中古マンション購入を検討しているけれど「購入までどういった手順で進むのか知りたい」「選ぶ時にどんなことを注意したらいい?」など、購入について不安をお持ちの方も多いでしょう。
中古マンションは新築マンションよりエリアの選択肢が多く、購入価格も抑えられるため需要が増えていますが、築年数が経っているということもあり注意すべき点も数多くあります。
中古マンション購入を成功させるためには事前準備が最重要と言って良いでしょう。
また、中古マンションを購入する方は、リノベーションやリフォームをする予定がある方も多いと思うので希望する条件をはっきりさせておくことや相場の確認などをしっかりおこなっておきましょう。
この記事では、マンション購入の流れと購入する上で注意しておきたい点を解説していきます。中古マンションの購入を考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
中古マンション購入する10の流れ
中古マンション購入の手順を流れに沿ってStep1~Step10まで1つずつ解説していきます。
Step1:購入したい物件の条件の洗い出し・資金計画を立てる
中古マンションは物件数が多いため、購入したい物件の条件を詳細に洗い出しておくことが必要です。
エリア、間取り、予算、築年数、周辺の生活環境などにおいて、希望する条件をあげておきましょう。さらにその中で何を優先させたいのかあらかじめ決めておくと、物件探しがスムーズに進みます。
資金計画は、自分の収入や今後のライフプランを踏まえて立てましょう。住宅ローンによって借りられる金額は年収の約5~6倍が目安です。ここに親族からの援助や、自分で貯金した自己資金から頭金を加えた金額が購入可能な中古マンションということになります。
頭金は物件価格の10~20%程度が相場で、現金での用意が必要となります。その他、諸費用(物件価格の約6~13%)も現金で用意しておく必要があるので手元に確保しておくようにしましょう。
諸経費としてかかる費用
〈購入時におけるもの〉
・売買契約書に貼る印紙税
・不動産会社への仲介手数料
・登記費用などの諸経費
〈住宅ローン契約時におけるもの〉
・事務手数料
・団体信用保険
・ローン保険料
頭金等を含めたすべてをローンでまかなう、フルローンという方法もありますが、その場合は審査が厳しくなったり金利が高くなったりするのでその点は注意が必要です。
Step2:情報収集・市場調査をする
物件価格の目安や予算がおおよそ決まった段階で、まずは希望の条件を満たす中古マンションの相場を調べておきましょう。希望しているエリアで同程度の築年数、大きさの物件を複数みて相場を確認しておきます。
マンションの相場を把握する方法としては、不動産ポータルサイトのほかに、レインズ・マーケット・インフォメーションがあります。
ポータルサイトは、エリア、築年数、間取り、広さ、リフォームの有無など細かい希望条件をもとに物件の検索ができます。検索して出たマンションの坪単価を比較することにより、そのエリアのおおよその相場がわかってきます。
レインズ・マーケット・インフォメーションでは、周辺エリアで実際の成約価格に基づいた取引価格の相場が検索できます。成約時期も選択できるので、最新の成約情報を参考にしてみるとよいでしょう。
また、低価格でも本当に安心して住めるか確認するためにホームインスペクションを利用するのもおすすめです。専門のホームインスペクター(住宅診断士)に建物の構造問題や劣化、不具合の有無を調査してもらうサービスで、マンションの場合、一般的な費用相場は4万~6万円程度です。
中古マンションは物件数も多いため、事前に築年数、相場、安全面での問題はないか確認しておくことが重要となってきます。
参考:不動産取引情報提供サイト(マンション・戸建住宅の売買価格・相場・取引事例の情報公開サイト)
Step3:条件に合った物件を選択する
中古マンションの価格は、立地と築年数でおおよそが決まってきます。
築年数が経過している物件は価格を抑えられますが、購入後の修繕などに手間と費用がかかります。築年数が浅い中古マンションの場合は、リノベーションやリフォームの必要がない場合もありますが、価格が高く立地も限定されてしまいます。
予算内でどのくらいの築年数のマンションに住めるのか、把握しておきましょう。
