「独身のうちに家を買っても大丈夫?」「良い物件を見つけたけど結婚の予定もないので迷っている」など、独身で家の購入を検討する人が増えています。
一般的には、独身よりも結婚や家族が増える際に家を買う人が多いでしょう。
しかし、現在は独身のうちに家を買う人が増加する傾向にあります。
なぜなら近年の日本ではそもそも独身でいる人の比率が高まっており、税制優遇や補助金制度なども充実しているのも独身のうちに家を購入することを後押ししている理由の1つです。
では、実際に独身のうちに家を購入する上でどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
今回は、独身者の不動産購入率が高まっている理由と、独身で家を買うことのメリット・デメリットについて解説していきます。
独身のうちに家の購入を検討している、まだ結婚の予定はないが家を購入したいという方はぜひ最後まで読んでいただければと思います。
独身で家を買う人が増加傾向にある4つの理由
家を買う時期と言えば、結婚や出産などで家族が増えるときが一般的ですが最近では独身のうちに家を買う人が増加傾向にあります。
株式会社エイチームフィナジーが30代~50代の独身の男女を対象に実施した「独身者の住宅購入に関しての意識調査」によると30~59歳の独身者のうち約4割の人が住宅を購入又は購入を検討しているということです。
では、なぜ独身で家を買う人が増えているのでしょうか。ここでは独身で家を買う人が増加傾向にある4つの理由について解説します。
生涯独身でいる人の率が高まっている
独身で家を買う人が増えた一番の理由は、生涯独身でいる人の率が高まっているからです。
令和2年版厚生労働白書の「図表1-1-8年齢階級別未婚率の推移」によると、結婚、出産が多い30代後半(35歳~39歳)で見ると、男性は1990年に19.1%だった未婚率が30.0%、女性は1990年に7.5%だった未婚率が23.9%と大幅に上昇しています。
以前よりも独身者が多くなったことで、独身者が家を購入する機会が増えているという訳です。
参考:株式会社エイチームフィナジー「独身者の住宅購入に関しての意識調査」
厚生労働省 図表1-1-8年齢階級別未婚率の推移
税制優遇や補助金制度が手厚い
近年では、住宅を購入するにあたって、住宅ローン控除などの税制優遇や補助金が手厚くなっており、独身者でも家を買いやすい環境にあります。
特に、住宅ローン控除は最も効果の高い税制優遇です。
住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。住宅ローン控除では、家を住宅ローンで購入すると、年末残高等〔上限2,000万円〕×控除率0.7%、控除期間13年間(既存住宅および増改築は10年間)の税制優遇を受けることができます。
2024年度に大きな改正があり、住宅ローン控除を受けられる要件が大きく変わっているので、詳細については国土交通省の「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」でご確認ください。
住宅ローンの金利の変動も影響する
日本では、2016年2月に日本銀行によるマイナス金利政策によって歴史的な低金利が続いています。
住宅ローンの金利が低いことで、誰でも家を買いやすい環境になっており、低金利のうちに家を買おうという人が独身者にも増えているという訳です。
2024年3月にマイナス金利政策は解除されましたが、低金利の住宅ローンは継続して提供されています。政策の変更に伴い、金利上昇する可能性も考えられるので、現在の金利の動向を確認した上で家を購入する必要があります。
投資としての視点で購入する
賃貸で家賃を払うくらいなら自分の資産になる家を購入する方が良いといった投資として家を買う独身者も増えています。
家賃を払うということは、家主の不動産投資を手助けしているということです。
その点、家を買えば、住宅ローンの金利を払う必要はありますが、元本返済に当たる部分は資産となります。
独身であれば、既婚者のように家族にかかるお金もないので、計画的に返済を進められるのも有利な点です。
独身のうちに家を買っておくメリット
独身のうちに家を買うことを検討する前に、まずはメリットを知っておく必要があります。ここでは3つのメリットについて解説します。
住宅ローンを早く完済できる
独身のうちに家を購入すれば、住宅ローンを早く完済することができます。
住宅ローンの返済期間は、国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査報告書」によると新築の分譲戸建住宅で平均31.0年、分譲マンションで31.1年、中古の戸建住宅で27.2年、分譲マンションで25.3年です。
フラット35など多くの住宅ローンでは最長35年で返済期間を組めることを考えると30才付近で家を買わないと定年退職後も住宅ローンを支払い続けることになります。
老後に住宅ローンの残債が多いと病気やリストラなど万が一の場合に住宅ローンの支払いができないということも考えられます。
老後を安心して暮らすためにも、独身のうちに家を購入することで住宅ローンを早く完済できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
