江戸川区の治安は良いの?住みやすい地域やエリアの家賃相場を解説

不動産を知りたい

「江戸川区って治安が悪いと聞くけれど、本当なの?」「どの駅周辺なら安心して暮らせるの?」など、東京の23区内の各地域について興味のある方も多いのではないでしょうか。

東京23区の東部に位置する江戸川区は、公園や自然が豊かで住みやすい街として知られていますが、治安面で不安視されることもあります。

実際のところ、江戸川区の治安の良さはどうなのでしょうか。

この記事では、警視庁の犯罪統計データをもとに、江戸川区の治安状況やおすすめの駅について詳しく解説します。
江戸川区での暮らしを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

江戸川区の治安の良さは23区内で15位

江戸川区の治安状況は、令和5年の犯罪発生率(※1)によると23区内で15位です。

江戸川区の人口が約69万人であるのに対して、犯罪件数は4,289件で犯罪発生率は0.62%。これは23区平均の発生率である0.67%を下回っています。

「治安が悪い」というイメージがあるかもしれませんが、データで見る限り江戸川区は比較的安全な区といえます。

この項では、江戸川区の治安についてその特徴を解説します。

(※1)令和5年12月時点の東京都が公表する人口(令和5年12月時点)をもとに、犯罪発生率を算出したもの

参考:区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(警視庁)
参考:住民基本台帳による世帯と人口(東京都)

犯罪認知件数の多くを自転車盗が占める

江戸川区で発生する犯罪のうち、自転車盗が最も多く、令和5年には総犯罪認知件数の約41%(1,771件)を占めています。

主な犯罪件数(令和5年)は以下の通りです。

・自転車盗:1,771件
・万引き:380件
・車上ねらい:143件

一方で、強盗などの凶悪犯罪は年間21件で、23区平均の26.3件を下回っています。これらのデータから、江戸川区の治安上の課題は窃盗系犯罪が中心で、生命や身体に危害が及ぶケースは少ないといえるでしょう。

参考:区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(警視庁)

エリアによって治安の良さが異なる

江戸川区内でも、地域によって治安状況には差があります。
以下で、エリアによって犯罪件数が異なることを確認しておきましょう。

ただし、注意が必要なエリアでも、防犯意識を高めることで安全に暮らせる環境を整えられます。

参考:区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(警視庁)

自然環境に恵まれている江戸川区の特徴

江戸川区は自然環境が豊かで、都心にいながら緑や公園を楽しめる魅力的な地域です。

約5万本の花菖蒲が咲き誇る小岩菖蒲園や、桜の名所である小松川千本桜や荒川千本桜など都会のオアシスといえる名所があるほか、子どもたちが水遊びを楽しめる親水公園も5つあります。

また、都内で初めてラムサール条約湿地(※2)に登録され、国内有数の野鳥の飛来地としても知られる「葛西海浜公園」があり、癒しのスポットとなっています。

(※2)正式名称「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」

区民一人当たりの公園面積が23区内で1位

江戸川区の公園総面積は77.6万㎡超で、区民一人当たりの公園面積は23区トップの約10㎡。

江戸川区にある代表的な公園を、以下で3つご紹介します。

①葛西臨海公園
・大観覧車がある「芝生公園」や「葛西海浜公園」、幼児を対象とした遊具のある「わくわく広場」などがある。
・バーベキュー広場も完備。

②総合レクリエーション公園
・西葛西駅から東西3キロにわたって各種遊び場が連なる。
・幼児向けの遊具がそろう「子どもの広場」、バラが咲き誇る洋風庭園「フラワーガーデン」、アスレチックがある「富士公園」、「なぎさポニーランド」など目的によってさまざまな遊びを楽しめる。

③行船公園
・公園内にある自然動物園には、約60種の動物たちが生活している。ふれあいコーナーではヒツジやヤギ、チャボやモルトッとなど動物たちと触れ合える。

家族連れに人気の葛西臨海公園は、週末には多くの来場者でにぎわいます。特に春と秋は潮風と緑を楽しむ人々であふれ、都会にいることを忘れさせてくれる癒しのスポットとなっています。