また、リノベーションを前提で中古マンションを探す場合、購入と同時にリノベーションをおこなうのか、購入後にリノベーションをするのかによって依頼する不動産会社も変わってくる場合もあります。
リノベーションの提案を物件の紹介とともにおこなってくれる会社もあるので、リノベーションを検討している方は不動産会社に確認しておくとよいでしょう。
Step4:チェックポイントを押さえて内見する
内見では、日当たりや生活動線など写真だけでは分かりにくい部分を確認します。リフォームの必要はあるのか、リフォームをした場合に予算内に収まるかどうかといった点も確認しておきましょう。
また、住宅ローン控除は新耐震基準かそれに準ずる耐震性がないと利用できません。
そのため、物件が新耐震基準(もしくは大規模修繕により新耐震基準に準ずるとされた物件)であるか、旧耐震基準(1981年5月31日までの基準)のままであるのか不動産会社などに問い合わせておきましょう。
築10年以上のマンションの場合は、大規模修繕の記録も確認しておくことも重要です。中古マンションでは、12年~15年に1度大規模修繕がおこなわれます。今までの修繕の記録や今後の修繕の予定が組まれているか、長期修繕計画表で確認しておきましょう。
長期修繕計画表は不動産会社に依頼すると、管理組合から取得することが可能です。
内見の際に、経年劣化による痛みの劣化がないか、マンション共用部の管理は行き届いているか、チェックしておくことも注意点として挙げられます。
〈室内の経年劣化による傷みチェックポイント〉
・壁紙の剥がれや床の痛みはないか
・天井に水漏れのシミはないか
・ドアや窓はスムーズに開閉するか
・キッチン、浴槽、洗面台、トイレなどの水回りの交換は必要か
・窓や窓枠などに水滴がついていないか、カビが生えていないか
・給湯器の製造年月日はいつか(10年以上前だと交換が必要)
・建具はそのまま使えるか、交換が必要か
〈マンション共用部のチェックポイント〉
・きちんと清掃されているか
・掲示板の情報は更新されているか
・集合ポストのチラシの管理はできているか
・防犯カメラはついているか
・エレベーターは老朽化していないか(交換しているか)
・汚れや落書きはないか
・ゴミ置き場の管理状況はよいか
・駐車場の駐車台数や空き状況
中古マンション購入後に後悔をしないためにも、建物の管理状況をしっかり把握しておくことが必要です。
近年は、オンラインで内見できるサービスをおこなっている会社も増えてきています。遠方にお住まいで内見のために現地に訪れるのが困難という方は、オンライン内見のサービスを利用してみてもよいでしょう。
Step5:中古マンション購入の申し込みをする
内見により購入物件が決まったら購入の申し込みを行います。
購入の申し込みをする前に、リノベーションを必要とするかどうかも確認し、リノベーションをしたいと考えている方は、購入を決める前に不動産会社、もしくはリノベーションを依頼する会社に希望のリノベーションが叶うか確認しておきましょう。
購入申し込みは、購入申し込み書の提出によっておこなわれるのが一般的です。購入申し込み書はその物件を購入することを売主に対して明確に意思表示するものであり、売買契約とは違って法的拘束力はありません。
しかし、購入申し込みを行った順に価格交渉の権利が与えられるので、購入を決めたら早めに提出するほうがよいといえます。売主が売却を急いでいたり、長期間売れ残っていたりする物件では値引き交渉に成功する確率が高くなります。
また、この時に住宅ローンの事前審査の申し込みを一緒におこなうのが一般的です。事前審査では「住宅ローンを借りるだけの収入が見込めるか」といったことが主に審査されます。大体3日~1週間程度で結果がでます。
Step6:リノベーションの相談・依頼
中古マンションのリノベーションは建物の構造や規約によりできない部分があります。
例えば、壁が構造体(建物を支える部分)であるため、間取り変更に制限があったり、水回りの排水管事情によって水回りの配置に制限があったりするケースなどがあります。
リノベーションの費用は、中古マンション購入と一緒に住宅ローンで組むか、購入後にあらたにリノベーションするための費用をローンで組むかによって変わってくるので注意しておきましょう。