資産形成ができる
独身のうちに家を購入するメリットとして、資産形成ができるという点が挙げられます。
家族を持っている人よりも独身の人のほうが毎月の返済に回せる資金も多いです。立地が良く人気があるエリアを選んでおけば、不動産価格の上昇も狙えます。
また、将来賃貸物件として貸し出すことで安定した家賃収入を得ることが可能になります。
理想の住まいで生活できる
賃貸だと間取りが気に入らない、少し狭い、天井が低いなど、すべての希望を叶えるのは難しいでしょう。
しかし、自分で家を購入すれば、理想の住まいでの生活が可能です。
注文住宅を購入すれば、建築時から間取りや水回りの配置を自分で決めることができることができるので自分好みの理想の住まいを実現することができます。
建売やマンションであっても、リフォームをすれば、ある程度は自分の好みに近いものを選ぶことができるでしょう。
独身のうちに家を買うデメリット
独身のうちに家を買うのは、メリットも多いですがやはりデメリットもあります。
ここでは、2つのデメリットについて解説します。
転勤を命じられても簡単に引越しできない
独身のうちに家を買ってしまうと会社から転勤を命じられても簡単に引越しできません。
独身の場合は会社としても転勤の辞令が出しやすく、転勤を命じられるケースも多いです。
転勤となると家を売却するか、賃貸に出すなどして対応しないといけません。
もし、家が売れない、貸せないとなると住宅ローンや管理費などの経費を払い続けないといけないので大変です。
ライフスタイルの変化に対応しにくい
結婚や出産などライフスタイルの変化に対応しにくいのも独身のうちに家を買うデメリットと言えます。
予想よりも子供が増えた、親の介護で同居することになったといった場合に部屋数が足りないといったケースも考えられます。
独身で家を買うならマンションか戸建てのどちらがいいのか
では、独身で家を買うならマンションと戸建のどちらのほうが良いのでしょうか。ここでは、マンションと戸建を購入するそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
マンション購入のメリット・デメリット
独身でマンションを購入するメリットは、生活のしやすさ、交通など利便性の高さです。
戸建の場合はどうしても立地が郊外になりやすく、スーパーや駅が遠いのがデメリットと言えます。
その点、マンション場合は駅近や主要な駅に建築されているケースが多いので、日々の買い物や通勤、通学にも便利です。
また、マンションは立地が良ければ、価格が下落しにくく、資産性の高さもメリットと言えます。
一方で、デメリットは、固定費の高さです。
マンションの場合、管理費・修繕積立金・駐車場代など必要な固定費が多いです。住宅ローン以外にも出費が多くなることで生活に困るといったケースも考えられます。
戸建て購入のメリット・デメリット
独身で戸建てを購入するメリットは、プライバシーと自由度の高さです。
マンションの場合は、上下階、両隣と隣接しているのでプライバシーを気にする必要がありますが、戸建ての場合は、ブロック塀や隣ともある程度距離があるのでプライバシーを保ちやすい環境にあります。
また、マンションであれば管理規約などによってリフォームの内容が制限されますが、戸建ての場合は間取りの変更や大掛かりなリフォームも自分好みにすることができます。
一方で、デメリットは、独身だと無駄な部屋やスペースが多くなってしまうことです。
戸建の場合は、マンションと比べて部屋数や収納スペースも多いので、独身だと使わない部屋や収納スペースがどうしても出てきます。
使わない部屋や収納スペースのために高いお金を払っていると考えるとお金の無駄遣いと言えなくもありません。戸建てを独身で購入するのは、資金的に余裕がある人でないと難しいと言えるでしょう。
さいごに
今回は、独身で家を買う人が増加傾向になるということを受けて、独身で家を買うメリット・デメリットについて詳しく解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
これまでは結婚や出産を機に家を買う人が多かったのが、時代の移り変わりによって独身でも家を買う人が増えています。
独身で家を買う人が増えた一番の理由は独身率の上昇ですが、税制優遇や補助金の充実、低金利、投資として購入するなど他にも多くの要因があります。
引越しがしにくい、ライフスタイル変化に合わせにくいといったデメリットはありますが、資産形成ができる、理想の住まいで生活できるなどメリットも多いです。
また、独身で家を買う場合はマンションを購入するのが一般的ですが、資金的に余裕があってプライバシーや自由度を求めるなら戸建を選択するのも良いと思います。
まずは独身で家を買うメリット・デメリットを十分に理解した上でマンション、戸建てなど自分にあった家を購入しましょう。独身だけど家の購入を検討している、独身で家を買うメリット・デメリットを知りたいという人は、今回の記事を参考にしていただければとおもいます。
<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。