家の購入に必要な貯金はいくら?購入時の費用やローンの注意点を解説

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「家を買うために必要な貯金額はいくら?」「賃貸と持家のどちらに住むべきか悩んでいる」など、住居の購入を検討している方にとって貯金の目安は気になるところではないでしょうか。

マイホームを購入する際に貯金しておくことで、月々の住宅ローンの負担を減らすことや返済期間を短縮することができます。
家を購入するタイミングだけでなく、住み始めてからも維持費がかかるので早いうちから貯金をしておくことは重要です。

この記事では、家を購入するために必要な貯金額の目安や物件価格などの購入時にかかる費用について解説していきます。
貯金が少ない段階で家を購入する注意点もお伝えしていくので、今後家の購入を検討している方はぜひ最後までお読みください。

家の購入に必要な貯金額の目安は住宅の種類で異なる

家を購入する際に必要な資金は、住宅の種類や立地条件などで異なりますが、物件価格の一部を頭金として支払う場面で貯金を使用するケースが多く見かけられます。

一般的に、家を購入する際の必要な貯金の目安は物件価格の10~30%程度といわれています。家の購入時に住宅ローンを組んだ場合に支払う頭金と諸費用を合わせた金額が必要になるからです。

国土交通省の令和4年度住宅市場動向調査報告書では、住宅を購入した人の購入資金や住宅の種類などを公表しています。ここでは、住宅の一次取得者(※1)の購入資金について解説していきます。なお、注文住宅の調査地域は全国、その他の住宅は三大都市圏の調査です。

住宅の種類購入資金自己資金自己資金比率
注文住宅4,713万円941万円20.0%
分譲戸建住宅4,074万円869万円21.3%
分譲集合住宅5,048万円1,438万円28.5%
中古戸建住宅3,025万円955万円31.6%
中古集合住宅2,943万円1,302万円44.2%

住宅購入時にかかる購入資金のうち、借入金以外の用意した金額を自己資金といいます。家の購入金額に対する自己資金の割合は、新築に比べて中古住宅が高い傾向にあります。また、自己資金の割合が最も低いのは注文住宅で、全ての住宅の種類において20%を超える結果となりました。

上記の結果からも分かる通り、家を購入する際は自己資金に使用する貯金を用意しておくことが重要になります。戸建住宅やマンションなどの住宅の種類、地域によっても費用は変わりますが、平均的な購入資金や自己資金を覚えておきましょう。

※1:一次取得者…新築や中古を問わず初めて物件を購入する世帯主のこと

家を購入するために必要な費用

家を購入する際は、物件価格の他に諸費用がかかります。
戸建住宅やマンションの売り出し価格だけではなく、購入時に必要な費用全体をあらかじめ把握しておくことが大切です。

ここでは、家を購入するために必要な3つの費用と支払うタイミングについて詳しく解説していきます。

住宅購入時に支払う頭金

住宅を購入する場面では、数千万円の出費になることから一括で買う人の割合は多くありません。そのため、物件価格の一部を頭金として購入時に支払うケースが多くなります。

頭金を用意するメリットは、毎月のローンの返済額を減らせることです。また、住宅ローンの審査に頭金の有無が関係することがあるため、審査に通りやすくするためにも貯金を心がけることが大切です。

物件価格に対して支払う頭金の割合を増やすことで、借入金の返済期間を短縮することが可能です。また、借入額や借入期間を短くすることで金利負担を抑えられます。一方で、住宅購入時に貯金を過度に使用することで、生活費やローンの支払いが困難になるケースも考えられるので充分な貯金を残しておくことが大切です。

住宅購入時にかかる諸費用

住宅を購入する際は、物件価格以外にも税金や手数料などの諸費用が発生します。物件価格とは異なり、ローンの借入額に含まれない費用は現金で支払う必要があります。

家の購入にかかる費用は住宅の種類によっても異なりますが、一般的に新築の物件価格の3~5%、中古では5~10%が目安とされています。

購入する物件やローンを借り入れする期間によっても金額や内容は異なりますが、住宅購入時に必要とされる主な諸費用は以下の通りです。

項目内容
印紙税売買契約書に貼り付ける印紙代
登録免許税登記を行う人が国に納める税金
司法書士への報酬登記手続きを依頼した場合の報酬
仲介手数料不動産会社などの物件の購入費用
固定資産税1月1日時点で土地や建物を所有する人が支払う税金
不動産取得税不動産を取得した際に支払う地方税
修繕積立基金新築マンションを購入する際の費用

住宅を購入する際は、物件価格以外にもさまざまな諸費用があります。印紙税や登録免許税などの税金関係、登記を司法書士に依頼した場合の報酬などは家の購入時に支払わなければなりません。一方で、住宅の種類や新築・中古などの条件によって支払い義務が発生する項目も存在します。

また、国の制度で定められた条件を満たす場合は税金の軽減措置が適用されるケースもあります。家の購入を検討している方は、住宅の面積や築年数を考慮した上で買うタイミングを決めることをおすすめします。

住宅購入後にかかる維持費

家を購入する際は、頭金や諸費用だけでなく、購入後に必要な資金を継続的に貯金しておく必要があります。
住宅を購入してから数十年居住することを仮定すると、家のメンテナンスや修繕をしなければならない箇所が出てくることも予想されます。

マンションの場合は、毎月徴収する修繕積立金から建物の診断や修繕工事が行われることが一般的です。一方で、戸建住宅の場合は積立金として徴収されることがないため、住宅の工事やリフォームを想定した維持費を積み立てておく必要があるでしょう。

また、家族構成が変化するタイミングで部屋の改築を行うことや、老後の暮らしを支えるバリアフリー設備を導入することなども考えられます。住宅の物件価格の一部を支払う頭金や諸費用だけでなく、住宅購入後にかかる費用を考慮した上で住宅ローンを組むことが大切です。

