マンションの最上階に住むデメリットは?後悔しない為の方法を解説
「最上階のデメリットって何があるの?」「最上階が高い理由を知りたい」など、マンションを購入する際に最上階のメリットやデメリットを知っておきたい方もおられるでしょう。
マンションの中でも最上階は、眺望の良さや開放感、上階からの騒音がない静かな住環境など、メリットの多さから人気の階層のひとつです。
また、最上階はルーフバルコニーや他の階層よりも部屋が広いといったケースもあります。
一方で、最上階は価格が高く、夏は暑くなりやすい、災害時のリスクといったデメリットがあるのも事実です。
マンションの最上階を購入するにあたっては、メリットとデメリットを理解したうえで検討することが大切です。
今回の記事では、マンションの最上階に住むメリット・デメリットだけでなく、デメリットを解決する方法まで詳しく解説します。
マンションの最上階はなぜ価格が高い?
マンションの最上階は、他の階より価格が高く設定されるのが一般的です。
価格が高い理由は、眺望の良さや開放感といった希少性の高さに加え、ルーフバルコニーや高い天井など、他の階層にはないメリットの多さにあります。
- 希少性が高さ
- 眺望・開放感
- 住み心地の良さ
- ルーフバルコニーや高天井などの特別感
- 需要の高さ
加えて、日当たりや風通しが良く、騒音も少ないといった住環境の良さも大きな魅力です。
マンションの最上階の価格は、希少性・特別仕様・住み心地の良さなどの複合的な要因によって高くなっていると言えます。
マンション最上階のメリット
マンションの最上階はメリットの多さから、売買・賃貸のいずれにおいても人気が高いです。
最上階に住めば、日常の快適さ、生活音の少なさ、安心感など、快適な住環境を手に入れることができます。
ここでは、マンション最上階のメリットについて解説します。
眺望の良さと開放感が得られる
最上階は視界を遮る建物が少なく、遠くまで見渡せる開放感が最大の魅力です。
日中は部屋の中までしっかり光が入るので明るく、夜は広範囲の街の灯りを楽しめるなど、低層階では味わえないライフスタイルが実現できます。
特別なイベントがなくても、毎日の景色が心地よく感じられ、毎日を快適に過ごせます。
上階からの騒音がない
マンションで多いトラブルといえば上階からの生活音です。
しかし、最上階は真上に住戸がないため、足音・物の落下音・椅子を引く音など、上からの騒音が原理的に発生しないので安心して生活できます。
騒音に敏感な人やリモートワークが多い人、小さなお子さんがいる家庭の場合、騒音トラブルは大きなストレスです。
最上階であれば、精神的なストレスが軽減されるだけでなく、リモートワーク時に不快に感じることもありません。
日当たり・風通しが良好
最上階は、日当たり・風通しにおいて、他の階よりも条件面で良好と言えます。
最上階の場合、周囲に被る建物が少ないため、日差しを遮るものがなく、部屋の中に十分な採光が得られます。
日当たりがよいことで、湿気がこもりにくく、洗濯物も乾きやすいのもメリットです。
また、風の通りが良く、窓を開けると心地よい風が室内を通るので、夏の暑い日でも、エアコンを使わなくても快適に過ごせます。
プライバシーが守られやすい
マンションの高層階においても、隣接した建物があると外からの視線が気になります。
その点、最上階は外からの視線が届きにくいため、カーテンを開けて過ごしても、下層階のように視線を気にする必要がありません。
通行人や隣接する建物の住人から見られないため、バルコニーの利用がしやすく、人目を気にせずに洗濯物を干せる、夜景をゆっくり楽しめるなどメリットも多いです。
防犯面でも最上階は窃盗などの被害に遭う可能性が少ない傾向にあります。
令和5年に警視庁が発表したデータによると、侵入窃盗の発生場所は住宅が41.6%と多く、そのうち3階建以下の共同住宅は7.3%ですが、4階建以上の共同住宅は3.8%とおよそ半分です。
参考:住まいる防犯110番データで見る侵入窃盗の脅威(警視庁)
プライバシーや防犯面を重視する人にとって、最上階は魅力のある階層と言えるでしょう。
資産価値が維持できる
最上階は、眺望、静音性、希少性の高さから、売買、賃貸においても人気が高いです。
同じ間取りでも上層階ほど需要があり、その中でも最上階は物件の中で1フロアしか存在しないので、おのずと競争率も高くなります。
その結果、売却時も買い手がつきやすく、賃貸として貸す場合も家賃が高く設定できるケースが多いです。
長期的に見ても資産価値の下落が緩やかになりやすい点は、投資目線でも自宅購入目線でもメリットと言えます。
