前述した通りです。

ホームステージングにかけた費用以上のメリットが見込めるか、事前によく検討しておきましょう。

必ず効果が実感できるとは限らない

ホームステージングをおこなった場合でも、その効果が必ず実感できるとは限りません。

ホームステージングをしたから早く売れたのか、高く売れたのか、といったことを正確に判断するのは困難だからです。

ただし、ホームステージングをおこなうことで問い合わせや内見の申し込みが増えたならば、売却の確率を高められたといえるでしょう。

ホームステージングは効果が実感できない可能性もあることを踏まえたうえで、実施することをおすすめします。

居住している家の場合は時間や手間がかかる

実際にまだ居住している状況で内覧をおこなう場合は、時間や手間がかかる場合があります。

普段、使いやすいように手に届くところに置いてある生活用品を片付けたり、お子さんがいる場合は子供たちの玩具や荷物も移動させたりしなければなりません。

そのため、家の中の様子がわかる棚の中も整頓されているか気を配る必要があるでしょう。

ホームステージングを実施する場合は、生活感を出さないように気をつけながら、物件の魅力を伝える演出をすることが重要です。

しかし、居住中の方で荷物が多いことなどを理由に、ホームステージングを実施できない場合もあります。

ホームステージングの専門業者のなかには、荷物を一度預かってくれるサービスをオプションでおこなっているところもあるので、必要に応じて活用するのもおすすめです。

ホームステージングは「物件の魅力を最大限に伝えて家を売却したい人」におすすめ

ホームステージングは、実際の暮らしが分かる家具や内装を配置することで、家の購入を検討している人に興味を持ってもらえます。

ホームステージングされた物件の写真からは、物件の魅力だけではなく、そこに生活するイメージまで伝えられます。

売りたい物件の魅力を最大限に伝えて売却に臨みたい、という人に、ホームステージングはおすすめできるでしょう。

最後に

ホームステージングの効果や注意点、費用などについて解説しました。

ホームステージングは内見数が増えるといった効果もありますが、費用をかけても効果が必ずしも得られるわけではないことも分かったかと思います。

近年では、家の売却だけでなく片付けや掃除などの生活に関わる知識を習得するホームステージングの需要が高まっています。毎日の暮らしを豊かにする上でも役に立つ資格といえるでしょう。

不動産会社と相談し、よりよい売却に臨めるようにこの記事を参考にホームステージングを検討してみてください。

参考:一般社団法人|日本ホームステージング協会

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引士 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

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