中古マンション購入時に、リノベーション費用をまとめて住宅ローンで借りることができます。購入と同時にリノベーション工事を始めるので、購入後すぐに入居できないというデメリットはありますが、低い金利の住宅ローンでリノベーションもおこなえるというメリットがあります。
一方、中古マンション購入後にリノベーションを計画した場合、住宅ローンにリノベーション費用を含めることができません。住宅ローンよりも返済期間が短く、金利が高いリフォームローンを組む必要がでてきます。
リノベーションを考えているという方は、中古マンション購入の段階で計画して一緒に住宅ローンを組んでおくことをおすすめします。
Step7:売買契約を結ぶ
住宅ローンの事前審査が終了したあと、売買契約を結びます。売買契約書は、仲介に入っている不動産会社が作成し、契約は重要事項の説明を受けた上で、売買契約書に署名、捺印をして手付金(購入価格の5~10%)を支払うと成立します。
重要事項は契約当日に対面でおこなうのが一般的です。しかし買主が遠方に住んでいたり、多忙で日程調整がうまくいかなかったりして、売買契約が遅れてしまうケースがあったため、2021年からオンラインによる重要事項説明(IT重説)が認められました。国土交通省からマニュアルも発表されています。
必要なものは印鑑(実印)、本人確認所、手付金、印紙代(5000万円以下なら1万円)となります。
参考:https://x.gd/dxKnE
Step8:住宅ローンの本審査・契約
住宅ローンは事前審査と本審査の2回審査を受ける必要がありますが、事前審査はStep5で述べたように購入申し込みの時に同時におこなわれるのが一般的です。
売買契約締結後に、住宅ローンの本審査に申し込みます。いわゆる「住宅ローンの申し込み」がこの本審査のことを指します。必要になるのは、住民票・印鑑証明・源泉徴収票・所得証明書・売買契約書などの書類です。
本審査では、住宅ローンを毎月きちんと返済できるか、物件にローンの担保として十分な価値があるかなどが審査されます。
- 本審査には、2週間~1ヶ月程度の時間がかかります。
返済中にもしものことがあった場合に備え、団体信用生命保険に加入を義務付けている金融機関が多いでしょう。加入するには通常の生命保険と同様に健康状態の告知が必要となります。
本審査が通ったら、金融機関と金銭消費貸借契約を結びます。この契約において金融機関とローン借主が借入金額、借入期間、金利などのローンの条件と融資の実行日が決定されます。印鑑証明・実印・印紙などが必要となるので準備しておきましょう。
Step9:決済・物件の引き渡し
融資実行の日が決まったら引き渡しの手続きとなります。物件の「引き渡し」とは、代金の支払いと所有権の移転をおこなうことです。
口座振り込みにより売買代金が支払われると、所有権の移転や抵当権の設定など登記手続き(通常は当日中)が司法書士によりおこなわれます。そしてリノベーションが入らない場合は、ここで鍵の受け渡しを経て引き渡し完了となります。
決済の大部分は実行された融資から支払われますが、一部、現金の支払いも生じるので注意しておきましょう。固定資産税や都市計画税、マンションの管理費・修繕積立金などは日割りで現金で清算する必要があります。
Step10:引っ越し
引き渡しが完了すると、いよいよ引っ越しとなります。
引っ越しの手続きについては、以下の項目を確認しておきましょう。
〈引っ越し手続きのチェックポイント〉
・これまで住んでいた所の賃貸借契約の解約の連絡、鍵の返却、敷金精算
・電気、ガス、水道の使用開始の手続き
・運転免許証や銀行などの住所変更
・引っ越しのあいさつ
引っ越しにともなう手続きは思っている以上に多くあるので、余裕をもって準備をしておくことが大切です。
まとめ
この記事では、中古マンション購入の流れを10ステップで解説しました。
中古マンションを購入する際は、あらかじめ物件の情報収集や資金計画をたてることが大切です。
購入するマンションを決めてから、契約やローン審査など煩雑と感じる工程もありますが、不動産会社のサポートがあるので不安な部分や気になることがあれば、不動産会社に確認をとりましょう!
<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。