ヴィンテージマンションの魅力とは?物件の特徴や5つの注意点を解説
ヴィンテージマンションはお洒落でかっこいいというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
「こだわりのあるヴィンテージマンションに将来住みたいけれど、古いだけに耐震性やセキュリティは大丈夫なの?」「維持費がかかる上に、かなり高級なのでは?」といったような疑問を持っている方もいるでしょう。
ヴィンテージマンションは築年数を経ても価値が低下せず、価値を維持、もしくは価値を高めているマンションのことを指します。
一般社団法人マンション計画修繕施工協会が作成した「マンションの価値を長く保つ」によると、ヴィンテージマンションの課題や取り組みを確認できます。
この記事ではヴィンテージマンションとは実際どんなマンションなのかを知り、その上で魅力や注意点について詳しくお話していきます。
ヴィンテージマンションとは
ヴィンテージマンションは築年数を経ても価値が低下せず、価値を維持、もしくは価値を高めているマンションのことを指します。
一般的な物件は、築年数とともに価値が低下していきます。ところが、ヴィンテージマンションは恵まれた立地、一戸当たりの面積の広さ、こだわりぬかれたデザイン、など今となっては得難い条件を備えているため価値が高くなっているのです。
「ヴィンテージマンション」としての明確な定義はありませんが、不動産調査会社東京カンテイ「ヴィンテージ・マンション&プレミアム・マンション2016」によると以下のように定義されています。
・築10年以上
・住居用途地域に立地
・専有面積90㎡以上
・坪単価300万円以上
ただし、専有面積や坪単価がこういった条件に達していなくてもヴィンテージマンションとして紹介されていることもあるので、「価値を多くの人たちが認めている」ということが前提となりますが、定義はそれぞれの考えで構わないということです。
また価値を保つために、マンション設備のメンテナンス・更新などしっかり管理がされていることもヴィンテージマンションとして成り立つために重要な要素といえます。
ヴィンテージマンションの5つの特徴
ヴィンテージマンションは、築年数が経過している物件でありながらも幅広い世代から人気を集めています。ここではヴィンテージマンションの特徴を解説していきます。
都心部の便利な立地が多い
ヴィンテージマンションは、千代田区、港区、渋谷区、といった古くから高級住宅街として知られる立地の良い人気エリアに存在していることが多いです。今では新築マンションの供給が見込まれないような地域もあるため、その価値を高めています。
また、都心でありながら静かで緑が豊かであったり、駅も近いなど利便性に優れていたりと環境に恵まれていることも人気を集めている要因といえるでしょう。
たとえば、徒歩圏内に商業施設や公共交通機関が揃っている物件が多く、通勤や日常生活において快適な暮らしを実現できます。
デザイン性が優れている
ヴィンテージマンションは、近年の建築ではあまり見られないようなデザイン性が高い物件が多いという特徴があります。細部にまで建築家のこだわりを感じさせ、個性と存在感を放ち、開放的なロビーには美術館にあるようなアートを飾った物件もあります。
建材は天然木や天然石といった質の良いものが用いられ、現在では手に入れるのが難しい素材が使用されていることもあります。これらの素材は耐久性が高いので、建設当時の美しさを保ち続け、ヴィンテージマンションとして格調高い雰囲気を醸しだしていることが魅力として挙げられるでしょう。
管理体制が整っている
ヴィンテージマンションが、その価値を保ち続けていられるのは管理がしっかりとされていることも大きな特徴と言えるでしょう。立地、デザインなどが優れていても、建物自体に劣化が目立ったり、設備がメンテナンスされていなかったら、価値は下がっていくでしょう。
建物の管理方法としては、管理会社への委託と、住人による自主管理があります。自主管理の場合、住まいに愛着をもっている住人が多いヴィンテージマンションでは、積極的に管理組合の運営に携わる方が多いため、管理状態は非常に良いといえます。
共用部分の清掃や点検、メンテナンス、長期修繕計画や修繕積立金の運用などの業務が適切に行われていることもヴィンテージマンションの特徴です。
資産価値が高い
「立地」「デザイン」「管理」、この条件がそろい、多くのひとがその価値を認めているヴィンテージマンションは、人気があれば流通価格にも影響を与えます。似たような立地や間取りのマンションと比較してもヴィンテージマンションは高値で取引される傾向にあります。
また、現在では大きな敷地面積の新築マンションは都心では建築しづらい状況のため、都心の一等地で広々と贅沢に建てられているヴィンテージマンションにはさらに注目が集まっているといえます。
年数が経っても価値が下がらず、歴史や風格を増したヴィンテージマンションはさらに魅力が増していくでしょう。今後、投資や資産運用の面でも注目される物件といえます。