マンション最上階のデメリット
最上階には多くのメリットがありますが、実際に住んでみると想像していなかった不便さを感じるケースもあります。
購入・賃貸どちらでも、良い点だけでなく、注意しておきたい点を事前に知っておくことが重要です。
ここでは、最上階ならではのデメリットについて解説します。
夏は気温が上がりやすい
最上階は、上に住戸がなく、屋上と面しているため、夏の日差しや外気の熱がそのまま伝わりやすく、気温が上がりやすいのがデメリットです。
特に築古マンションでは断熱材の性能が十分でない場合があり、室温が下の階より2〜3度ほど高くなることもあります。
想像していたよりも、冷房の稼働時間が長くなり、電気代が増える可能性がある点には注意が必要です。
最近の新築やリノベ済み物件では断熱性能が向上し、屋上防水や遮熱塗装などで熱を抑える工夫をされているケースもあります。
しかし、物件によって差が大きいため、内見時には、暑さを感じないか、暑さ対策が施されているかを確認することが大切です。
地震や火災のリスクがある
上層階ほど地震の際に揺れが大きく感じられる傾向があり、実際の耐震性には問題がなくても不安を抱きやすい点はデメリットのひとつです。
フリエ住まい総研のマンションにおける階層ごとの満足度実態調査では、高層階のデメリットの1位は災害リスクとなっています。
参考:フリエ住まい総研「マンションにおける階層ごとの満足度」実態調査|人気を集める高層階のデメリット1位は「災害リスク」(PRTIMES)
また、火災時や停電時はエレベーターが使えなくなることが多く、階段で降りなければならない場面も想定しておくことが大切です。
高齢者、小さなお子さんがいる家庭では、この避難のしづらさがデメリットとなるケースもあります。
新耐震基準の物件や防火区画・スプリンクラーが整ったマンションを選ぶなど、購入前に安全面の確認をしておくことが重要です。
エレベーターの待ち時間が長い
最上階は移動距離が長いため、エレベーターが来るまでの待ち時間、そして乗ってからの移動時間がどうしても長くなるのがデメリットです。
朝の通勤ラッシュやゴミ出しの時間帯は、なかなか来ない・満員で乗れない・途中階で停まりやすいなど、毎日の小さなストレスにつながることがあります。
特に大規模マンションでエレベーター数が少ない、スピードが遅い場合は不快に感じる可能性が高いです。
大規模マンションの最上階を選ぶ場合は、エレベーターが何台あるかを確認し、住民から不満が出ていないかも聞くとよいでしょう。
家賃・分譲価格が高い
最上階は希少性があるため、一般的に家賃や分譲価格が他の階より高く設定されているケースが多いです。
同じ間取りでも、階数が高いほど家賃や価格が上がる傾向にあります。
予算に余裕がある場合は良い選択肢ですが、費用面で妥協が必要になる場合は、中層階と比較検討する必要があります。
マンションの購入では、予算を超えてしまうケースが多いですので、優先順位をきちんと決め、何を優先するかを明確にしておくことが大切です。
虫や鳥の害がゼロではない
最上階は虫がほとんど出ないというイメージがありますが、実際にはゼロではありません。
特に、10階程度のマンションの最上階であれば、ベランダに虫や鳥が入り込むケース、高層マンションでも、エレベーターに入り込んで虫が最上階まで上がってくるケースもあります。
入居後にストレスを感じないためにも、低層階よりは少ないが、全くいないわけではないという認識を持っておくことが大切です。
マンション最上階で後悔しないための方法
マンションの最上階を購入後に、快適に暮らすうえでもデメリットは解決しておきたいと思う人も多いでしょう。
デメリットは、事前の確認や対策で解消することが可能です。
ここでは、代表的なデメリットについて解決方法をご紹介します。
高断熱・高気密の家を選ぶ
最上階は屋上からの熱を受けやすく、夏場は室温が上がりやすい傾向があります。
室温の上昇を軽減するには、断熱性と気密性が高い家を選ぶことが最も効果的です。
まずは、検討している部屋の断熱性や気密性をチェックしましょう。
- 天井・外壁に高断熱素材が使われているかを確認
- 気密性の高い複層ガラス・二重サッシを使用しているかを確認
- 24時間換気システムなど換気方式の確認
ただし、高断熱・高気密の対策を実施している部屋は、その分価格がより高くなる点には注意する必要があります。
既に居住している場合は、遮熱カーテン・窓フィルム・断熱ブラインドなど、後付けでできる対策も効果的です。
騒音対策を実施する
最上階は上階からの生活音はありませんが、逆に風の音や屋上設備の作動音が気になるケースがあります。
