中古マンションの仲介手数料はいくら必要?無料になるケースを解説

不動産を知りたい

「中古マンションを購入したときに支払う仲介手数料って何?」「不動産会社に仲介手数料をいくら払う必要があるの?」など、中古マンションの購入時に必要な仲介手数料について知りたいという人も多いのではないでしょうか。

仲介手数料は、中古マンションの売却や購入の際に不動産会社へ支払う手数料のことです。

物件を購入する場合は、売主との橋渡し(仲介)をしてもらうために支払います。しかし、実際に仲介手数料をいくら払えば良いかを知らない人も多いはずです。
仲介手数料は購入価格によって上限額が異なり、一定の条件を満たす物件であれば購入時の仲介手数料が無料になるケースもあります。
ただし、無料になる物件はそれ相応のリスクがあるので購入の際には注意が必要です。

今回の記事では、中古マンションの仲介手数料についての基礎知識と計算方法、無料になる3つのケースについて詳しく解説します。
これから中古マンションの購入を考えている人は最後まで読んでいただければと思います。

仲介手数料は不動産売買が成立した際に支払う報酬

中古マンションなどの不動産を購入する際には、不動産会社を通じて物件を探すのが一般的です。物件購入を決めた後は、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

ここでは、仲介手数料に含まれる通常業務と別途費用を請求される場合について詳しく解説します。

仲介手数料に含まれるのは通常の業務にかかる費用

不動産の購入が決まった際に支払う仲介手数料に含まれるのは、購入にあたって必要な通常業務にかかる費用です。

不動産の売買が決まると売主、買主は媒介を依頼した不動産会社にそれぞれが仲介手数料を支払います。
売主と買主は不動産会社に依頼する内容が異なるので仲介手数料に含まれる業務の内容も違います。

売主の場合は、販売図面の作成、広告宣伝費、内見調整、買主との交渉、売買契約から引渡しまでの補助が必要になります。一方で、買主の場合は、物件を探し、内見調整、売主との交渉、売買契約や住宅ローン手続きの補助などが通常業務に含まれます。

【不動産売却時の仲介手数料に含まれる通常の業務】
・物件探し
・内見調整
・契約条件の調整
・契約書類の作成
・契約から引渡しまでの事務手続き(測量士や司法書士などの士業の紹介なども含む)

【不動産購入時の仲介手数料に含まれる通常の業務】
・物件探し
・内見調整
・契約条件の調整
・契約書類の作成
・契約から引渡しまでの事務手続き(司法書士の紹介、住宅ローン、火災保険の手続きなども含む)
※住宅ローンの手続きについては、不動産会社によっては住宅ローンの斡旋を行っており、斡旋費用を請求される場合があります。

不動産売却時・購入時のどちらも仲介手数料に含まれる通常業務は、物件探しから引渡しまでの間の手続きの内容が含まれます。

実際に中古マンションの購入を検討している方は、どこまでの範囲が仲介手数料に含まれる範囲かをあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

仲介手数料に含まれない費用は別途請求される場合がある

通常の業務以外に掛かった費用については、仲介手数料に含まれていないので、別途費用を請求される場合があります。

不動産会社の用意する媒介契約書には以下の条文が記載されています。

(特別依頼に係る費用)
甲(売主)が乙(不動産会社)に特別に依頼した広告の料金又は遠隔地への出張旅費は甲の負担とし、甲は、乙の請求に基づいて、その実費を支払わなければなりません。

不動産会社が仲介手数料以外に請求できるのは、以下の条件を満たしたものだけです。

・不動産売却・購入依頼者から依頼されたことで発生した業務であること
・通常の仲介依頼業務では行わない業務を遂行するために発生した費用であること
・実際に発生した費用であること

不動産会社が仲介手数料に含まれない費用として別途請求される例については以下のようなものがあります。

【仲介手数料に含まれない費用として別途請求される場合があるもの】
・売主の要望で通常行わないエリアや媒体での広告活動を行った場合
・売主の希望で遠隔地の買主との交渉に向かった際の交通費