自然を満喫できるだけでなく、自然動物園など動物とも触れ合える機会が多く持てる江戸川区は子育て世代にとって嬉しい環境であるといえるでしょう。

参考:データから江戸川区の魅力を再発見!これって何の数字?(江戸川区)

JRや地下鉄が多く都心部へのアクセスが良い

江戸川区には5つの鉄道路線が走っており、都心へのアクセスが充実しています。

江戸川区を走る路線と主要駅は以下の通りです。

路線主要駅
JR総武線平井駅
東京メトロ東西線葛西駅
都営新宿線船堀駅
JR京葉線葛西臨海公園駅
京成本線江戸川駅

江戸川区の主要駅から都心へは、直通で20~30分でアクセスできます。
都心部への移動や、通勤・通学の足として不便は感じないでしょう。

特に東西線沿線は大手町や日本橋といったビジネス街へのアクセスが良く、人気があります。

ただし、江戸川区の路線は南北へのアクセスに弱いといった特徴があります。
不便を感じる場合は路線・便数ともに電車より多いバスを活用することでカバーする必要があるでしょう。

子育て支援制度が充実している

江戸川区は子育て支援制度が充実しており、親子で安心して暮らせる環境が整っています。

保育園の待機児童ゼロを目指した取り組みや、一部の医療費助成制度などがその例です。

以下で子育て支援の一部を紹介します。

子育て支援概要
乳児養育手当・0歳児に月額13,000円を支給
・赤ちゃんとの時間を健やかに過ごし、保育に専念できることを目的とする
すくすくスクール・保護者が仕事や病気で家庭において養育ができない場合に、区で認定された保育ママが保育する制度
・月額14,000円、雑費月3,000円
すくすくスクール・放課後や長期休業日に児童が参加できる事業
・自由に参加するすくすく登録(無料)と学童クラブ登録がある
子育てひろば・就学前の乳幼児と保護者が対象
・遊びながら交流の場としても活用
・子育て相談も可能
・区内20カ所に設置
医療費助成・保護者の所得にかかわらず、18歳以下の子どもの保険診療費を全額助成
・入院中の食事代の自己負担分も助成の対象となる

これらの支援制度は、江戸川区で子育てをする家族の強い味方となっています。
特に保育ママ制度は、待機児童問題の解消に貢献しており、0歳児保育の受け皿として重要な役割を果たしている制度です。
また、すくすくスクールは、希望者全員が入れる学童保育として、共働き世帯の不安を解消しています。

江戸川区の家賃相場

江戸川区の家賃相場は23区内でも安価な水準となっています。

江戸川区の間取り別家賃相場は以下の通りです。

間取り家賃相場
1R6.72万円
1K7.59万円
1DK9.04万円
1LDK12.85万円
2K9.77万円
2DK9.79万円
2LDK17.41万円
3DK13.79万円
3LDK20.37万円

参照:homes(2024.12.06)

1R、1K、1DKの23区平均家賃相場は、10.1万円なので、江戸川区の1R~1DKの平均 7.78万円と比べると2万3千円ほど安くなっています。

また、ファミリー向けの2LDK・3DK・3LDKでも、23区内の平均と比べると7万円程度安く借りられます。
(※3)東京23区の2LDK~3LDK家賃相場:24.33万円
参照:東京23区の家賃相場情報 homes(2024.12.06)

〔タイプ別〕江戸川区内の住みやすい駅

江戸川区内で住みやすい街をファミリー向け、一人暮らし向けとタイプ別に分けて紹介します。
街の特徴を確認し、自分に合ったエリアを見つけてください。

ファミリー向けのエリア

家族で暮らしやすいエリアとして、学校や保育施設が充実し、自然豊かな公園がある地域があげられます。
共働き世帯であれば、都心へのアクセスが良好であることは、エリアの選びの条件としてあげられるでしょう。
この項では、ファミリー向けの環境として適しているエリアを解説します。