家の購入時に貯金が少ない場合に注意すべきこと

住宅を購入する際に貯金が少ない場合は、物件価格の一部を支払う頭金にお金を充当することが難しい状況にあります。

家の購入後にも生活費などの固定費が発生するため、月々の住宅ローンの返済額を減らすために頭金を多く払うことや貯金をゼロにすることはおすすめしません。

しかし、家庭の経済状況によっては家の購入時に充分な金額を準備することが難しい場合もあるかと思います。ここでは、貯金が少ない状態で家を買う際の注意点を詳しく解説していきます。

住宅ローンの返済額が高くなる

物件価格の一部を支払う頭金に使用できる貯金が少ない場合、住宅ローンの返済額が高くなる可能性があります。

一般的に、住宅ローンの審査を受ける際は物件価格の2割程度の頭金を準備することが必要とされています。頭金が少ない状況で審査に通った場合、借入金額が増えるため利息や毎月の支払額が増加します。

また、住宅ローンの返済期間が長期化することで完済時期が遅れるため、将来的にローンを返済することが困難になる可能性もあります。充分な貯金が貯まった段階で住宅ローンの審査を受けることや毎月の返済額を調整することを心がけましょう。

参考:住宅ローン利用者調査(住宅金融支援機構)

金利の負担が増える場合がある

貯金が少ない段階で住宅ローンを組むと、金利が高くなる可能性があります。
住宅ローンの金利は、物件価格に対する融資の割合で決まることが多く、家の購入時に準備できる頭金が少ないことで借入金額が増加する傾向にあるからです。

一方で、住宅ローンを組んで家を購入した人が利用できる住宅ローン控除の額が高くなるメリットがあります。住宅ローンの控除額はローンの残高を基本として算出されるので、借入金額が多いほど制度の恩恵を受けやすいといえるでしょう。

住宅ローン減税を利用して住宅を購入する予定がある方や、制度の詳細の内容について知りたい方は国土交通省が公表している住宅ローン減税をご覧ください。

数か月分の生活費を残しておく必要がある

住宅の購入時に貯金が少ない場合であっても、購入後にかかる費用を想定した生活費を残しておく必要があります。

家を買う際は物件価格に応じた頭金や諸費用がかかるため、貯金から費用をまかなう場合も多いでしょう。しかし、貯金が全くない状態で新生活をスタートすることはおすすめできません。

住宅の購入後に病気やケガで入院したり、仕事を休職・離職したりするケースも考えられます。住宅ローンに加えて生活費や医療費を確保しておくためにも、数か月分の貯金は使用せずに残しておくことが大切です。

思わぬトラブルや生活環境の変化に対応するためにも、貯金がいくら残せるかを考慮した上で家を購入するタイミングを定める必要があるといえるでしょう。

貯金を減らさずに家を買う2つの方法

現在のご家庭の経済状況や貯金額によっては、家の購入時に支払う頭金を用意することが難しい場合も考えられます。貯金を使用せずに家を買う方法は主に以下の2つがあります。

家の購入後にかかる税金や諸費用を残して利用できる2つのローンについて、ここでは詳しく解説していきます。

物件価格の全額の融資を受けるフルローン

フルローンは、家の購入時に物件価格の全額を金融機関からローンで借り入れることを指します。頭金を用意することが難しい場合でも、住宅を購入することができる制度です。

住宅を購入する際にフルローンを利用するメリットは、現金を手元に残しておけることです。住宅の購入後は、融資手数料や税金などの諸費用がかかるので、現金を確保する際に活用できます。

一方で、フルローンを利用すると住宅ローンの返済額が高くなることに注意が必要です。頭金なしでローンを組むと、物件価格の全額分の金額を金融機関から借りる必要があります。借入金額に応じて利息は増加するため、返済期間も長くなることを覚えておきましょう。

物件価格以上の融資を受けるオーバーローン

オーバーローンは、購入した住宅の価格よりもローンの借入金額が多いことを指します。物件価格の全額の借入に加えて、印紙税や登録免許税、融資手数料などを含めたローンを組むことが可能です。

物件価格以上の金額を借入することができるオーバーローンを利用するメリットは、気に入った物件を買い逃すことを防げることです。需要の高い地域にある物件や条件のいい物件を費用面で諦めることなく購入できます。

一方で、オーバーローンを利用する上での注意点は、諸費用分の金利が高くなることです。物件価格に加えて税金や各種手続きに関する費用を借入しているため、月々のローンの返済額が高くなります。

また、家を売却した場合に住宅を手放した後もローンの支払いが必要になるケースが考えられます。ローンの返済中に家を売る場合は、住宅を売却した利益を返済に充てることが可能です。しかし、諸費用の返済を含むオーバーローンの場合は家の売却後にローンのみが残る場合もあります。

オーバーローンを利用する際は、住宅ローンを組んだ後にかかる費用や売却時のリスクを考慮した上で検討するようにしましょう。

最後に

家を購入する際は、物件価格だけではなく諸費用や住宅購入後にかかる費用を貯金しておく必要があります。

購入後にかかる費用は新築・中古などの住宅の種類によっても異なるため、事前に検討している家にかかる購入資金を把握しておくことが大切です。

また、家を購入する際に貯金が少ない場合は、ローンの借入額が増えることから住宅ローンの返済額が高くなることや完済期間が長くなる傾向にあります。金利負担を抑えたい方や月々の返済額を減らしたい方は頭金を用意した上で家の購入を検討することも選択肢の一つです。

住宅の購入時にかかる税金や住宅の購入後にかかる諸費用についても調べた上で、ご自身のライフプランに合わせたタイミングで家を買うことをおすすめします。

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引士 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

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