「大田区の治安がどうなのか知りたい」「住みやすいおすすめのエリアはどこ?」など、旅行や出張などで便利なのはもちろん、都心へのアクセスもよいので興味を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
都内でただひとつの国際空港である、羽田空港がある大田区。
また、住まいの場所として大田区を検討している方は、治安についても気になるところでしょう。
この記事では、大田区の治安や特徴、住みやすいエリアについて解説します。
また、大田区がおこなう子育て世帯向けの支援事業についても解説していくので、ファミリー世帯の方もぜひ参考にしてください。
2023年における大田区の治安の良さは23区内で7位
大田区の2023年における治安の良さは23区内で7位でした。
このランキング結果は、警視庁が公表した令和5年度の犯罪件数(大田区:3,851件)を、人口(大田区:734,189人)で割って100をかけた犯罪発生率をもとに計算した値によるものです。
大田区のなかでも高級住宅街である田園調布駅周辺は、住民の防犯意識も高く、定期的にパトロールがおこなわれているため、とくに安心できる地域です。
一方、蒲田駅周辺は繁華街があるため、人が集まりやすく犯罪の件数が多くなっています。
この項では、大田区の治安についてと、大田区が実施している防犯対策について解説します。
参考:区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(警視庁)
参考:令和5年12月1日現在(大田区)
人口当たりの犯罪件数を示す犯罪発生率は低い
前述したように、大田区は犯罪発生率が低く、治安の良さでは23区内7位という好成績でした。
しかし、犯罪件数自体は3,851件であり、多い傾向にあります。
その理由は大田区が23区で最大の面積を誇ることや、人口の多さがあげられます。
人口が多い分、犯罪の件数も多くなる傾向にあるからです。
地域の治安を確認する際には、犯罪件数だけではなく、人口当たりで算出される犯罪発生率を目安にするようにしましょう。
自転車盗などの非侵入窃盗が増加傾向にある
大田区内における令和5年の刑法犯認知件数は3,851件で、前年と比べ197件増加しました。
そのうち、自転車盗などの窃盗は1,248件から1,1426件となり、前年の令和4年と比べて178件増加しています。
23区内では4番目に多い件数です。
なお、自転車盗は、駅前などの駐輪場や外出先のお店等の駐輪場だけでなく、一戸建て住宅の敷地内やアパート敷地内の駐輪場でも起きています。
自宅の敷地ということで安心してしまい、無施錠の状態で盗難の被害に遭っているケースが多いのです。
被害に遭わないために、家でも外出先でも自転車の鍵は必ずかけるようにしましょう。
また、防犯性を上げるために2つ以上の鍵をかけたり、防犯性の高い鍵をつけたりといった対策をとることをおすすめします。
参考:区内犯罪発生状況(大田区)
参考:「自転車盗」の防犯対策(警視庁)
大田区独自の防犯対策が充実している
大田区は「自転車盗難被害防止対策」「特殊詐欺被害防止対策」「こどもを犯罪から守る対策」を3本柱として、防犯対策の強化を進めています。
地域住民、警察、区役所が密接に協力して、犯罪の予防と対策を進めています。
大田区では地域防犯パトロール活動をおこなっている団体に対して経費の一部を助成しています。
助成の対象となるのは「防犯パトロール活動」を定期的に実施している、またはこれから始めようとしている自治体やPTA等です。
助成は以下のような物品の購入費が対象となります。
・パトロール用ジャンパー
・パトロールライト
・帽子
・腕章
・のぼり旗
・車両に装備する着脱式青色回転灯の購入費
・パトロールに使用した青色回転灯装備車両の燃料費
積極的に防犯に取り組む団体に助成することにより、地域とともに安全で安心できるまちづくりを目指しています。
また、子どもや高齢者の安全に関しても積極的に対策をとっていることも大田区の特徴です。
「こどもSOSの家」(大田区)の活動周知のため、オンライン説明会の動画を配信したり、特殊詐欺などの被害防止のため、65歳以上の区内在住の人には自動通話録音機を無償で貸し出したりしています。
※こどもSOSの家:子どもが下校時などのつきまとい行為などの被害を受けそうになったり、身の危険を感じたりした際に助けを求められる避難所。趣旨に賛同した区民が協力員となっている。
参考:防犯対策(大田区)
23区内で最も面積の広い大田区の特徴
大田区は、東京の東南に位置し、多摩川と東京湾に面しています。
23区内で最も広く、面積は61.86平方キロメートルです。
東京屈指の高級住宅街である田園調布や、古くからの商店街や町工場も多く、多様性のある街といえます。
