「中古マンションのリノベーションはお金が掛かるので失敗したくない」「家の設備の改修で後悔したという事例を調べておきたい」など、中古マンションのリノベーションに興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
特に、都心部では、新築マンションの高騰が進んでおり、中古マンションを購入してリノベーションをして自分好みの部屋にして住みたいという人が増加傾向にあります。
しかし、中古マンションのリノベーションは、大きな費用がかかる上に、計画通りに進まないリスクや完成後の満足度に対する不安もあり、中古マンションのリノベーションをして後悔したというケースも多いです。
中古マンションのリノベーションで後悔しないためには、事前準備をきちんと行うことが重要と言えるでしょう。
予算をあらかじめ決めておく、リノベーションでやりたいことの優先順位を決めておくといった準備をしておくだけで、中古マンションでのリノベーションの失敗する可能性は大きく減ります。
今回の記事では、リノベーションで後悔しないための事前準備の重要性とリノベーション物件を購入する上で確認しておきたい7つのポイントについて詳しく解説します。
これから中古マンションを購入してリノベーションをしようと考えている人は、この記事を最後まで読んでいただければと思います。
リノベーションで後悔しないために準備すべき3つのこと
中古マンションのリノベーションで後悔しないためには、事前準備をきちんとしておくことが重要です。
リノベーションの計画を立てる際には、予算の枠組みや優先順位、実際にリノベーションが可能なのかなど事前に確認しておく必要があります。
事前準備をしっかりと行い、後悔しない中古マンションのリノベーションを実現しましょう。
予算をあらかじめ決めておく
中古マンションのリノベーションにおいて、予算をあらかじめ決めておくことは非常に大事なポイントです。
リノベーションでは、自分好みの間取りの実現や最新の設備の導入など理想を追求するとなると費用が嵩んでしまいます。
大幅に予算オーバーしてしまうと毎月の支払いが増え、入居後の生活費にも大きな影響を与えます。
そのため、中古マンションをリノベーションする際には、物件価格+リノベーション費用の上限を決めておくことが重要です。
リノベーションでやりたいことに優先順位をつけておく
中古マンションのリノベーションを計画する上で、リノベーションでやりたいことに優先順位をつけておくことは重要なポイントです。
いくら予算を決めても、リノベーションでやりたいことの優先順位を付けておかないと予算オーバーしやすくなります。
間取りの変更や水回りの入替えなど費用の掛かる工事の優先順位をつけておくと計画が組みやすくなります。
中古で購入する物件の状態を隅々まで確認しておく
中古マンションのリノベーションでは、購入する物件の状態を隅々まで確認しておく必要があります。
リノベーションでは、間取りの変更や設備の入れ替え、新たな収納の設置など様々な工事を行います。
物件によっては、柱や梁が邪魔で間取り変更ができない、希望しているキッチンや浴槽が入らないといったケースも多いです。
特に、築年数の古いマンションには柱や梁が多いので、購入前にリフォーム会社に工事ができるかを確認してもらうほうが良いでしょう。
リノベーションで後悔しないためにできる7つのポイント
ここでは、中古マンションを購入してリノベーションを計画しているAさんの例に、後悔しないためにできる7つのポイントについて解説します。
Aさん
性別:男性
年齢:35歳
地域:東京
未既婚:既婚
年収:700万円
都内にある駅から徒歩10分の物件でとにかく立地が気に入っている。築20年の物件なのでリノベーションをして住む予定。オール電化にするなど最新の設備を入れたい。
管理費や修繕積立金がかかることを知っておく
リノベーション目的で中古マンションを購入する際に後悔することが多いのが、管理費や修繕積立金の金額を事前に確認せずに購入してしまうケースです。
〈管理費や修繕積立金を知らずに購入して後悔する可能性がある〉
・想定以上に金額が高く、生活費に影響する
・段階増額積立方式だと将来修繕積立金が値上がりする可能性が高い
・A棟B棟など複数の建物からなる大規模マンションの場合は、個別の棟だけでなく、全体の管理費や修繕積立金外必要な場合がある。
マンションでは、管理組合の運営費用として管理費と建物全体の大規模修繕工事を行うための修繕積立金を管理組合に毎月支払う必要があります。
管理費と修繕積立金については、マンションによって異なりますが、平成25年に国土交通省が行ったマンション総合調査結果によると、管理費の平均額は15,257円、修繕衝立金の平均額は11,800円です。
