マンション購入に必要な初期費用はいくら?安く抑える方法や注意点を解説
「マンションを購入したいけど、初期費用がどのくらいかかるのか不安…」「できれば初期費用を少しでも節約したい」など、マンションの初期費用について疑問や悩みを持っている人も多いでしょう。
マンションの購入を検討する際には、物件価格だけでなく、さまざまな「初期費用」が必要になることを理解しておくことが大切です。
購入時には登記費用やローン関連の諸費用、火災保険料、不動産仲介手数料など、多くの項目にわたって費用が発生します。
あらかじめ初期費用の内訳を把握し、全体の資金計画を立てておくことで、購入手続きをスムーズに進めることができます。
特に住宅ローンを利用する場合や、中古マンションの購入後にリフォームを予定している場合は、想定外の支出が発生する可能性もあるため注意が必要です。
資金が不足してしまうと、ローンの借入額を見直しや購入計画自体を変更しなければならなくなるケースもあります。
また、初期費用を少しでも抑えたいと考えている方は、住宅ローンの保証料や事務手数料の比較や火災保険の補償内容や保険料の見直しをすることで節約が可能です。
これからマンションの購入を本格的に検討している方は、ぜひこの記事を通じて、初期費用のポイントや節約のコツをしっかり把握し、安心してマイホーム購入の一歩を踏み出していただければと思います。
目次
マンション購入時の初期費用の内訳
マンションを購入する際には、物件価格のほかに多くの初期費用が必要です。
これらは購入のタイミングによって分割して支払うものが多く、事前に全体像を把握しておくことが大切と言えます。
家を購入方法や諸費用については、国土交通省が運営する官民連携のプラットフォーム「住まリテ」が参考になります。
ここでは、初期費用の主要な内訳について解説します。
頭金
頭金とは、住宅ローンを組む際に、物件価格の一部を自己資金として現金で支払うお金です。
一般的には、物件価格の10~20%程度を頭金として支払うケースが多く、金融機関の融資条件によっては、頭金なし(フルローン)での購入も選択できます。
頭金を多く用意することで、借入額を抑えられるため、毎月の返済負担や利息の総額を減らせます。
逆に、頭金が少ない場合は、住宅ローンの審査が厳しくなったり、金利が高めに設定されたりする可能性もあるため注意しましょう。
関連記事:中古マンションは頭金なしで購入できる?成功させるポイントを徹底解説
手付金
手付金とは、売買契約を結ぶ際に売主に支払うお金で、「契約の証拠金」としての意味合いがあります。
一般的には、物件価格の5~10%程度が相場です。
手付金を支払う場合は、手付解約の特約が契約書に追加されます。
手付解約をする場合、購入者の都合によるキャンセルでは手付金は返金されません。
一方、売主の都合で契約が解除される場合は、通常手付金の倍額を返還することが原則です。
このように手付金には、契約を拘束する「お互いの覚悟を示す」役割があるため、金額や支払い時期は慎重に確認することが重要と言えるでしょう。
諸費用
諸費用とは、頭金や手付金以外に発生する各種の費用をまとめた総称で、以下のようなものが含まれます。
- 登記費用(登録免許税、司法書士報酬など)
- 火災保険料・地震保険料
- 不動産仲介手数料(通常は物件価格の3%+6万円+消費税)
- 管理費や修繕積立金(購入月の日割り分)
- 固定資産税・都市計画税の清算金
これらの諸費用は物件価格の6~10%程度かかるのが一般的です。
物件価格が高くなるほど、諸費用の負担の割合は大きくなる傾向にありますが、エリアや立地などによっても異なる点には注意しましょう。
初期費用を支払う3つのタイミング
マンション購入にかかる初期費用は、購入手続きの進行に応じて段階的に発生します。
実際の購入の流れに沿って、「いつ」「どんな費用を」「いくら程度」支払うのかを把握しておくことが重要です。
ここでは、初期費用を支払う3つのタイミングについて解説します。
売買契約時に支払う費用
物件の購入を決定した後、売主と売買契約締結時が、最初に費用を支払うタイミングです。
売買契約時に支払う費用には以下のようなものがあります。
- 手付金:物件価格の5〜10%程度が一般的です。契約の証拠金であり、契約解除時の違約金としても機能します
- 印紙税:売買契約書に貼付する収入印紙代。契約金額に応じて数千円〜数万円
- 仲介手数料(半金または全額):不動産会社に支払う費用
物件価格×3%+6万円(+消費税)が上限で、契約時に半金を支払うケースが多いです。
このタイミングの目安費用合計は、物件価格の約5〜10%程度が目安です。
基本的には、売主、買主が面前で取引を行い、手付金や印紙税、仲介手数料をその場でやりとりします。
しかし、最近では、売主と買主が別々で契約書に署名捺印する持ちまわり契約が増えており、その場合の費用は振込になります。
