千代田区の治安や住みやすさを徹底解説!おすすめエリア5つを紹介
「千代田区は治安が悪いと聞いたけれど、実際はどうなの?」
「女性の一人暮らしや子育て世帯が住むのに向いているエリアだろうか」
千代田区は国会議事堂や官庁街を抱え、一見するとビジネス街のイメージが強い地域ですが、住居地としての治安状況が気になる方も多いでしょう。
統計上は23区中で最も犯罪発生率が高いものの、これは夜間人口が少ないことが大きく影響しています。
本記事では「千代田区の実際の治安状況」や「住みやすいエリア」、「区の子育て支援事業」などを詳しく解説します。
これから千代田区への引っ越しを検討されている方はもちろん、すでに住んでいる方にとっても参考になる情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
千代田区の治安の良さは1人あたり23区内最下位
警視庁が公表した「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」(令和5年)によると、千代田区の犯罪件数は2,376件でした。令和5年12月時点の人口(68,801人)で割ると、犯罪発生率は3.45%となり、23区中で最も高い数値です。
しかし、この数字だけで治安を判断するのは早計です。昼間人口の多さや地域特性、自治体による防犯対策などを総合的に考慮することで、千代田区の治安の実態がより正確に見えてきます。
以下では、人口構成の特性や地域性に着目し、実態を詳しく見ていきましょう。
参考:区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(令和5年)(警視庁)
参考:住民基本台帳による世帯と人口(令和5年12月)(東京都)
人口が少ないことが影響している
千代田区には、昼間になると多くの人が通勤や通学で訪れます。令和2年の国勢調査によると、千代田区の昼間人口は約116.9万人で、港区(約118.2万人)に次いで全国で2番目の多さです。
また、夜間人口に対する昼間人口の割合(昼夜間人口比率)は1,753.75%と、全国の自治体の中で最も高く、昼と夜とで人口構成が大きく変わる特性を持っています。
このような背景から、犯罪件数を夜間人口だけで割って算出された「犯罪発生率」は、実際よりも高く見えてしまいます。
昼間人口を考慮すれば、千代田区の治安が特別に悪いとは言えず、数値の印象ほどの危険性はないことがわかるでしょう。
参考:昼夜間人口差17倍の千代田区 民間救急と連携 災害対応力強化へ体制拡充(産経新聞)
繁華街や主要駅の近くで犯罪が多い
千代田区内の犯罪は、特定のエリアに集中しています。とくに観光地やターミナル駅がある東京駅周辺、そして“オタクの聖地”として知られる秋葉原駅周辺では、犯罪発生件数が比較的多い傾向です。
いずれも国内外の観光客が多く訪れるエリアで、人の出入りが激しいため、トラブルも起こりやすい傾向にあります。文化の違いや、よっぱらい同士のトラブルが原因となることも少なくありません。
令和5年度のデータでは、千代田区全体の犯罪件数は2,376件で、その内訳は、凶悪犯16件、粗暴犯298件、侵入窃盗37件、非侵入窃盗1,310件、その他715件でした。令和6年に入ってからもこの傾向は続いており、とくに繁華街周辺では注意が必要です。
参考:区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(令和5年)(警視庁)
防犯設備の整備等に対する補助金制度がある
千代田区では、安全対策の一環として多様な防犯活動を展開しています。青色回転灯を搭載したパトロールカーの巡回や、防犯カメラ設置費用の一部補助などを通じて、地域住民と協力しながら防犯体制を強化。
そのほか、「こども110番の家」や「放課後子ども教室」など、子どもたちを守るための取り組みも実施中です。
こうした継続的な取り組みにより、千代田区内では多くのエリアで安心して暮らせる環境が整いつつあります。
参考:防犯設備(防犯カメラ等)の整備等に対する補助金(千代田区)
参考:「こども110番の家」活動支援(千代田区)