特に、築年数の古い中古マンションの場合は、管理費や修繕積立金が値上がりしているケースが多いので注意しましょう。
〈後悔しないためのチェックポイント〉
①修繕積立金の金額の確認
中古マンションを内覧する際には、不動産会社から物件についての資料がもらえるはずです。
物件資料には管理費、修繕積立金の金額が記載されているので必ず確認しましょう。
②マンションの重要事項調査報告書の確認
購入を検討する際には、必ずマンションの重要事項調査報告書を不動産会社から入手しましょう。
重要事項調査報告書には、マンションの将来的な管理費の値上げや大規模修繕の時期、現在の積立金額などが記載されています。
又、最近では、大規模修繕について長期修繕計画を作成しているマンションも多いです。
長期修繕計画があれば、大規模修繕の時期や修繕積立金の値上げ時期などが予測できます。
③マンションの修繕積立金の積み立て方法を知っておく
マンションの修繕積立金の積み立て方法は、均等積立方式と段階増額積立方式の2種類です。
均等積立方式は、早い段階で修繕積立金を値上げして、その後の値上げ幅を小さくするのに対して、段階増額積立方式は、分譲当初は修繕積立金を低く設定し、5年後、10年後と段階的に値上げします。
ほとんどのマンションでは、新築時に購入しやすいように管理費、修繕積立期が低めに設定されているので、築年数が浅い物件を購入する際には、将来の管理費・修繕積立金の値上げの可能性が高い点に注意が必要です。
希望のリノベーションができるかを管理規約で確認
マンションには、マンションの管理組合の運営や使用にあたっての取り決めや注意事項などを記載した管理規約があります。管理規約にはリフォームやリノベーションについての取り決めも記載されているので、購入前に必ず管理規約を確認するようにしましょう。
〈管理規約を確認しないで物件を購入することで後悔する可能性がある〉
・床材の遮音等級の指定があるのを知らず、安い床材で見積もりをしてしまった為、予算が大幅にオーバーする。
・水回りの移動が禁止されているのに気付かず、間取り変更が出来ない。
・前面道路の交通量が多いので2重サッシにしようと思ったが、管理規約に窓については個別での変更ができないと書かれていたので変更ができない。
マンションは、ひとつの建物に多くの人が住むのでトラブルを防止するために「建物の区分所有等に関する法律」、いわゆる「区分所有法」が定められています。
国土交通省は、この区分所有法に基づいて、1982年にマンション管理のガイドラインとして「中高層共同住宅標準管理規約」を作成し、改正を重ねて平成16(2004)年に現在の「マンション標準管理規約」を公表しています。
このマンション標準管理規約を元に、各マンションが独自の管理規約を作成しているという訳です。
管理規約には、各部屋の使用方法(居住用のみ、事務所禁止など)やマンションの管理組合の運営方法などが定められており、その一部として各部屋のリフォームの規定が設けられています。
〈後悔しないためのチェックポイント〉
①後悔する人が最も多い床材の素材
床材には、床への衝撃音をどれくらい防ぐことが出来るのかによって遮音等級が設定されています。
遮音等級はL値で表されますが、L値は低いほど遮音性能が高くなります。後からこっちの床素材にしておけばよかったなどといった後悔する可能性がありますので、気にかけておきましょう。
マンションの管理規約では、LL45以上と指定されていることが多いです。
一般の床材と比べて高いので、見積もり段階で床材の指定がある旨、リフォーム会社に伝えるようにしましょう。
参考:床衝撃音遮断性能規準 と居住者の 生活実感の対応
②玄関扉や窓枠のリノベーション
玄関扉や窓枠はリノベーションで変更できないケースがほとんどです。マンションでは、各住戸以外の廊下などは共用部分なので勝手にリフォームができません。
中でも住戸内とよく勘違いされるのが、ベランダ、玄関扉、窓枠です。ベランダ、玄関扉、窓枠は住戸内にありますが、マンションの共用部を専用使用権によって利用している形になっています。
そのため、2重サッシに変える場合は管理組合に許可を取る必要があります。
購入後に管理組合に確認したらNGということもあるので、専用仕様部分を変更したい場合は管理組合に事前に確認しましょう。
③水回りや間取りの変更
リノベーションは自分好みの間取りや水回りの配置をできるのがメリットですが、管理規約で禁止されている場合は実施できません。間取り変更など大掛かりなリノベーションをする場合も事前に管理組合に確認する方が良いでしょう。
リノベーションする箇所の素材はプロに相談して一緒に決める
中古マンションのリノベーションでは、壁紙や床材、建具などを見た目だけで選んで失敗するケースも多いです。リノベーションをする箇所の素材についてはプロに相談して一緒に決めましょう。