都心からは比較的離れた地域ですが、都心へのアクセスは良く、羽田空港もあります。
また、大田区では蒲田駅と京急蒲田駅を繋いで東西方面へのアクセス性を向上させる新空港線(通称:蒲蒲線)構想が進められています。
開通が予定されているのは2035年前後です。
今後の区内外の移動が便利になり、地域の活性化が期待されています。
この項では、大田区の特徴について解説します。
首都圏からのアクセスが良い羽田空港がある
大田区には、日本経済の発展や社会の進歩を支えてきた羽田空港があります。
「都心から近く、24時間オープンしている」という強みにより、観光やビジネスの環境をより向上させている空港といえます。
正式名称は「東京国際空港」でターミナルは第1~第3まであり、空港としては日本一の広さを誇ります。
首都圏からのアクセスが良く、東京モノレール線なら浜松町駅から約13分、京急線なら品川駅から約13分です。
出張で遠方や海外へ行くことが多い方には大変便利なエリアです。
落ち着いた雰囲気の高級住宅街がある
大田区には、田園調布や山王といった落ち着いた雰囲気の高級住宅街があります。
山王は、武蔵野台地の東側に位置し、日本考古学発祥の地ともいわれる「大森貝塚」が近くにある地域です。
後ほど詳しく解説する田園調布ほど知名度は高くありませんが、高級住宅地としてのはじまりは山王の方が古く、高級感のある住宅が立ち並んでいます。
高級住宅街の特徴としては、喧騒から離れた静かな地域であったり、景観の良い高台にあったり、一戸の区画が大きかったりすることがあげられます。
自治体がその景観や治安を守るため、住宅の高さや土地を分割する際のルールなど、細かく規定しています。
参考:山王まちづくりルール(大田区)
参考:田園調布地区(大田区)
公園の数が多く豊かな自然環境がある
大田区には都内でも規模の大きい公園や多摩川などがあります。
都内屈指の広さを誇る洗足池公園の洗足池では、3種類のボートが楽しめ、水鳥や四季折々の自然を観察できます。
また、ユニークな公園も数多くあります。
たとえば
・遊具が豊富にある平和の森公園
・タイヤで作られた怪獣や遊具がある西六郷公園
・SL機関車がある入新井西公園
などは、子どもたちも飽きずに外遊びを満喫できるでしょう。
さらに、多摩川沿いの丘陵地に約750メートルにわたって広がる多摩川台公園には、自然林の道、水生植物園、四季の野草園、あじさい園、山野草のみちなどがあり、自然豊かな環境を満喫できます。
大田区内で治安が良く住みやすいエリア
大田区の中でも治安が良く、住みやすいエリアを5つご紹介します。
落ち着いた静かな街で、交通アクセスもよく、買い物など日常生活にも困らないおすすめの地域です。
田園調布
田園調布は高級住宅街のなかでも特に人気の高いエリアです。
駅前にはレンガ調の建物が多く、オシャレで落ち着いた雰囲気になっています。
田園都市のモデルとして開発された住宅地でもあり、駅から放射状に広がる街路樹や街路沿いに植えられたイチョウ並木がこの街の特徴です。
田園調布駅には東急東横線と東急目黒線が通り、渋谷まで約12分、新宿駅まで約27分と交通アクセスにも優れています。
飲食店や娯楽施設が少なく、酔っ払いなどによるトラブルが起きにくいため治安の良さも保たれています。
ただし、夜遅くまでやっているお店が少ない分、街が暗くなってしまうため帰りが遅い人は夜道に気をつける必要があるでしょう。
大森
ビジネス街と商店街の両方がある大森は、ファミリー層向けのエリアです。
スーパーの種類も豊富で、飲食店も多い割に治安がよいので暮らしやすい街といえます。
ただし、大森駅の東側の繁華街周辺では酔っ払い関連のトラブルが起きていることもあり、一部のエリアでは注意が必要です。
また、駅の東側には日本科学未来館・しながわ水族館・お台場や各種海浜公園などがあるので、家族のお出かけに困ることもないでしょう。
池上
池上は、池上本門寺があることでも有名で、門前町として栄えた情緒ある落ち着いた雰囲気の街です。
また、豊かな自然環境があるエリアです。
区の花であるウメが30種あまりある池上梅園や、池上本門寺に隣接し、デイキャンプ場やグラウンド、弁天池や子ども広場などがある本門寺公園では、自然の魅力を存分に味わえます。
昔ながらの商店や飲食店のほか、大型スーパーマーケットもあるので、日常の買い物に不便もないでしょう。
2021年3月には、駅直結型商業施設「エトモ池上」がオープンしました。
5階建ての建物の中には、ドラッグストアやコーヒーショップ、病院、ジムやヨガスタジオなどが入っています。
そのほか図書館、学童、保育所など、ファミリー層にとってもうれしい施設が入っています。
糀谷
糀谷は蒲田駅の1つ隣に位置し、京浜急行電鉄・空港線が通っているので交通アクセスが良好です。