実際に中古マンションの購入を検討している方は、不動産会社と事前に打ち合わせした上で、仲介手数料に含まれるものと含まれないものを確認しておくことをおすすめします。

仲介手数料の上限額は中古マンションの購入価格によって異なる

仲介手数料には上限があり、購入する中古マンションの価格によって支払う金額は異なります。

ここでは、仲介手数料の上限金額と計算方法について詳しく解説します。

購入価格ごとの仲介手数料の上限額

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められています。
中古マンションなどの不動産の購入価格によって3つのパターンに分けられます。

200万円以下の部分購入金額の5%+消費税
200万円超~400万円以下の部分購入金額の4%+消費税
400万円超の部分購入金額の3%+消費税

一般的に不動産の購入に掛かる仲介手数料は購入価格の3%+6万円+消費税と言われています。
それは400万円超の不動産取引が多いからです。

本来の仲介手数料の計算は、200万円以下の部分、200万円超~400万円以下の部分、400万円超の部分の3つの部分に分けて計算したものを足します。

例えば、1,000万円の物件の場合、200万円以下の部分は200万円×5%=10万円、200万円超~400万円以下の部分は200万円×4%=8万円、400万円超の部分は600万円×3%=18万円で合計は36万円+消費税です。

しかし、これでは計算がしづらいので、一律3%で計算して200万円以下の部分の残り2%の4万円、200万円超~400万円以下の部分の1%の2万円を足す(購入価格の3%+6万円+消費税)速算式を活用することが多い傾向にあります。

仲介手数料の早見表

ここでは、購入金額別に仲介手数料の早見表を紹介します。

売買代金仲介手数料
200万円10万円+消費税
400万円18万円+消費税
1,000万円36万円+消費税
2,000万円66万円+消費税
3,000万円96万円+消費税
4,000万円126万円+消費税
5,000万円156万円+消費税
1億円306万円+消費税

不動産売買の仲介手数料の上限額は、物件の売買代金によって異なります。売買代金が400万円以下の仲介手数料の上限は180,000円(税抜)と定められているため、空き家の売却時にも活用されています。

実際に中古マンションを購入する場面では、不動産会社に支払う必要がある仲介手数料を確認しておきましょう。

仲介手数料を住宅ローンに組み込める金融機関が多い

購入価格に仲介手数料をプラスして住宅ローンを借りられるオーバーローンが組める金融機関が多い傾向にあります。

オーバーローンでは仲介手数料の他にリフォーム費用なども借りられます。オーバーローンで住宅ローンが組めれば、手元から出すお金が減るので、家具や電化製品などを購入や生活費に充てることもできます。

ただし、オーバーローンを組むということは借入額が増えるということなので毎月の返済が多くなる点には注意が必要です。

中古マンションの仲介手数料が無料になるケース

中古マンションを購入する際に仲介手数料が無料になるケースがあります。
仲介手数料が無料になると、リフォームや家具・家電、生活費など他の用途に資金を回すことができるのでお得です。
ここでは中古マンションの仲介手数料が無料になる3つのケースをご紹介します。

両手仲介で売主のみから仲介手数料を取る場合

売主と買主を1つの不動産会社が仲介する場合は、両方から仲介手数料をもらえることになり、両手仲介と言います。

しかし、近年では不動産売買を行う不動産仲介会社を中心に、両手仲介になる物件でも売主から仲介手数料をもらって買主の仲介手数料を無料にする不動産仲介会社が多く見かけられます。

ネットのみの不動産仲介会社の場合、インターネットを活用してVR内見や電子契約を行うことができるので人件費や広告費などの経費を抑えることができます。

その結果、売主、買主のいずれかから仲介手数料をもらう選択肢を取る不動産会社が増えてきたという訳です。

また、不動産業界は競合他社が多いので、売主、買主のいずれかの仲介手数料を無料にすることで他社との差別化を図っているケースもあります。

不動産会社が売主の場合

不動産会社が売主の場合は、買主の仲介手数料は無料です。

売主が不動産会社ということは、売主と直接契約することになるので仲介手数料は必要ありません。
不動産会社が売主になる物件には、新築の戸建、マンション、買い取り再販のリノベーション物件などがあります。

不動産会社の仲介を通さずに売主とやり取りができるので、当事者間で値引き交渉や売買の条件を変更することも可能です。また、売主と買主の話がスムーズに進みやすく、マンションを購入するまでの時間を短縮することが出来る点もメリットになるでしょう。

