ヴィンテージマンションはお洒落でかっこいいというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、「こだわりのあるヴィンテージマンションに将来住みたいけれど、古いだけに耐震性やセキュリティは大丈夫なの?」「維持費がかかる上に、かなり高級なのでは?」といったような疑問を持っている方もいるでしょう。
ヴィンテージマンションは築年数を経ても価値が低下せず、価値を維持、もしくは価値を高めているマンションのことを指します。築年数を経て歴史と価値を得たヴィンテージマンションは、そのデザイン性や立地から資産価値が高く人気が高まっています。
魅力の多いヴィンテージマンションですが、年数が経っているため注意点も確認しておくことが大切です。
この記事ではヴィンテージマンションとは実際どんなマンションなのかを知り、その上で魅力や注意点について詳しくお話していきます。
ヴィンテージマンションに興味がある、今後住んでみたいという方はぜひ最後までご覧ください!
ヴィンテージマンションとは年数が経って価値の上がったマンションのこと
ヴィンテージマンションは築年数を経ても価値が低下せず、価値を維持、もしくは価値を高めているマンションのことを指します。
一般的な物件は、築年数とともに価値が低下していきます。ところが、ヴィンテージマンションは恵まれた立地、一戸当たりの面積の広さ、こだわりぬかれたデザイン、など今となっては得難い条件を備えているため価値が高くなっているのです。
「ヴィンテージマンション」としての明確な定義はありませんが、不動産調査会社東京カンテイ「ヴィンテージ・マンション&プレミアム・マンション2016」によると以下のように定義されています。
・築10年以上
・住居用途地域に立地
・専有面積90㎡以上
・坪単価300万円以上
ただし、専有面積や坪単価がこういった条件に達していなくてもヴィンテージマンションとして紹介されていることもあるので、「価値を多くの人たちが認めている」ということが前提となりますが、定義はそれぞれの考えで構わないということです。
また価値を保つために、マンション設備のメンテナンス・更新などしっかり管理がされていることもヴィンテージマンションとして成り立つために重要な要素といえます。
ヴィンテージマンションの4つの特徴
ヴィンテージマンションは、「古さ」という物件としてのデメリットを抱えながらも、人々を魅了する要件を備えています。ここではヴィンテージマンションの特徴を4つ解説していきます。
立地が良く人気の高いエリアに多い
ヴィンテージマンションは、千代田区、港区、渋谷区、といった古くから高級住宅街として知られる立地の良い人気エリアに存在していることが多いです。今では新築マンションの供給が見込まれないような地域もあるため、その価値を高めています。
また、都心でありながら静かで緑が豊かであったり、駅も近いなど利便性に優れていたりと環境に恵まれていることも人気を集めている要因といえるでしょう。
おしゃれで細部にまでこだわったデザイン性
ヴィンテージマンションは、近年の建築ではあまり見られないようなデザイン性が高い物件が多いという特徴があります。細部にまで建築家のこだわりを感じさせ、個性と存在感を放ち、開放的なロビーには美術館にあるようなアートを飾った物件もあります。
建材は天然木や天然石といった質の良いものが用いられ、現在では手に入れるのが難しい素材が使用されていることもあります。これらの素材は耐久性が高いので、建設当時の美しさを保ち続け、ヴィンテージマンションとして格調高い雰囲気を醸しだしていることが魅力として挙げられるでしょう。
管理状態が良く定期的にメンテナンスされている
ヴィンテージマンションが、その価値を保ち続けていられるのは管理がしっかりとされていることも大きな特徴と言えるでしょう。立地、デザインなどが優れていても、建物自体に劣化が目立ったり、設備がメンテナンスされていなかったら、価値は下がっていくでしょう。
建物の管理方法としては、管理会社への委託と、住人による自主管理があります。自主管理の場合、住まいに愛着をもっている住人が多いヴィンテージマンションでは、積極的に管理組合の運営に携わる方が多いため、管理状態は非常に良いといえます。
共用部分の清掃や点検、メンテナンス、長期修繕計画や修繕積立金の運用などの業務が適切に行われていることもヴィンテージマンションの特徴です。
資産価値が落ちにくく、今後向上する可能性も
「立地」「デザイン」「管理」、この条件がそろい、多くのひとがその価値を認めているヴィンテージマンションは、人気があれば流通価格にも影響を与えます。似たような立地や間取りのマンションと比較してもヴィンテージマンションは高値で取引される傾向にあります。
また、現在では大きな敷地面積の新築マンションは都心では建築しづらい状況のため、都心の一等地で広々と贅沢に建てられているヴィンテージマンションにはさらに注目が集まっているといえます。
年数が経っても価値が下がらず、歴史や風格を増したヴィンテージマンションはさらに魅力が増していくでしょう。今後、投資や資産運用の面でも注目される物件といえます。
ヴィンテージマンションを選ぶ時注意したい7つのポイント
ヴィンテージマンションは歴史的な価値やクラシックなデザインで人気のある建物ですが、築10年以上、ものによっては築30年以上のものもあります。古い物件ということで、耐震性など安全面で心配な部分や、セキュリティ対策に関しても不安な点があるでしょう。
魅力的なヴィンテージマンションですが、ヴィンテージマンションを選択するうえで注意すべきポイントを抑えておく必要があると言えるでしょう。
この章では、ヴィンテージマンションを選ぶ時に注目しておきたい7つのポイントをご紹介します。
共用部分などの設備が古い可能性
部屋の内装についてはリフォームされていたり、リノベーションされていたりするケースが多いですが、共用部分については最新の設備ではないこともあります。エレベーターや給水管、照明などの設備も老朽化が進んでいる可能性もあるため、注意が必要です。