共用設備が充実している
ヴィンテージマンションの多くは、当時の高級志向を反映した共用設備が充実しています。
例えば、広々としたエントランスや高天井のロビー、シャンデリアが飾られた共用部など、住む人々に特別感を与える空間が特徴です。
また、物件によっては緑が豊かな中庭や住民専用のラウンジスペース、書斎として利用できる共用ルームなど、現代のマンションにはない魅力を提供しています。
一部のヴィンテージマンションでは、住民同士のコミュニティ形成を促進するためのイベントスペースや会議室が併設されている場合もあります。これにより、住むだけでなく交流を楽しむことができ、生活の質が向上します。
共用設備の充実度は物件の価値にも直結するため、購入を検討する際には、これらの設備が現在も適切に管理・運用されているかを確認することが重要です。
ヴィンテージマンションの5つの注意点
ヴィンテージマンションは歴史的な価値やクラシックなデザインで人気のある建物ですが、築10年以上、ものによっては築30年以上のものもあります。古い物件ということで、耐震性など安全面で心配な部分や、セキュリティ対策に関しても不安な点があるでしょう。
魅力的なヴィンテージマンションですが、ヴィンテージマンションを選択するうえで注意すべきポイントを抑えておく必要があると言えるでしょう。
この章では、ヴィンテージマンションを選ぶ時に注目しておきたい7つのポイントをご紹介します。
築年数が経過していること
ヴィンテージマンションは、築30年以上の物件が多く、建物や設備の老朽化が避けられません。特に、水回りや配管設備は劣化している可能性があり、トラブルの原因になることもあります。
また、外壁や屋根のメンテナンスが不十分な場合には、雨漏りや断熱性能の低下が懸念されます。購入を検討する際には、過去の修繕履歴や修繕積立金の状況を確認し、将来的な修繕計画が適切かどうかを見極めることが重要です。
部屋の内装についてはリフォームされていたり、リノベーションされていたりするケースが多いですが、共用部分については最新の設備ではないこともあります。エレベーターや給水管、照明などの設備も老朽化が進んでいる可能性もあるため、注意が必要です。
共用部分の劣化や故障などが放置されている場合、マンションの管理組合が適切に運営されていないことも考えられるので、しっかりと確認しておきましょう。
防音性が低いこと
ヴィンテージマンションは防音性に優れていない可能性があります。防音性が重要視され、建物自体にその性能が高まったのはここ数十年のことであるためです。
そのため、防音材が使用されていなかったり、床や壁の厚みが薄かったりといったことから生活音が聞こえやすい場合があります。
カーテン、マットを防音、遮音性のあるものにしたり、場合によっては防音リフォームを検討したりする必要もでてくるかもしれません。
事前に内見をして、音漏れの状況を確認することがトラブル回避のポイントです。
耐震性能に不安があること
1981年6月に建築基準法が改正され、新しく耐震基準が定められました。新耐震基準は、震度6強、7程度の大地震でも建物が倒壊・崩壊しない、という水準でいまは建築されるようになっています。
ところがそれ以前は「震度5強程度の地震で建物が倒壊・崩壊しない」という基準だったため、1981年5月以前に建てられた建物には耐震性に不安があるといえます。
ただし、大規模修繕としてすでに耐震補強工事がなされ、新耐震基準を満たしている場合もあります。
気になっているヴィンテージマンションが新旧どちらの基準で建てられたかは、「建築確認申請」が受理された日で判明する(1981年6月以降のものかどうか)ので、不動産会社などに問い合わせてみるとよいでしょう。
また、「耐震診断」を実施し、耐震補強工事をすでに実施しているか確認することもできますが、多くの所有者が存在するマンションでは、耐震診断を実施するかどうかは管理組合で決議を取る必要があります。耐震診断をおこない、耐震補強工事が必要ということになれば、工事に莫大な費用がかかります。そのため、管理組合で賛成を得ることはなかなか難しいようです。
セキュリティ面のリスクがあること
ヴィンテージマンションは、新築物件と比べるとセキュリティが最新のものでない場合があります。スマートフォンのアプリなどを使用して施錠するスマートロック、指紋や顔認証によるロック解除など、最新のものには対応していないことも多いでしょう。
また、共用部の出入りが自由な設計の場合には、住民の安全意識が求められることも少なくありません。購入前には防犯設備の有無を確認し、必要であれば防犯グッズを設置することも検討するべきです。
物件によってはコンシェルジュや管理人が常駐している物件もあります。その場合は常時人がいる、という意味で防犯の役割も果たしているといえます。
セキュリティシステムは、性質上、後から自分で追加・設置できないものが多いので、購入を検討しているヴィンテージマンションに、どのようなセキュリティ対策がなされているか事前に確かめておくと安心です。