篠崎


篠崎駅は、都営新宿線の始発駅なので、座って通勤・通学できる点が子育て世代にとって魅力ある地域でしょう。
新宿駅までは38分かかりますが、乗り換えなしでいけるので小さいお子さんを連れてのお出かけにも負担が少ないといえます。

駅から徒歩3分のところに24時間営業のスーパーもあることから、働く親にとっても住みやすい環境といえるでしょう。

また、篠崎駅西口の出口に直結した複合施設「しのざき文化プラザ」には、図書館や地域住民の学習活動の拠点として講義室が整備されています。
駅から徒歩圏内には「篠崎ポニーランド」「篠崎公園」といった子どもの遊び場もあるので、家族にとって望ましい住環境であるといえるでしょう。

治安面でも江戸川区内では比較的良好です。

平井


平井駅はJR総武線が通るので、秋葉原駅まで約12分、新宿駅までは約32分と交通アクセスに優れています。

駅周辺には昔ながらの「平井親和会商店街」がひろがり、地域コミュニティが強いという特徴があります。

また、再開発事業として、平井駅北口から徒歩2分のところに「プラウドタワー平井」(※4)の建設が進んでおり、ますます便利な街として期待が持てるでしょう。

駅南口には交番もあり、治安の面でも平井駅周辺は比較的安心なので、子育て世帯が多く住む人気エリアとなっています。

(※4)「プラウドタワー平井」には、1~2回に商業施設や地域住民が利用できる集会室、3階には認可保育所などの子育て施設が入る予定。

一之江


一之江駅周辺は都営新宿線沿線の住宅街です。
墓地のあるお寺が点在し、レトロな雰囲気の戸建住宅が多いので、下町の雰囲気が漂う魅力ある街です。
新宿駅までは約33分と、交通アクセスにも比較的優れています。

駅周辺にはスーパーが複数あるので、日常の買い物にも困ることはありません。

学校や保育園も充実しており、特に教育環境を重視する家族には理想的なエリアです。
地域の防犯活動も活発で、子どもの見守り体制が整っていることも一之江駅周辺の特徴でしょう。

一人暮らし向けのエリア

一人暮らしに向いているのは、駅が近く、買い物や外食が便利なエリアです。
また、近隣に飲食店や24時間営業のスーパーがあると、仕事で忙しい方にも安心でしょう。

この項では、仕事と生活のバランスを重視する一人暮らしの方に適したエリアを紹介します。

瑞江


瑞江駅は都営新宿線の利用で新宿まで直通30分とアクセス良好です。
駅から徒歩10分圏内にスーパーが10件ほどあるので、普段の買い物で困ることはありません。
夜遅くまで営業しているお店も充実しているため、仕事で帰りが遅くなる人にも便利でしょう。

また、治安は自転車盗が目立ちますが、凶悪な犯罪等は起きていないので、女性の一人暮らしでもそれほど心配はないでしょう。
家賃相場も23区内では比較的リーズナブルなので、魅力あるエリアとして注目を集めています。

船堀


船堀駅は都営新宿線で都心へのアクセスが良好で、バス路線も充実しているため、通勤・通学に便利です。
新宿駅までは乗り換えなしで約30分、東京駅までは約25分(乗換1回)でアクセス可能。