共用部分の劣化や故障などが放置されている場合、マンションの管理組合が適切に運営されていないことも考えられるので、しっかりと確認しておきましょう。
防音性が低く生活音が聞こえやすい可能性
ヴィンテージマンションは防音性に優れていない可能性があります。防音性が重要視され、建物自体にその性能が高まったのはここ数十年のことであるためです。
そのため、防音材が使用されていなかったり、床や壁の厚みが薄かったりといったことから生活音が聞こえやすい場合があります。
カーテン、マットを防音、遮音性のあるものにしたり、場合によっては防音リフォームを検討したりする必要もでてくるかもしれません。
耐震性が備わっていない可能性
1981年6月に建築基準法が改正され、新しく耐震基準が定められました。新耐震基準は、震度6強、7程度の大地震でも建物が倒壊・崩壊しない、という水準でいまは建築されるようになっています。
ところがそれ以前は「震度5強程度の地震で建物が倒壊・崩壊しない」という基準だったため、1981年5月以前に建てられた建物には耐震性に不安があるといえます。
ただし、大規模修繕としてすでに耐震補強工事がなされ、新耐震基準を満たしている場合もあります。
気になっているヴィンテージマンションが新旧どちらの基準で建てられたかは、「建築確認申請」が受理された日で判明する(1981年6月以降のものかどうか)ので、不動産会社などに問い合わせてみるとよいでしょう。
また、「耐震診断」を実施し、耐震補強工事をすでに実施しているか確認することもできますが、多くの所有者が存在するマンションでは、耐震診断を実施するかどうかは管理組合で決議を取る必要があります。耐震診断をおこない、耐震補強工事が必要ということになれば、工事に莫大な費用がかかります。そのため、管理組合で賛成を得ることはなかなか難しいようです。
セキュリティ面が最新式になっていない可能性
ヴィンテージマンションは、新築物件と比べるとセキュリティが最新のものでない場合があります。スマートフォンのアプリなどを使用して施錠するスマートロック、指紋や顔認証によるロック解除など、最新のものには対応していないことも多いでしょう。
ただし、コンシェルジュや管理人が常駐している物件もあります。その場合は常時人がいる、という意味で防犯の役割も果たしているといえます。
セキュリティシステムは、性質上、後から自分で追加・設置できないものが多いので、購入を検討しているヴィンテージマンションに、どのようなセキュリティ対策がなされているか事前に確かめておくと安心です。
ちなみに、住戸玄関は共用部分となります。そのため、購入後、玄関にセキュリティ対策を講じたい場合には、管理組合に確認するようにしましょう。
価値が高いが故に高額な場合が多い可能性
ヴィンテージマンションは、もともと高級マンションとして販売されていたものです。洗練されたデザイン、立地の良さ、面積の広さなど資産としての価値が高いため、築年数が同程度であって、似たような間取りであっても周辺エリアの物件よりも高額であることがほとんどです。
一般的にはマンションの資産価値は築年数とともに下がりますが、ヴィンテージマンションはその価値と人気により、場合によっては新築当初より価格が上昇することもあります。そのため、中古物件でコストを抑えてマンションを購入したい、と考えている人にはおすすめの物件とはいえません。
維持費が想像以上にかかってしまう可能性
ヴィンテージマンションのように古いマンションほど、管理費(共用部分の清掃や日々の運営にかかるもの)や修繕積立金(建物共用施設の修繕やメンテナンス)が高い傾向にあります。
毎月の住宅ローン返済に加え、毎月かかる管理費・修繕積立金、駐車場代、固定資産税、火災保険料、リフォーム・リノベーション費用などに、どのくらい費用がかかるのか把握しておくことが大切です。
また、修繕履歴・長期修繕計画も必ず調べておきましょう。
修繕履歴:不具合が出た箇所の自主的な修繕や法定検査など、いままでに行った修繕の記録が記されている。修繕が計画的におこなわれていて、耐震性、耐久性に問題がないか確認できる。
長期修繕計画:25~30年ほどの期間における修繕計画がまとめられているもの。計画が適宜見直されているか確認する。計画通りに修繕積立金がしっかり徴収されていないと、大規模修繕の際に追加徴収されることがある。
※どちらも不動産仲介会社に依頼することで、マンションの管理会社から取得が可能です。必ず調べておくようにしましょう。
今後建て替えなどが行われる可能性
築40年以上を経過したヴィンテージマンションは、老朽化により建て替えの話が持ち上がることがあります。
しかし建て替えには、「区分所有者4/5以上の賛成」と「議決権4/5以上の賛成」の決議が必要です。費用も1000~3000万円程度の大きな負担がかかるので、建て替えの話がでていても実現しないケースが多くなります。
また、もし建て替えをすることになった場合でも、費用負担がないケースもあります。ヴィンテージマンションなどは、その容積率が大きいため、建て替え時に新たにできた部屋を売約し、その収益で費用負担が賄える場合があるのです。そういったケースでは住民の費用負担が免除されます。
建て替えには至らなくとも、建物の老朽化や設備の経年劣化に対策をとるため、「大規模修繕」という形で外装や共用部分の劣化を定期的に修繕し、その価値を維持しています。
大規模修繕の履歴や予定なども確認しておくと安心でしょう。
さいごに
ヴィンテージマンションは人気が高い物件のため、なかなか市場に出回りません。入居したいと思う物件を不動産サイトなどで見つけたら、すぐに連絡するようにしましょう。あらかじめ、不動産会社に「空きが出たら契約したい」という旨を伝えておくこともおすすめです。
魅力を放ち、資産価値が今後も上昇する可能性があるヴィンテージマンションですが、入居や購入の際には、この記事で紹介した注意点(安全対策、管理体制、維持費など)をしっかり確認しておきましょう。
<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。