物件の決済と登記日に支払う費用
住宅ローンの実行と同時に、物件代金の残金を支払い、所有権移転登記を行いますので、最も費用が大きくなるタイミングです。
物件の決済と登記日に支払う費用には以下のようなものがあります。
- 残代金:物件価格から手付金を差し引いた残額
- 登記関連費用:登録免許税、司法書士報酬など。数万〜十数万円
- 固定資産税・管理費等の精算金:引渡し日を基準に日割りで精算
- 住宅ローン関係費用:融資手数料、保証料、火災保険料など。ローンの内容によっては数十万円かかることもあります。
- 仲介手数料の残金(半金後払いの場合)
このタイミングの目安費用合計は、物件価格以外の諸経費として、数十万円〜数百万円です。
物件の価格によって、仲介手数料や住宅ローン関係費用は費用の割合が大きくなる点には注意しましょう。
引き渡し後にかかる費用
物件を引き渡された後にも、生活に向けた準備費用が必要です。
引き渡し後に掛かる費用には以下のようなものがあります。
- 引越し費用:数万円〜20万円前後(距離や荷物量によって変わる)
- 家具・家電の購入費:新居に合わせて必要に応じて準備が必要
- 各種契約関連費用:インターネット、電気・ガスの開通手続きなど
- 修繕積立基金:新築マンションでは初回に一括払いを求められることがあり、10万〜50万円程度かかるケースもあります
このタイミングの目安費用合計は、一般的には10万〜50万円程度です。
ただし、家具・家電などは、求める機能やランク、ブランドによって大きく価格が異なります。
新居への引っ越しでは、理想を求めて家具や家電は少し高いものを買いたくなりますが、生活が落ち着いてから購入しても遅くありません。
引越し後に、生活における資金面で苦しくならないためにも、ある程度手元に現金が残るように資金計画を立てましょう。
▶ マンション購入時の資金計画について詳細が気になる方は、こちらの記事も合わせてご確認ください。
マンション購入時の初期費用のシミュレーション
マンションを購入する前に、初期費用についてシミュレーションをしておくことが大事です。
シミュレーションをすることで、マンション購入時に必要な初期費用の大枠を把握することができます。
例として、中古マンションを物件価格5,000万円で購入する場合の初期費用についてシミュレーションをしてみましょう。
今回のシミュレーションでは、住宅ローンをフルローンの5,000万円とし、返済期間35年、元利均等方式、ボーナス払い無しの条件で算出しています。
※スマホの方は右にスクロールしてご覧いただけます
費用項目 | 金額(概算) | 備考 |
---|---|---|
手付金 | 2,500,000円 | 売買契約時に支払い(目安5%) |
印紙税 | 10,000円 | 売買契約書に貼付(5,000万円の契約) |
仲介手数料 | 1,716,000円 | (5,000万円 × 3% + 6万円)× 消費税 |
登記費用(登録免許税等) | 200,000円 | 所有権移転+抵当権設定、司法書士報酬含む |
固定資産税・管理費等の精算金 | 50,000円 | 日割り計算(引渡し月により変動)※物件によって異なる |
ローン事務手数料 | 100,000円 | 銀行によって異なる(定額または融資額の数%など) |
ローン保証料(一括) ※ローン金額の2% | 1,000,000円 | 借入額や期間で変動、金融機関により異なる |
火災保険料(10年) | 150,000円 | 物件規模・保険内容により前後します |
引越し費用 | 150,000円 | 距離・荷物量により変動 |
家具・家電の購入費 | 300,000円 | 初期購入が必要な場合の想定費用 |
今回のシミュレーションでは、初期費用の金額はおよそ6,176,000円、物件価格の約12%程度となります。
初期費用の資金の捻出が難しい場合は、初期費用分を上乗せして貸してくれるオーバーローンが可能な金融機関を探すのもひとつの方法です。
マンション購入時の注意すべきポイント
マンションの購入は、人生でも大きな買い物のひとつです。
物件選びや住宅ローンの手続きに目が向きがちですが、実際には購入後の生活や資金計画まで見据えた検討が必要になります。
予想外の支出や資金不足にならないように、初期費用を含めて慎重に資金計画を立てましょう。
ここでは、マンション購入時に注意すべき3つのポイントについて紹介します。
頭金や諸費用を含めて資金計画を立てる
マンション購入には、物件価格のほかにも、頭金や諸費用がかかる点に注意する必要があります。
頭金は、物件価格の1〜2割程度を現金で用意するのが一般的です。
その他の諸費用については、物件にもよりますが、物件価格の6%~10%くらいは必要になります。