騒音については、騒音対策をすることで改善が可能です。
- 内窓(二重窓)の設置で風の音の軽減
- 防音カーテン・防音シートで窓からの音の軽減
- 換気口やドアの隙間に防音テープ・防振材を使用
- 屋上設備が近い場合は、管理会社へ防振ゴムやメンテナンスの時間帯などを相談
騒音対策は窓まわりの改善が効果を実感しやすく、比較的低コストで実施できます。
屋上設備の音については、改善が難しいので、屋上設備が近い場合は、内覧時にどのくらいの音がするかを確認しましょう。
緊急時の備えを万全にする
地震や停電などの災害時は、エレベーターが使えなくなることがあり、最上階ほど移動や避難が困難です。
また、火災時には煙が上がりやすいという懸念もあります。
こうしたリスクは、緊急時の備えを万全にすることで大幅に軽減できます。
- 非常階段の位置と避難ルートの事前確認
- 懐中電灯・モバイルバッテリー・飲料水などの防災備蓄の用意
- 管理会社のアプリや通知を設定し、災害時の情報を迅速に確認できる体制の構築
- 可能なら、共用部に災害時備蓄庫があるマンションを選択
まずは、緊急時の非常階段の位置や避難ルートを事前に確認しておくことが大切です。
避難時に必要な懐中電灯やモバイルバッテリー、非常食などの防災セットを準備しておくとより安心できます。
緊急時に慌てなくて済むように、事前準備を徹底しましょう。
マンションの最上階に関するQ&A
マンションの最上階は、人気が高い一方で、他の階層よりも価格が高いため、検討にあたっては慎重に進めるべきです。
購入後に後悔しないためにも、不安や疑問点は解決しておく必要があります。
ここでは、マンションの最上階の購入を検討する際に多い疑問について、わかりやすく解説します。
最上階は本当に騒音トラブルが少ない?
結論として、上階が存在しないため、足音や生活音といった上からの騒音がなく、一般的には下の階よりも騒音トラブルは少ないでしょう。
ただし、完全に無音というわけではなく、屋上の機械室や給水タンク、エレベーターが近い位置にある場合、運転音や振動がわずかに伝わることがあります。
また、横方向の生活音は他の階と同様に発生しますし、強風時には風切り音を感じやすいマンションもあるため、物件によって差がある点には注意が必要です。
最上階は防犯面で有利or不利?
防犯面に関しては、最上階は基本的に有利と言えます。
バルコニー側からの侵入が極めて難しいため、空き巣のターゲットになりにくく、外部の人間が近づきにくい構造である点もメリットです。
ただし、高層階ということで油断して窓を無施錠にしてしまうケースも見られるため、鍵の施錠などの基本的な防犯意識は欠かさないようにしましょう。
ペントハウスと最上階の違いは?
ペントハウスと通常の最上階の違いですが、最上階とは単に建物の一番上の階にある住戸を指すのに対し、ペントハウスはその中でもグレードの高い特別仕様の住戸を意味します。
広めの間取りや高い天井、専用のルーフバルコニーなどが設けられていることが多く、価格帯もマンション内で最も高く設定されるケースが一般的です。
つまり、すべての最上階がペントハウスというわけではなく、最上階の中のプレミアム住戸がペントハウスという位置づけになります。
まとめ
今回は、マンションの最上階について、メリット・デメリットについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
マンションの最上階は、眺望の良さや開放感、日当たり・風通し、騒音の少なさといった快適性から高く評価され、資産価値も維持しやすい人気の階層です。
特に、上階からの生活音がないことや外からの視線を受けにくい点は、日常のストレス軽減につながり、プライバシー面や防犯面でもメリットがあります。
一方で、夏場の暑さ、地震時の揺れ、火災・停電時の避難、エレベーター待ちの長さなど、最上階ならではのデメリットも存在します。
また、希少性や特別仕様のため家賃・分譲価格が高い傾向にあり、予算との兼ね合いも重要です。
デメリットは、断熱・気密性能の高い住戸を選ぶ、内窓や遮熱対策を施す、防災備蓄を整えるなどの工夫で軽減できます。
最上階を検討する際は、物件ごとの環境・設備・階層による違いを丁寧に確認し、ライフスタイルに合うかどうかを見極めることが大切です。
これからマンションを最上階の購入を検討している人は、この記事を参考に、自分にとって最適な物件を探していただければと思います。
<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。