個人から直接購入する場合

売主が不動産会社ではなく、個人から直接購入する場合は不動産会社に仲介を依頼する必要はないので仲介手数料は無料です。

ただし、不動産会社に仲介を依頼せずに個人間で不動産の売場契約する場合はトラブルが多くなる可能性があります。

個人から直接購入するケースとしては、知人からの紹介や空き地を見つけて直接売主に交渉するといったケースが考えられます。

専門的な知識を有していない人同士の取引の場合は、問題が発生することも考えられます。
正確な記録を残すためにも、曖昧な契約は行わずに、売買契約書などはきちんと作成するようにしましょう。

中古マンションの仲介手数料が無料の物件の注意点

中古マンションの仲介手数料が無料となる物件には気を付けておきたいいくつかの注意点があります。

仲介手数料が無料となる物件のデメリットも理解した上で検討するようにしましょう。

取り扱う物件が限られている場合がある

不動産仲介会社が仲介手数料を無料にするには売主・買主を1つの不動産会社で行う両手取引である必要があります。

両手取引になる物件は、基本的には売主から不動産会社が直接預かった物件のみです。
したがって、不動産会社によっては取り扱う物件が限られてしまう場合があります。

仲介手数料が無料だからといってあまり気に入っていない物件を購入するのは本末転倒です。
不動産会社が取り扱う物件を検討する際の選択肢の一つとして覚えておくとよいでしょう。

他の名目で手数料が請求されていないかを確認する

仲介手数料は無料であっても、他の名目で手数料を請求する不動産会社も存在します。

売主の場合は仲介手数料とは別に広告料を請求される、買主の場合はローンの斡旋もしていないのに費用を取られるといったケースもあります。

本来は支払うべきではない費用だと思ったら必ず不動産会社に詳細を確認しましょう。

トラブルの発生時に相談できる人が少ない

売主や個人から直接購入する場合は、トラブルの発生時に相談できる人がどうしても少なくなってしまいます。

いくら仲介手数料が無料でもトラブルが発生してしまうとそれ以上費用と労力が必要になってしまっては意味がありません。

不動産の取引は専門性が高いので、仲介会社は宅地建物取引業の免許を取得しないと営業ができず、通常の不動産の売買契約では、宅地建物取引士が売買契約書や重要事項説明書を作成して説明するなど、トラブルが起こらないように細心の注意を払って契約を進めます。

仲介手数料はトラブルを防ぐための経費と考えて、他の部分で節約を考える方が良いでしょう。

中古マンションの仲介手数料の価格交渉は難しい場合もある

不動産会社の提示する中古マンションの仲介手数料は、上限額なので基本的には価格交渉できますが、実際には仲介手数料の価格交渉は難しい場合が多いです。

また、仲介手数料の値引き交渉をすることで、担当のサービスが悪くなる、紹介してくれる物件が少なくなるといったサービスの低下が気になります。

そこで、仲介手数料の価格交渉をするにはタイミングが重要です。
不動産会社や営業マンが数字に追われる月末や売却期間がちょっと長い物件であれば交渉できる可能性は高まります。

仲介手数料は不動産会社に仲介をしてもらう対価と考えて無理のない範囲で交渉しましょう。

最後に

今回は、中古マンションの仲介手数料の仕組みや計算方法、無料になるケースについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

中古マンションの仲介手数料は、不動産の売買が成立した際に不動産会社に支払う報酬です。
一般的には、「売買価格の3%+6万円+消費税」で計算されますが、この金額はあくまで上限で値引き交渉することも可能です。

しかし、実際には値引き交渉は難しく、上限金額が本来支払うべき金額であると考えておく必要があります。
住宅ローンのオーバーローンを使えば、仲介手数料も貸してもらえるので手出しなしで中古マンションを購入できます。

また、仲介手数料が無料になる物件もありますが、個人から直接購入する場合はトラブルも多くなるので注意しましょう。
売主から交渉が上手く行かない場合や不利な条件を提示される場合は、不動産会社に相談して仲介してもらう方が安心です。
不動産会社に支払う仲介手数料はトラブルを回避する保険と考えると良いでしょう。

これから中古マンションの購入を考えている、仲介手数料はいくら必要なのかを知りたいという人は、今回の記事を参考にしていただければと思います。

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引主任者 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

こちらの記事も読まれています

特集記事

TOP