購入後の生活を見据えて、資金不足にならないように無理のない資金計画を立てましょう。
住宅ローン利用時は総返済額を試算する
住宅ローンを利用する際には、毎月の返済額だけでなく、35年間で最終的にいくら支払うことになるのかという「総返済額」を把握することが大切です。
特に、金利が異なるだけで支払い総額に大きな差が生まれるため、金利タイプ(固定・変動)や返済期間の選択には慎重な検討が求められます。
ここでは、物件価格5,000万円をすべて借入し、35年ローン、元利均等返済・ボーナス返済なしの条件で住宅ローンを組んだ場合、金利別に総返済額の試算をした結果をご紹介します。
※スマホの方は右にスクロールしてご覧いただけます
金利タイプ | 金利(年) | 月々返済額(目安) | 総返済額(約) | 利息合計(約) |
---|---|---|---|---|
変動金利 | 0.5% | 約129,000円 | 約5,430万円 | 約430万円 |
変動金利 | 0.8% | 約137,000円 | 約5,750万円 | 約750万円 |
固定金利 | 1.5% | 約154,000円 | 約6,480万円 | 約1,480万円 |
固定金利 | 2.0% | 約165,000円 | 約6,930万円 | 約1,930万円 |
金利が1%違うだけでも、35年間で数百万円〜1,000万円以上の差が出る点には注意が必要です。
月々の返済額が少なく見えても、総額では高くつくこともあるため、金利のタイプや将来の金利変動リスクも考慮してローンを選びましょう。
住宅ローン選びが不安な人は、国土交通省が提供している「住宅ローン借入に際してのチェックリストイメージ」を活用しましょう。
参考:2-1 住宅ローン借入に際してのチェックリストイメージ(国土交通省)
中古物件はリフォーム費用などを考慮する
中古マンションを購入する場合、内装のリフォームや給排水管・設備の修繕が必要になることがあります。
築年数や管理状況によっては、購入後すぐに数百万円規模の追加費用が発生するケースもあるので注意が必要です。
間取り変更などの大掛かりなリフォームを行う際には、追加の費用が発生するケースもあります。
リフォームが必要な場合は、物件価格だけでなく、リフォーム費用も事前に試算した上で資金計画を立てることが重要と言えるでしょう。
マンション購入時の初期費用を節約する方法
マンション購入にかかる初期費用は、数百万円に及ぶこともあります。
しかし、事前に情報収集をし、各種費用を見直すことで、負担を軽減することが可能です。
ここでは、マンション購入時の初期費用を節約する代表的な方法を紹介します。
住宅ローンの保証料や手数料を比較検討する
住宅ローンには、保証料や事務手数料などの諸費用が発生します。
金融機関によって費用体系や金額が異なるため、複数の銀行やネット銀行のプランを比較することで、数十万円単位の差が出るケースもあるので、比較検討することが重要です。
保証料は住宅ローン価格の2%程度に設定されており、住宅ローンの借入額が3,000万円とするとおよそ60万円になります。
そのため、保証料が不要の金融機関を選ぶと大幅な節約につながります。
住宅ローンを選ぶ際には、金利だけでなく、保証料や手数料を含めて検討しましょう。
火災保険の契約内容を見直す
マンション購入時には、通常は火災保険の加入が義務付けられています。
火災保険は、保険会社や代理店によって保険料や補償内容が異なるため、過剰な補償が含まれているケースも多いです。
補償内容を必要最低限に絞ることでコストを抑えることができます。
仲介手数料無料の不動産会社を選ぶ
不動産会社によっては、仲介手数料が無料または割引となるサービスを提供している場合があります。
最近では買主の仲介手数料が無料の不動産会社も増えており、仲介手数料が無料となれば大きな節約になります。
最近では、買主の仲介手数料が無料になる不動産会社も増えており、うまく活用すれば数十万円以上の節約になることもあります。ただし、手数料が無料だからといってすべての会社が安心とは限りません。対応の質やサポート体制に差があるため、事前に評判や実績をしっかり確認することが大切です。
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参考:なぜ7割の人が不動産売買の仲介手数料を全く知らないのかー 不動産流通システムが「不動産の賃貸、売買の仲介手数料に関する認知度」の調査結果を発表(株式会社不動産流通システム)
マンション購入時の初期費用に関するよくある質問
マンション購入では、物件価格のほかに多くの「初期費用」が発生します。
しかし、初めての購入では不明な点も多く、不安を感じる方も少なくありません。
ここでは、購入希望者から特によく寄せられる疑問について解説します。
初期費用は現金で用意しなければいけませんか?