駅から徒歩5分圏内に4件のスーパーがあり、深夜まで営業するスーパーも多いので、仕事帰りの買い物にも困りません。

また、駅前の「タワーホール船堀」には映画館やイベントホール、展示室、会議室も充実し、都内全域が一望できるタワー展望室があるので、充実した休日も過ごせるでしょう。

治安は、商業地区があるため、自転車盗や万引きが多い地域もありますが、凶悪犯罪などは起きていません。

近年は再開発も進み、新しいマンションも増えていることから、若い社会人からの人気が高まっています。

葛西


葛西駅は東京メトロ東西線が利用でき、大手町駅までは約16分、銀座駅まで約21分(乗換1回)と、都内へのアクセスがスムーズです。

駅周辺にはスーパーが並び、バスで約8分のところには大型商業施設「アリオ葛西」があり、休日のショッピングや娯楽も充実しています。

また、葛西臨海公園や行船公園へのアクセスも良いので、自然と触れ合える機会を多く持てます。
都会的な利便性と優れた自然環境をともに得られる点が葛西の魅力といえるでしょう。
シングル向けのマンションも多く、特に若い社会人の間で人気の高いエリアとなっています。

江戸川区が行う防犯の取り組み

江戸川区では件数の多い自転車盗や車上ねらい、インターネットや通話を利用した特殊詐欺を懸念し、さまざまな安全・犯罪防止対策を講じています。

この項では、江戸川区が取り組む防犯対策について3つ解説します。

自転車盗ゼロ作戦

江戸川区では発生する犯罪の約4割を、自転車盗が占めている状況です。
この課題に対して、江戸川区では平成18年から「自転車盗ゼロ作戦」を行っています。

作戦の一つとして、地元中学生を中心とした「盗難自転車なくし隊」が結成され、主要駅や商業施設での啓発活動を実施しています。

自転車盗ゼロ作戦の主な活動例は啓発活動のほか、施錠チェックなどです。

・駐輪場でのワイヤー錠の配布
・路上放置自転車への注意喚起
・主要駅を利用する方への広報活動(啓発ティッシュの配布等)
・駐輪場での自転車の施錠チェック

活動実績としては、年に2、3回、瑞江駅、西葛西駅、平井駅などの駅前や駐輪場での活動があります。

参考:自転車盗ゼロ作戦(江戸川区)

安心・安全パトロール

平成15年から開始された青色回転灯搭載車(通称:青パト)による区内パトロール。

犯罪の防止のため、江戸川区内の繁華街や住宅街、学校、公園などをきめ細かく巡回しています。
平成28年からは昼間の時間帯にも警備を拡大し、特に下校時間帯は通学路を重点的に巡回しつつ、子どもたちの安全を見守っています。

また、歩きタバコ・ポイ捨て防止の呼びかけも行うなど、生活環境の改善にも貢献している点が青パトの特徴です。

参考:区による安全・安心パトロール(江戸川区)

自動通話録音機の給付

特殊詐欺対策として、区内在住の70歳以上の方がいる世帯を対象に、自動通話録音機を無償で給付しています。

この機器は、電話の呼び出し音が鳴る前に相手に対して通話内容を録音する旨のメッセージを流すもので、特殊詐欺の抑止に効果を上げています。
録音を嫌う犯罪者が通話を諦めるケースが多く、高齢者を狙った特殊詐欺の防止に大きな役割を果たしているのです。
さらに、シルバー人材センターによる無料設置サービスも提供され、多くの高齢者世帯に利用されています。

参考:自動通話録音機給付事業(江戸川区)

まとめ

この記事では江戸川区の治安や、住みやすいエリアについて解説しました。

以下で江戸川区について把握しておきたいポイントをまとめました。

【治安面での特徴】
・犯罪発生率は0.62%で23区平均(0.67%)より低い
・犯罪の約4割は自転車盗で、凶悪犯罪は少ない
・エリアによって治安格差があり、駅選びが重要

また、治安以外での、江戸川区の特徴は以下の通りです。

・自然が豊か(区民一人当たりの公園面積が23区でトップ)
・子育て支援制度が充実(乳児養育手当、保育ママ制度など)
・家賃相場が23区内で安価な水準
・都心へのアクセスが良好

江戸川区で安全に暮らすため、エリアの特性を理解し、自身のライフスタイルに合った駅を選ぶことが大切です。
この記事を参考に、江戸川区を住まいの選択肢のひとつとして検討してみて下さい。

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引士 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

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