参考:放課後子ども教室(千代田区)
国会議事堂や皇居などがあり東京の中心部にある千代田区の特徴
千代田区は東京23区のほぼ中央に位置し、皇居や国会議事堂・官庁街などを擁する日本の政治・経済・文化の中心地です。地名は、かつてこの地にあった江戸城の別名「千代田城」に由来し、城を中心に街が発展してきました。
都市計画上、千代田区は7つのエリアに分かれており、それぞれの特性を生かしたまちづくりが進められています。
たとえば、麹町・番町地域は区内でも住宅用地の割合が最も高く(20.1%)、人口増加率も高いエリアです。一方、大手町・丸の内・有楽町・永田町地域は、ビジネスや行政機関の中枢が集まるエリアで、住宅用地はわずか0.4%にとどまっています。
この項では千代田区を通る路線や、街の特徴について解説します。
参考:区の起こり・由来(千代田区)
参考:地域別まちづくりの検討(千代田区)
JRや地下鉄などの主要路線が充実している
千代田区は、都内外へのアクセスに非常に優れたエリアです。合計20本の路線が通っており、主要駅への移動もスムーズです。
千代田区を通る主な路線(計20路線)
路線区分 | 路線名 |
JR線(8路線) | 上野東京ライン、東海道本線、横須賀線、京葉線、総武線、京浜東北線、山手線、中央線 |
東京メトロ(8路線) | 丸ノ内線、東西線、南北線、有楽町線、日比谷線、半蔵門線、千代田線、銀座線 |
都営地下鉄(3路線) | 大江戸線、新宿線、三田線 |
その他 | つくばエクスプレス |
東京駅では新幹線の利用ができ、他県への移動にも便利です。ターミナル駅である東京駅からは、上野駅まで約5分、新宿駅まで約15分、渋谷駅や池袋駅まで約20分、横浜駅まで約30分以内で行けます。
また、成田空港や羽田空港へのアクセスも良好で、出張や旅行にも便利です。
東京大学や明治大学など名門校の発祥地である
千代田区は、東京大学や明治大学など、有名大学の発祥の地として知られており、区内には小・中学校だけでなく、高校・大学・専門学校まで幅広い教育機関がそろっています。
質の高い教育環境が整っていることから、子どもの進学を見据えてこの地への引っ越しを検討する家庭も少なくありません。
特に御茶ノ水エリアには、明治大学や日本大学などの大学が集まり、日本有数の学生街としてアカデミックな雰囲気に包まれています。
さらに神保町エリアは「古書店街」としても有名で、知的な空気が漂う街並みが特徴です。
このように、千代田区は学びの環境が非常に充実しており、教育を重視する人にとって魅力的なエリアといえます。
子育てしやすい環境が整備されている
千代田区は子育て支援が充実しており、「千代田子育てサポート」や「子どもショートステイ」「育児支援訪問」など、多面的な制度が整っています。
経済的には、妊娠時に支給される「誕生準備手当」(4万5,000円、ただし令和7年9月30日で終了)や、2025年度から所得制限なしで始まる「中高生世代応援手当」(月1万5,000円)など、手厚い支援を実施。(詳細は6章で解説)
医療面では、夜間・休日の急な病気に対応する「ちよだこども救急室」が設置され、子育て情報は「子育て応援ガイドブック」にまとめられています。これらの支援事業についても6章で詳述します。
参考:一時的にお子さんを預けたいとき(千代田区)
参考:育児支援訪問事業(千代田区)
参考:誕生準備手当(令和7年9月30日で終了します)
参考:中高生世代応援手当(区独自制度)(千代田区)
参考:子育て(千代田区)
千代田区の家賃相場
千代田区の間取り別家賃相場は以下の通りです。
間取り | 家賃相場 |
1R | 15.18万円 |
1K | 12.89万円 |
1DK | 16.96万円 |
1LDK | 23.97万円 |
2K | 16.06万円 |
2DK | 23.47万円 |
2LDK | 32.34万円 |
3LDK | 44.05万円 |
千代田区の家賃相場は、東京23区の中でも高い水準にあります。
千代田区の家賃が高めになる要因としては、都心の中心に位置していることに加え、交通インフラの充実、文化施設や教育機関の多さが挙げられます。