初期費用は基本的に「現金一括払い」が原則とされています。
特に、売買契約時に支払う「手付金」や、登記費用・印紙税・仲介手数料・火災保険料などは、契約のタイミングで必要になるため、事前に準備しておくことが大切です。
ただし、金融機関によっては、これらの費用を住宅ローンに組み込める「諸費用ローン」や「フルローン(頭金・諸費用すべて込み)」を取り扱っている場合があります。
たとえば、ネット銀行やフラット35などでは、諸費用込みの融資に対応しているケースも増えています。
ただし、借入額が増える分、毎月の返済額や総返済額が大きくなるため、無理のない返済計画を立てることが大事です。
自己資金の範囲内でどこまで準備できるか、ローンを活用すべきかについては、事前にしっかりと検討しておきましょう。
仲介手数料は必ずかかるものですか?
通常、仲介を通じて物件を購入する場合、不動産会社に対して「仲介手数料」を支払う必要があります。
この金額は、物件価格の3%+6万円(税別)が上限とされており、5,000万円の物件であれば約171.6万円(税込)です。
しかし、すべてのケースで必ず発生するとは限りません。
リノベ再販業者などの売主から直接購入する売主物件の場合は、不動産会社の仲介が必要ないので仲介手数料は不要です。
不動産会社によっては、仲介手数料が半額や無料など割引サービスを実施しているケースもあります。
株式会社スマトリでは、仲介手数料が無料になる物件も多数ご紹介可能です。
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諸費用込みでローンを組むことはできますか?
住宅ローンでは通常、建物価格や土地代に対する融資がメインですが、最近では「諸費用込みでローンが組める」金融商品も増えています。
この「諸費用ローン」や「フルローン」では、以下のような費用をローンに組み込むことが可能です:
- 登記費用や火災保険料
- 融資手数料・保証料
- 仲介手数料
- 引越し費用、リフォーム代など(金融機関による)
この方法を利用することで、「手元資金が少なくても購入可能」になる点は大きなメリットと言えます。
ただし、諸費用込みでローンを組むと、金融機関によっては金利が高めに設定される、物件価格の100%以上の融資となるため、審査が厳しくなることもあります。
また、住宅ローンに諸費用を含みことで、借入額が増えることで返済総額が増加する点には注意が必要です。
諸費用ローンを検討する際は、複数の金融機関の条件を比較し、自分にとって最適な資金計画を立てましょう。
まとめ
今回は、マンション購入時にかかる初期費用について、その内訳や支払いのタイミング、注意すべきポイントなどを解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
マンションを購入する際には、事前に初期費用をシミュレーションし、無理のない資金計画を立てることがとても重要です。
さらに、初期費用だけでなく、リフォーム費用や住宅ローンの総返済額も含めて、トータルの支出を見通しておくことで、購入後に想定外の出費や資金不足に陥るリスクを軽減できます。
また、住宅ローンの保証料や手数料、火災保険の契約内容を見直すことや、仲介手数料が無料または割引になる不動産会社を選ぶことによって、初期費用を節約することは重要なポイントと言えます。
初期費用の負担が大きいと感じる方や、引っ越し後にできるだけ手元資金を残したい方は、諸費用込みの住宅ローンを検討するのも一つの選択肢です。
ただし、借入額が増える分、将来的な返済負担が重くなる点には注意する必要があります。
マンション購入は、人生の中でも非常に大きな買い物となるので、じっくりと時間をかけて、自分に合った資金計画を立てましょう。
これからマンションの購入を考えている方は、本記事を参考に、初期費用への理解を深め、後悔のないマイホーム購入につなげていただければと思います。

<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。