〈リノベーション箇所の素材をプロに確認せずに進めた場合、後悔する可能性がある〉
・壁紙を選んだ際に、サンプルでは明るい感じに見えたが、実際に貼ると暗く感じる。
・一つ一つの色は良いのだが、他の部分との色合いに統一感がなくバランスが悪い。
リノベーションのメリットのひとつが、自分で気に入った素材や設備などを選べる点です。
しかし、実際に施工してみると思っていた色と違う、建具との色合いのバランスが悪いといったケースもよくあります。
リフォーム会社が用意する画像や小さなサンプルだと実際の仕上がりを予想することが難しいことを理解しておくことが重要です。
〈後悔しないためのチェックポイント〉
①仕上がりイメージを確認しておく
画像やサンプルで良いと思っても仕上がりとは差があることを認識し、リフォーム会社の担当者に施工後の仕上がりイメージを確認しておくことが重要です。室内を明るい雰囲気にしたい、白と黒でシックにまとめたいなど、具体的なイメージを伝えると的確なアドバイスをもらいやすくなります。
②リフォーム会社のショールームを見学
施工後のイメージを確認したい場合、リフォーム会社のショールームを見学するのもひとつの方法です。自分の気に入っている素材がショールーム内でどのように使われているかを確認しましょう。ショールームでは、素材が見栄えがするように色彩のバランスなども工夫していることが多いので参考にすると良いでしょう。
電気容量を確認しておく
IHクッキングヒーターや食洗機など最新の設備を導入したいという人も多いでしょう。特にオール電化にする場合は、大きな電気容量が必要になるので事前に確認しておく必要があります。
〈電気容量を確認せずに進めた場合後悔する可能性がある〉
・住戸に供給される電気容量が30Aしかなく、オール電化にできない。
・電子レンジやホットプレートを一度に使うと電気容量不足でブレーカーが落ちる。
・管理規約に規定があり、電気容量を変える分電盤の交換ができない。
マンションでは、建物全体に供給される電気容量が決まっており、マンション毎にその電気容量は異なります。
最近建築されたマンションの場合は、オール電化のリフォームなども想定して供給される電気容量が大きいケースが多いですが、築年数の古いマンションは、各住戸に供給できる電気容量が最初から小さいケースもあるので注意が必要です。
一般的に電気容量は40A以上あれば快適に過ごせますが、オール電化にする場合は60A以上を確保しておくと良いでしょう。
〈後悔しないためのチェックポイント〉
①電気容量について
リフォーム会社に事前にマンションの供給電気容量を伝えておくと安心です。リフォーム会社は、これまでの経験でどの設備を入れるとどのくらいの電力量が必要になるかを理解しているので、電気容量に配慮した提案をしてくれます。
②電気容量の変更ができるかも確認しておく
オール電化にする場合は、電気容量の変更ができるかを確認しておくことが重要です。
電気容量はあっても、マンション内の電力の安定供給を考えて分電盤の交換が禁止されているケースもあるので注意しましょう。
マンションが新耐震基準を満たしているかを確認しておく
中古マンションで築年数が古いと地震で建物が倒壊しないかが心配です。購入する際には、マンションが新耐震基準を満たしているかを必ず確認しましょう。
〈新耐震基準を満たしているかを確認しない場合に後悔する可能性があること〉
・旧耐震基準だと知らずに購入してしまい、地震が起こった場合を考えるとこのまま住み続けてよいかが不安になる。
・旧耐震基準の物件を購入したら、実際に大きな地震が起こって建物が破損する被害が出た。
マンションの耐震基準には、旧耐震基準と新耐震基準があります。
旧耐震基準は、1981年5月以前に建設されたマンションに採用されている基準で、10年に一度発生すると考えられる「震度5強程度」の揺れに対して、家屋が倒壊・崩壊しないといった基準を満たす必要があります。
新耐震基準は、1981年6月以降に建設されたマンションに採用されている基準で、震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しないことといった基準を満たす必要があり、旧耐震基準よりも耐震性が高まっています。
リノベーションをして住む場合は、長期にわたって住む可能性が高いと思いますので、旧耐震基準よりも新耐震基準を選ぶほうが良いでしょう。
〈後悔しないためのチェックポイント〉
①建築確認申請がいつか
建物の建築年数だけでなく、建築確認申請がいつかも調べる。新耐震基準が採用されたのが1981年6月1日となるので、それ以降に建築確認を申請したマンションが新耐震基準になっています。
1981年5月に建築確認が申請された建物だと完成が1981年6月以降になっている場合があるので、1981年6月~1982年12月あたりに新築のマンションは注意が必要です。