特に、東京駅や大手町駅周辺などビジネス街に近いエリアは、家賃が高騰しやすい傾向にあるでしょう。
一方で、岩本町など比較的家賃が抑えられるエリアもあり、予算に応じた選択が可能です。
千代田区で治安が良く住みやすいエリア
千代田区には治安が比較的良く、交通の利便性にも優れた住みやすいエリアが点在しています。特徴やアクセス環境を踏まえて、自分に合った街を選ぶことが大切でしょう。
この項では、千代田区で治安が良く住みやすいおすすめのエリアを5つ紹介します。
神田
神田駅にはJR中央線・山手線・京浜東北線・東京メトロ銀座線の4路線が乗り入れています。
通っている路線 | 東京駅までの乗車時間 |
JR中央線 | 約2分 |
東京駅や新宿駅・渋谷駅など都心の主要駅に乗り換えなしでアクセス可能です。
また、神田駅周辺には、早朝から深夜まで営業するスーパーが多く、忙しい通勤・通学の方にも便利です。たとえば、「まいばすけっと」や「肉のハナマサ」は7:00から深夜まで営業しています。
飲食店や「神田駅西口商店街」などの商店街も充実しており、日々の食事や買い物に困ることはありません。
駅周辺にはオフィスや大学も多く、日中は人通りが多いため比較的安全です。江戸三大祭のひとつとして知られる神田祭りなどの伝統行事も受け継がれており、下町の情緒も残る地域です。
家賃相場は高めですが、アクセスの良さ、飲食店が多いことなどから学生や若手社会人、職住近接を希望する会社員にとって住みやすいエリアと言えるでしょう。
市ヶ谷
市ヶ谷駅はJR中央線・総武線や東京メトロ有楽町線・東京メトロ南北線・都営新宿線が利用でき、交通の便が良好です。
通っている路線 | 新宿駅までの乗車時間 |
JR中央線・総武線 | 約7分 |
市ヶ谷駅周辺はオフィスビルやマンションが建ち並び、にぎわいのあるエリアですが、少し離れると閑静な高級住宅街が広がります。
靖国神社や防衛省が近くにあることから警備体制も整っていて治安も良く、安心して暮らせる環境です。
駅近くには深夜1時まで営業している「リンコス」があり、買い物にも便利。おしゃれなカフェも点在しており、特に女性に人気です。
外濠公園が近く、緑に囲まれた落ち着いた雰囲気も魅力があります。治安の良さから、女性の一人暮らしやファミリー層にも支持されているエリアです。
小川町
小川町駅は都営新宿線が乗り入れています。
通っている路線 | 新宿駅までの乗車時間 |
都営新宿線 | 約12分 |
小川駅には都営新宿線のほか、徒歩圏内に東京メトロ丸ノ内線の淡路町駅、千代田線の新御茶ノ水駅があります。3路線を使い分けられるアクセスの良さも魅力です。
小川町駅から徒歩約3分のところには、千代田区立淡路公園があります。複合施設ワテラスに隣接しており、レストランやカフェにもすぐ行ける立地が魅力です。公園には小川が流れ、芝生広場もあり自然豊かな環境で、子どもを遊ばせるのにも最適です。
周辺には飲食店やコンビニも多く、生活の利便性は高め。オフィス街と住宅街が共存しており、治安も良好です。
御茶ノ水や神保町といった学生街にも近いため、単身者からファミリー、学生まで幅広い層に人気のエリアです。
半蔵門
半蔵門駅は東京メトロ半蔵門線が利用できます。
通っている路線 | 渋谷駅までの乗車時間 |
東京メトロ半蔵門線 | 約9分 |
半蔵門駅周辺は、都心の一等地にある閑静な住宅街で、一人暮らし向けのマンションが多く立ち並びます。
皇居、最高裁判所、衆議院宿舎など国の重要機関が集まるエリアで、警察官や防犯パトロールも多く、治安の良さは都内でもトップクラスです。
住宅街には学校や大使館もあり、地域全体にパトロールが行き届いているため、犯罪抑止につながっています。また、皇居が近いためランナーにも人気のエリアです。
買い物施設はやや少なめですが、静かな環境や高い安全性を求める人に最適なエリアです。
岩本町
岩本町駅に乗り入れているのは都営新宿線のみですが、JRの秋葉原駅、東京メトロ日比谷線の秋葉原駅、が徒歩圏内にあるため、利便性の高さは抜群です。
通っている路線 | 新宿駅までの乗車時間 |
都営新宿線 | 約15分 |
岩本町駅周辺はオフィス街のため深夜や休日は静かで、落ち着いた雰囲気が漂います。飲食店も多く、外食派にもうれしい環境です。