繁華街に比較的近いエリアでありながら治安はよく、落ち着いた雰囲気の街です。
下町風情が色濃く残る商店街もあり、都内では物件の家賃が抑えられています。
空港が近く飛行機の音が気になる場合もあるので、事前の下見をしっかりしておきましょう。
雪が谷大塚
閑静な住宅街でファミリー向けの物件が多く、静かな環境を確保できます。
駅を出るとすぐに商店街とスーパーがあるので、生活にもとても便利です。
雪が谷大塚は治安もよく、駅がある南雪谷2丁目の令和5年の犯罪件数は11件でした。
大田区で最も犯罪発生件数が多いエリアの蒲田5丁目の358件に比べると、かなり少ない件数であることがわかります。
また、雪が谷大塚駅は、東急池上線が利用できます。
乗り換えが1回必要となりますが、新宿駅へは約30分、品川駅までは約22分と交通アクセスも良好です。
雪が谷大塚駅は車庫になっていることもあり、始発の電車なら通勤時間でも座れるといった点が魅力のひとつといえるでしょう。
大田区が行う子育て世帯向けの支援事業
ファミリー世帯にとって、住みたいと思う街の治安の良さはもちろん重要ですが、子育て支援の充実度についても気になるところでしょう。
核家族化や共働き世帯が増えたことにより、家庭での子育ての負担は大きくなってきています。
育児に対する不安や悩みを聞いてくれたり、家事や育児のサポートが必要になったりする場面もでてくるでしょう。
大田区では、子育て世代を支える支援事業をおこなっています。
以下で3つご紹介します。
ホームスタート・おおた
大田区では、令和6年7月16日より地域ボランティアによる家庭訪問型子育て支援「ホームスタート」が開始されました。
「ホームスタート」は1973年にイギリスで始まった子育て支援で、現在では世界22か国に広がっている活動です。
支援の対象となるのは生後6ヶ月から12ヶ月までの乳幼児(第1子に限る)を育てる世帯。
初めての子育てに不安や悩みを抱えるご家庭に、研修を受けた地域の子育て経験者がボランティアとして訪問します。
訪問は週に1回2時間程度で、4回の訪問がセットになっています。
外出もままならなく、孤独になりがちで大変な時期に一緒に話をしたり、子育て・家事をおこなったりして、子育てを無料でサポートしてくれる事業です。
なお、この支援制度は、あくまでも「一緒に」をモットーとしているため、家事代行やベビーシッターはおこなっていません。
ファミリー・アテンダント事業
ファミリー・アテンダント事業として、前項で解説したホームスタートとともに「見守り訪問」を受けられます。
子育て経験や子育て支援に関わりのある訪問員が毎月1回家庭を訪問し、初めての子育てをサポートします。
見守り訪問の対象となるのは生後6ヶ月から12ヶ月までの乳幼児(第1子に限る)を育てる世帯。
訪問員が玄関先で5分程度、子育ての様子を聞いたり、区内の子育て関連情報を伝えたりします。
訪問後にはおむつ等の子育て支援品と交換できる、育児チケットが受け取れます。
玄関先で気軽に子育ての不安や悩みをきいてもらえ、お得なチケットももらえるのでうれしい訪問と感じる世帯も多いでしょう。
大田区産後家事・育児援助事業(ぴよぴよサポート)
産後の家事・育児の負担軽減を目的に、ヘルパー・助産師を定額で利用できるサービスです。
対象となるのは大田区に住む2歳まで(3歳の誕生日の前日まで)の子どもを育児中の世帯。
対象児1人当たりにつき、年間20時間の利用が可能です。
利用料金は1時間当たり自己負担額500円で、ヘルパーは1回2時間以上、助産師は1回2時間までのサポートとなります。
保護者不在時に子どもを預かってもらうといった利用はできませんが、日常的に行う家事や、育児のサポートを受けられます。
なお、はじめてぴよぴよサポートを利用する世帯の方は、2時間無料となります。
参考:【2歳まで利用できます】大田区産後家事・育児援助事業(ぴよぴよサポート)
最後に
この記事では、大田区の治安や特徴について解説しました。
大田区は犯罪発生率が低く、治安の良い地域といえます。
公園や自然環境も充実しているので、ファミリー世帯にもおすすめの地域です。
ただし、住まいとして選択するときは、人が多く集まり、トラブルが起きやすい繁華街があるエリアは避けるようにしましょう。
警視庁の犯罪情報マップで、住みたい地域の治安を細かく確認してみるのもおすすめです。
また、街灯が整備され、暗い箇所はないか、人通りの多い道を歩いて帰宅できるか確認しておくことも重要です。
昼と夜など、時間帯を分けて街の様子をチェックしておくのもよいでしょう。
この記事を参考に、大田区を住まいの選択肢の一つとして検討してみてください。
<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。