ちなみに、住戸玄関は共用部分となります。そのため、購入後、玄関にセキュリティ対策を講じたい場合には、管理組合に確認するようにしましょう。
周辺の物件よりも価格が高いこと
ヴィンテージマンションは希少性やデザイン性の高さから、同じエリアの他の中古マンションより価格が高めに設定されていることがあります。
そのため、予算が限られている場合には、購入後の維持費やリノベーション費用を考慮する必要があるでしょう。
また、価格が高い分、購入する際には自分のライフスタイルに合った物件であるかを十分に検討し、無駄なコストを避けることが重要です。
ランニングコストがかかること
ヴィンテージマンションのように古いマンションほど、管理費(共用部分の清掃や日々の運営にかかるもの)や修繕積立金(建物共用施設の修繕やメンテナンス)が高い傾向にあります。
毎月の住宅ローン返済に加え、毎月かかる管理費・修繕積立金、駐車場代、固定資産税、火災保険料、リフォーム・リノベーション費用などに、どのくらい費用がかかるのか把握しておくことが大切です。
また、修繕履歴・長期修繕計画も必ず調べておきましょう。
修繕履歴:不具合が出た箇所の自主的な修繕や法定検査など、いままでに行った修繕の記録が記されている。修繕が計画的におこなわれていて、耐震性、耐久性に問題がないか確認できる。
長期修繕計画:25~30年ほどの期間における修繕計画がまとめられているもの。計画が適宜見直されているか確認する。計画通りに修繕積立金がしっかり徴収されていないと、大規模修繕の際に追加徴収されることがある。
※どちらも不動産仲介会社に依頼することで、マンションの管理会社から取得が可能です。必ず調べておくようにしましょう。
ヴィンテージマンションの探し方
ヴィンテージマンションはその希少性や独自の魅力から人気が高いため、適切な探し方を知ることが理想の物件に出会う鍵となります。
はじめに、エリアや予算を明確にし、自分が重視するポイント(デザイン性、立地、共用設備など)を整理しましょう。
不動産会社に相談する際には、ヴィンテージマンションに精通した担当者に依頼するとスムーズです。また、築年数が古いため、管理状況や修繕履歴を事前にしっかり確認することが大切です。
さらに、リノベーションを視野に入れる場合は、その費用や可能性を踏まえて総予算を検討する必要があります。適切な情報収集とプロのサポートを活用して、価値あるヴィンテージマンションを見つけましょう。
管理状態や修繕計画を確認する
ヴィンテージマンションは築年数が経過しているため、管理状態や修繕計画が物件の価値に大きく影響します。管理組合が機能しているか、共用部分が清潔に保たれているかを確認することは重要です。
また、過去の修繕履歴や積立金の運用状況をチェックし、今後の修繕計画が適切に立てられているかを見極めましょう。特に、外壁の劣化や配管の老朽化に対する対策が取られているかどうかは、居住者の快適さや安全性に直結します。
管理体制がしっかりしている物件は、将来的にも資産価値を維持しやすいため、購入前に細かく確認することが大切です。
維持費を確認する
ヴィンテージマンションでは、管理費や修繕積立金が高額になる場合があります。
これらの維持費は、物件を所有する際の長期的なコストに直結するため、購入前に必ず確認しましょう。特に、エレベーターやラウンジといった共用設備が充実している物件では、管理費が高めに設定されることがあります。
また、修繕積立金が低い場合は、将来大規模修繕の際に一時金の負担が発生する可能性も考えられるでしょう。維持費が自分の予算内で無理なく支払えるかどうか、購入前に十分検討することが重要です。
リフォームやリノベーションの可否を確認する
ヴィンテージマンションの魅力を最大限に引き出すためには、リフォームやリノベーションの可否を事前に確認しておく必要があります。
物件の構造や管理規約によっては、大幅な改修が難しい場合もあるため、どの範囲まで手を加えられるかを把握することが大切です。
また、水回りの変更や間取りの変更が可能かどうかは、快適な生活空間を作るうえで大きなポイントとなります。また、リノベーションにかかる費用や施工期間も検討し、総予算やスケジュールに影響を与えないように計画を立てましょう。
さいごに
ヴィンテージマンションは人気が高い物件のため、なかなか市場に出回りません。入居したいと思う物件を不動産サイトなどで見つけたら、すぐに連絡するようにしましょう。あらかじめ、不動産会社に「空きが出たら契約したい」という旨を伝えておくこともおすすめです。
魅力を放ち、資産価値が今後も上昇する可能性があるヴィンテージマンションですが、入居や購入の際には、この記事で紹介した注意点(安全対策、管理体制、維持費など)をしっかり確認しておきましょう。

<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。