駅周辺には、徒歩5分以内に「まいばすけっと」などのスーパーが複数あり、日常の買い物にも便利です。大型商業施設は少ないものの、秋葉原駅まで徒歩圏内で、電化製品から生活用品まで何でもそろいます。
千代田区内では比較的家賃が抑えめで、秋葉原への好アクセスからIT関連企業の従業員の方やガジェット好きの方にも人気のエリアです。
千代田区が行う子育て世帯向けの支援事業
千代田区は子育て世帯向けの支援事業を多岐にわたって展開しています。
この項では、千代田区が行う子育て支援について3つ詳しく解説します。
中高生世代応援手当(区独自制度)
千代田区は2025年4月より、中学生・高校生のいる世帯に対し、子ども1人あたり月額1万5,000円を支給する「中高生世代応援手当」を開始しています。
所得制限は設けず、物価高騰などで増す子育て世帯の負担軽減を図るのが目的です。中高生を対象に所得制限なしで手当を支給するのは、23区では初の取り組み。
予算として約5億8,000万円が計上されており、さらに卵子凍結・生殖補助医療への最大10万円の助成や幼稚園の給食の無償化など、成長段階に応じた切れ目のない支援が進められています。
参考:“中高生に月1万5000円支給”東京・千代田区の子育て支援策…妊娠・出産期の助成も充実 「同じ都内なのに平等ではない」意見も(FNNプライムオンライン)
参考:中高生世代応援手当(区独自制度)(千代田区)
ちよだこども救急室
千代田区では、子どもの急な病気やケガに対応するため、「ちよだこども救急室」を設置しています。これは15歳(中学生)以下の初期救急患者を対象に、平日夜間に小児科医による診療を受けられるサービスです。
診察場所は日本大学病院 1階救急室で、大学病院と区内2医師会の小児科医師が、ローテーションを組んで救急診療にあたります。
いざというときに適切な医療を受けられる体制が整っていることは、子育て世帯にとって大きな安心につながります。特に共働き家庭や一人親家庭にとって、時間外でも子どもの体調不良に対応できるサービスは非常に重要といえるでしょう。
千代田区子育て応援ガイドブック
千代田区では、様々な子育て支援施策をわかりやすくまとめた「千代田区子育て応援ガイドブック」を発行しています。
このガイドブックでは、子育てに関する情報や支援制度、施設情報などが詳しく紹介されています。ガイドブックは区役所2階総合窓口や各出張所・児童館で配布されているほか、電子書籍やスマートフォンアプリでも閲覧可能です。
アプリ「Catalog Pocket(カタログポケット)」では、スマートフォンで手軽に子育て応援ガイドブックを読むことができるので、外出先でも情報を確認できて便利です。
子育てに関する支援や施設について知りたい方は、こちらのガイドブックをぜひ参考にしてみてください。
参考:2024千代田区子育て応援ガイドブック(令和6年8月発行版)
最後に
千代田区の住みやすさについて、治安や交通アクセス、子育て環境などの観点から解説してきました。
ここで本記事のポイントをまとめます。
・人口あたりの犯罪発生率は高いが、昼間人口を考慮すると実際の治安は良好
・交通アクセスは20路線が通っており、都内どこへでも移動しやすい
・子育て支援が充実しており、中高生への手当支給など先進的な取り組みを実施
・家賃は23区内でも高めだが、住環境の良さを考えれば納得できる水準
千代田区は政治・経済の中心地というイメージが強いかもしれませんが、実際には治安の良さや交通の利便性、充実した子育て支援制度など、様々な魅力を持った住みやすい街です。
特に半蔵門駅や市ヶ谷駅、麹町駅周辺は治安も良く、静かな住環境が整っているため、一人暮らしの女性やファミリー層にもおすすめです。また、充実した子育て支援制度は、子育て世帯にとって大きな魅力となっています。
千代田区への引っ越しを検討されている方は、ぜひ自分のライフスタイルに合ったエリアを選び、都心ならではの便利で快適な生活を楽しんでください。

<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。