中古マンションの購入は築年数が重要!買うべきタイミングをプロが解説

不動産を知りたい

中古マンションを購入する際に気になるのが築年数ではないでしょうか?
立地は良いけど劣化が激しいからリノベーションが必要だったり、メンテナンスの費用などを考えなくてはいけなかったりするため、悩む方は多くいらっしゃいます。

近年では首都圏をはじめとする都市部において、新築マンションの高騰を受けて中古マンションを検討する人が増えているのもあり注目されています。
中古マンションの購入において築年数は非常に重要なポイントです。そして、中古マンションは築年数によって価格が変わり、価格が落ち着く築25年以上の物件が買い時と言われています。

しかし、リフォームに費用を掛けたくなければ築年数はできるだけ新しい方が良いという場合と、古くてもいいので自分でリノベーションしたいといった場合など、購入者がどんな家に住みたいかによって選択すべき物件が異なってくるので注意が必要です。

購入に失敗しないためにも築年数別に中古マンションのメリット・デメリットを確認し、ご自身がどんな家に住みたいかを考えながら選択していきましょう。

今回は、中古マンションの築年数別のメリット・デメリットを中心に、中古マンションの築年数と寿命の関係性について解説していきます。
これから中古マンションの購入を検討している人や中古マンションを選ぶ際のポイントを知りたいという人は最後までこの記事を読んでいただければと思います。

中古マンションの選択において築年数は最も重要

中古マンションの価格は、立地、築年数、広さ、開口部の向き、買い物や通勤、通学の利便性などの様々な要因の組み合わせで決まります。

中でも建物自体の価値に直接影響のある築年数は、中古マンションの選択において最も重要なポイントです。
築年数が経つにつれて、メンテナンスコストが上昇する、耐震性能が劣る(旧耐震基準で建築されている)などマイナス面が増えるので次に販売する際の価値に大きく影響します。

築年数によって価格が大きく変わる

中古マンションは、築年数によって価格が大きく変わります。
REINS(不動産流通機構)の2021年築年数から見た首都圏の不動産流通市場の調査によると、中古マンションの成約価格については年々下落していくことがわかります。中古マンションは、築年数が経過すると建物自体が劣化していきますのでその分マンションの価値は下がるという訳です。 

築年数別の下落率は、㎡単価で比較すると築10年で約12.4%、築20年で約31.9%、築30年で約60.7%となっています。築30年を越えると購入した人が減ってしまうので売却が難しくなる傾向にあります。

参考:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)

買い時は築20年頃の物件と言われている

中古マンションの買い時は築20年頃の物件とされています。
中古マンションの価値は、築10年超えたタイミングで新築時の約70%まで下がるとされています。そこからさらに年数を重ねるごとに価値は下がっていき、築25年あたりで下げ止まる傾向にあります。

こうした点から築20年頃の価格が下落しないケースを狙う場合が多く、新築と比較するとかなり値下げされているうえに、より古い物件よりは状態が良く住みやすいという可能性が高いため、買い時とされています。

【築10年未満】中古マンションのメリット・デメリット

新築を購入したいけど、価格が高い、競争率が激しくて買えないという人も多いでしょう。
新築よりも安く、比較的きれいなマンションに住みたいなら築10年未満の中古マンションがおすすめです。

築10年未満物件のメリット

築10年未満の中古マンションは、使用期間が短いので室内の状態が良く、壁紙や床のリフォーム程度で住めることが多いので、物件価格以外にリフォーム費用がいらないのが魅力でしょう。

設備も新しい物が採用されているので新築と変わらないクオリティで住むことができます。
マンション全体の管理については、ほとんどのマンションが管理会社に依頼しており、管理人の配置やごみ置き場の管理や清掃などもきちんと行われているので資産価値が低下しにくいのもメリットと言えます。

築10年未満物件のデメリット

築10年未満のマンションは、新築よりは安いといっても築10年以上のマンションと比べると価格は髙いのがデメリットと言えます。
築年数が新しいマンションは物件自体が少ないので、購入できるエリアが限定される、中々欲しい物件が見つからないといったケースも多いです。

また、築10年の物件を購入し、10年ほど住んだ場合は前述の表で比較すると23%ほど価格が下落しています。
築10年未満のマンションを購入する場合は購入時の価格よりも売却時の価格が大きく下がることを想定しておく必要があります。

【築10年~20年】中古マンションのメリット・デメリット

価格をなるべく抑えて物件の広さや設備にこだわりたいという人には、築年数、価格のバランスを求めるなら築10年~20年の中古マンションがおすすめです。

築10年~20年物件のメリット

築10年~20年の中古マンションは、新築、築浅マンションと比べると物件数も多いので、エリアや間取りを選ぶことができるのがメリットです。
また、築浅物件と比べると物件価格を抑えることができるので、室内の設備や間取りの変更といったリフォームに費用をかけることができます。

築10年~20年物件のデメリット

マンションは10年を越えると室内の設備のリフォームが必要になるケースが多く、リフォーム費用が200万円~300万円ほどかかるのがデメリットと言えます。
築10年~20年の中古マンションは、10年~15年に1度大規模修繕工事が行われていますが、1回目の工事で修繕積立金が不足しているマンションが多いです。

修繕積立金が不足しているマンションの場合は、修繕積立金の値上げや一時金の徴収が行われる可能性があるので購入時に確認しておく必要があります。また、修繕積立金の不足や何らかの理由で大規模修繕工事が行われてない場合は資産価値の低下が懸念されるので購入は避けた方が良いでしょう。

【築20年~30年】中古マンションのメリット・デメリット

新築や築浅は価格が高いので価格の安い築年数が古い物件を購入して自分好みのリノベーションをして住むという選択肢もあります。
物件の購入金額を抑えてリフォームにお金を使いたいという人は、築20年~30年のマンションがおすすめです。