修繕履歴や修繕計画があるか確認しておく
マンションでは、12年~15年に一度建物全体の大規模修繕工事を行います。
大規模修繕に向けて修繕積立金の値上げが検討されることも多いので、修繕履歴や修繕計画を確認しておくことが重要です。
〈修繕履歴や修繕計画の有無を確認しておかなかった場合、後悔する可能性がある〉
・築15年なので大規模修繕が終わっていると思って購入したが、修繕資金がないので大規模修繕ができないマンションで資産価値が低下する可能性が高い。
・前回の大規模修繕で積み立てた修繕積立金をすべて使ってしまい、今後大幅な値上げが計画されていたことを知らずに購入してしまい、生活資金にも影響が出そう。
・立体駐車場があるのでかっこいいなと思って購入したら、立体駐車場の大規模修繕には多額の費用が必要になるということを購入後に知った。
マンションによって、大規模修繕工事に対する取り組みは大きく違います。
運営が上手く行っていない管理組合だと大規模修繕の費用が不足していることが多いので、急な修繕積立金の値上げや、最悪の場合は大規模修繕ができないケースもあります。
大規模修繕は資産価値を維持していく上で重要なポイントになるので、修繕を細目に行っているか、計画通りに進んでいるかを確認しておくことが重要です。修繕履歴が無い、長期修繕計画がないといったマンションを購入する場合は、管理組合にヒアリングするなど慎重に調査しましょう。
〈後悔しないためのチェックポイント〉
①修繕履歴は、重要事項調査報告書で確認する
重要事項調査報告書は、マンションの管理会社が管理組合の運営状況について記載した書類です。
今後の大規模修繕の計画や管理費、修繕積立金の値上げについての情報なども記載されています。
販売の担当している不動産会社が事前に取得しているケースが多いので気になる物件については確認しましょう。
②長期修繕計画書がないかを確認する
大規模修繕を計画するにあたって長期修繕計画を作成しているマンションが多いです。
国土交通省の「平成 30 年度マンション総合調査結果」によると長期修繕計画の作成している管理組合の割は平成30年度では90.9%となっています。
長期修繕計画では、大規模修繕の時期や修繕積立金の値上げ計画などが記載されています。
長期修繕計画書の有無も合わせて確認しましょう。
隣人の生活音が気にならないかを確認しておく
マンションは、一軒家と違って各部屋が隣接しているので、上階からの足音や隣の部屋のドアを閉める音などが聞こえることもあります。
音に敏感な人は、購入する前に隣人の生活音が気にならないかを確認しておくほうが良いでしょう。
〈隣人の生活音を確認しなかった場合に後悔する可能性があること〉
・上階が小さな男の子の兄弟で、夜遅くまで走り回るのでうるさくて寝むれない。
・隣との壁が薄く、テレビの音や話し声が聞こえて落ち着かない。
・前面の道路が通学路になっており、朝と夕方は子どもたちが騒いで困る。
中古マンションにおいて入居後に多いのが騒音のトラブルです。
特に、上階に小さなお子様がいる場合は、日中は長期間にわたってバタバタと走るので、音が気になる人は耐えられないと感じる人もいるでしょう。
築年数が古いマンションの場合は、防音素材を使用していないことがあるので音が響くケースもあります。
〈後悔しないためのチェックポイント〉
①平日や夜間に一度物件の内覧をさせてもらう
内覧した時間帯がたまたま静かだったということもあるので、休日の昼間に内覧したのであれば平日や夜間にも内覧させてもらうと隣人の生活音がしないかを確認しましょう。
②売主に生活音について意見をもらう
居住中の物件であれば、売主に生活音が気にならないかを聞くのも一つの方法です。
余りにひどい騒音を出す人が上階や隣に住んでいる場合は、購入するかどうかの判断材料になるので売主は正直に話す必要があります。ただ、音に関しては人によって捉え方違うので、売主が音を気にする人かどうかも聞いておくと良いでしょう。
さいごに
今回は中古マンションのリノベーションについて、事前準備の重要性とリノベーションで後悔しないためのチェックポイントについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
リノベーションでは、間取りの変更や設備の入れ替えなど大掛かりなリフォームを行うので、購入する物件が決まったら物件を隅々まで確認することも重要です。せっかく安く物件を購入できても希望するリノベーションができないとなると後悔することになります。
中古マンションのリノベーションで後悔しないためにも、「リノベーションで後悔しないためにできる7つのポイント」をきちんと抑えておきましょう!
<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。