築20年~30年物件のメリット

築20年~30年の中古マンションの価格は、築5年未満の物件と比べると約60%下がっているので価格の安さがメリットです。
価格が安い分、室内の壁紙や床、設備は古くなっているので交換が必要ですが、自分好みにリフォームすることができるので快適な住環境を実現できます。

築20年を越えると物件の価格下落はほとんどなく、立地が良ければフォームをすることで資産価値をアップさせることも可能です。また、築30年の物件となると立地が良い場所に建築されていることが多いので、利便性や生活のしやすさと言えます。

築20年~30年物件のデメリット

室内はきれいにリフォームできても、マンション全体の古さが目立つ物件も多いです。
大規模修繕工事をしていても建物の共用部が汚い、窓枠やベランダなどは古いサッシのままといったケースもあります。

築年数が古いマンションの場合、電気の容量が小さく、IH機器が設置できないこともあるので事前に確認が必要です。購入時には大規模修繕の状況や実際に建物内を歩いて共用部のチェックをすることをおすすめします。

築30年以上:中古マンションのメリット・デメリット

とにかく安い物件を購入したいという人は、築30年以上の中古マンションを検討するのもひとつの方法です。
築30年を過ぎると、マンションの維持管理の仕方によって状態が大きく変わってくるので、維持管理の状況を確認することが非常に重要になってきます。

築30年以上物件のメリット

築30年以上の中古マンションについては、価格の下落がほとんどないのがメリットです。
築年数が浅い物件だとリフォームをしてもリフォーム金額分の価格上昇を見込みにくいですが、築30年以上の物件はリフォーム金額分の価格アップが見込めます。

築30年以上物件のデメリット

築年数が30年を越えると管理費、修繕積立金が高額なケースが多いので注意しましょう。
築年数が経つにつれて大規模修繕にかかる費用も増えてくるので、修繕積立金の総額、今後の修繕積立金の値上げの計画の有無などを確認しておくことが重要です。

また、築年数が43年以上(1981年6月以前)の物件は旧耐震基準で建築されているので耐震面でリスクがあります。現在採用されている新耐震基準では震度7に耐えられるように設計されていますが旧耐震基準では震度5度程度です。
築年数30年以上のマンションは居住後の売却も買い手がつきにくいので初心者には難易度の高い物件と言えます。


 

中古マンションの築年数と寿命の関係性

中古マンションの寿命はどのくらい持つのかと疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
マンションは1970年代から建築が始まっており、すでに50年以上経過していますが実際に建て替えを行ったマンションは少ないのが現状です。

日本のマンションは大規模修繕などのメンテナンスを行いながらマンションを維持しています。ここでは中古マンションの築年数と寿命の関係性について解説します。

中古マンションの劣化や寿命はいつ来るのか

税法上のマンションの耐用年数は鉄筋コンクリート造の場合47年です。
しかし、実際にマンションはメンテナンスをきちんと行えば100年以上住み続けることができると言われています。

そのため、中古マンションの劣化と寿命は、マンションのメンテナンスの状況によって大きく左右されます。
メンテナンスの状況が良い物件は100年以上持ちますが、メンテナンスが悪いと30年で住めなくなるケースもあるという訳です。

中古マンションのメンテナンス方法やタイミング

中古マンションのメンテナンス方法としては、大規模修繕工事が一般的です。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインによると、大規模修繕工事については12年周期で行うのが良いとされています。
実際にはマンションの劣化状況や修繕積立金の溜まり具合によって、10年~15年程度で実施するケースが多いです。

計画的に大規模修繕工事を行うために、マンションでは長期修繕計画を作成しています。
国土交通省の平成30年のマンション総合調査では、約90.9%の管理組合が長期修繕計画を備えています。
大規模修繕工事では、外壁塗装、屋上防水工事、給水管の清掃又は取替を中心にその他改修が必要な部分を行います。

半年から1年ほどかけてすべて行うケースや数年に分けて必要な部分だけ実施するケースなど、マンションによってメンテナンス方法やタイミングは異なる点には注意が必要です。

参考:長期修繕計画標準様式|国土交通省
平成30年度 マンション総合調査|国土交通省

築年数によるリノベーションの必要性やタイミング

中古マンションは、築年数によって室内のリノベーションの必要性やタイミングは変わります。
壁紙や床については5年程度、設備については10年程度が目安です。

築10年未満のマンションであれば、設備の使用状況によって壁紙、床の張替で済みますが、築10年以上のマンションであれば、基本的にはすべてのリフォームが必要となります。
しかし所有者が壁紙や床の張替、水回りなどの設備の交換を行っているケースも多いですので、状況に応じてリフォーム内容を検討しましょう。

さいごに

今回は、中古マンションの築年数
別のメリット・デメリットを中心に、マンションの劣化や寿命について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

中古マンションの築年数は、物件価格やリフォームの有無にかかわる重要な要素です。

築年数が新しいと物件はきれいですが、価格が高い、立地を選べないといったデメリットがありますし、築年数が古いと価格が安く自由にリフォームはできますがその分リフォーム費用が掛かります。

中古マンションを選ぶ場合には、自身の希望と予算を照らし合わせて、どのくらいの築年数の物件がマッチするかを検討することが重要です。自分好みにリフォームしたいということであれば、価格が下落しきった築20年以上の物件が良いでしょう。

また、築年数が古いマンションを選ぶ場合は、長期修繕計画に沿って大規模修繕工事をしているかを確認するなど建物のメンテナンス状況の良い物件を選ぶことも大事なポイントです。

これから中古マンションの購入を検討している人や中古マンションの築年数別のメリット・デメリットを知りたいという人はこの記事を参考にしていただければと思います。

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引主任者 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

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