定期借地権付マンション購入時の注意点は?メリットと注意点を解説

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「定期借地権付きマンションが普通のマンションと比べて安いのはなぜ?」「定期借地権付きマンションを購入する際の注意点を知りたい」など、土地の所有権付きマンションと比べると価格が安い定期借地権付きマンションについて知りたいという人も多いでしょう。

定期借地権付きマンションは、デベロッパーが地主から期限付きで土地を借り、その上に建設されたマンションのことです。

柔軟なライフスタイルに対応しやすく、購入コストを抑えることができるということで人気が高まっています。
一般的な分譲マンションは敷地の一部を所有権として取得できるのに対して、定期借地権付きマンションは敷地が借地であるという点が大きく異なります。

定期借地権の土地は地代を払う必要がありますが、土地を購入する必要がないので、全体の価格を抑えることができ、固定資産税や都市計画税などのランニングコストも不要です。
他にも所有権付きのマンションと比べて、立地が良い物件が多い、住宅ローンの借り入れを抑えることができるといったメリットもあります。

ただし、借地ということで住宅ローンが通りにくく、将来的な資産価値も下がりやすい点には注意しましょう。
借地期間満了時には建物を解体して土地を更地にして返却する必要があり、解体積立費が発生することも理解しておく必要があります。

今回の記事では、定期借地権付きマンションの特徴やメリット、購入する際の注意点について解説します。
これから定期借地権付きマンションの購入を検討している人は最後までこの記事を読んでいただければと思います。

定期借地権とは「期限付きで土地を借りられる権利」のことを指す

定期借地権は、普通借地権とは違い、期限付きで土地を借りられる権利を指します。

定期借地権の土地は、契約終了時に建物を取り壊して更地にして地主に返還する必要があります。
定期借地権には一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用定期借地権の3つがあり、マンションの場合は一般定期借地権が利用されることが多いです。

参考:定期借地権の解説(国土交通省)

定期借地権付きマンションの特徴

定期借地権付きマンションでは、マンションの敷地を地主から期限付き(定期借地権)で借りて、その上にマンションを建設します。

定期借地権付きマンションの特徴は以下のとおりです。

・契約期間が50年以上となる一般定期借地権を利用することが多い。(50年以上は住める)
・契約期間満了と同時に建物を解体して更地として地主に返却する必要がある。(解体積立費が必要)
・土地の所有権がない代わりに地主に地代を払う必要がある。
・都市部など立地のよい物件が多い。
・土地の購入費や固定資産税などのランニングコストがかからないので相場より安く買える。


所有権付きのマンションと違い、立地の良い物件を相場よりも安く購入できますが、所有できる期間に期限があり、ランニングコストとして地代が発生する点には注意が必要です。

最近では、マンションの寿命も長くなっており、長期間利用したいニーズも多いので一般定期借地の期限を60年~70年にするケースも増えています。

定期借地権と普通借地権の違い

借地権は土地を借りることですが、定期借地権と普通借地権で契約の内容が違います。

借地権は、大正時代の旧借地権で運用されていましたが、旧借地法平成4年8月に施行された借地借家法によって定期借地権と普通借地権に区分されました。

定期借地権では、契約期間を50年以上とし、契約期間が満了すると土地を更地にして返却する必要があります。

一方で、普通借地権では、一般的に初回の借地期間は30年、1回目の更新は20年、2回目の更新は10年です。
地主は正当な事由(自己使用や売却)が無い場合は、基本的には自動更新しないといけません。
普通借地権は、契約を更新することで土地を返還せずに使用できる点が定期借地権と大きく異なります。

3種類の定期借地権の存続期間

定期借地には、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用定期借地権の3種類があります。

3種類の定期借地権の存続期間の違いは以下のとおりです。

一般定期借地権借地期間は50年以上で、期間満了時には更地にして返却。
建物譲渡特約付借地権借地期間は30年以上で、契約期間を過ぎた時点で土地の所有者が建物を買い取る契約を行う。
買い取りが終わると借地権は消滅する。
事業用定期借地権借地期間は10年以上20年以下で、事業用での利用のみ有効で住宅は建築できない。

定期借地権は更新がないので、地主は更新のある普通借地権よりも安心して貸付ができます。

また、借主も自身の用途に応じて3種類の定期借地権を利用することができるので、良質な事業用建物や住宅を少ない負担で手に入れることができます。

定期借地権付きマンションを購入する際の5つの注意点

定期借地権付きマンションは、所有権付きマンションと比べて割安で購入できるのが魅力ですが、購入する際の注意点を理解しておかないと失敗するケースも多いです。

特に、地代や解体積立金などの費用がかかる点は理解しておく必要があります。
ここでは、定期借地権付きマンションを購入する際の5つの注意点について解説します。

借地期間満了後は土地を返還する必要があること

定期借地付きマンションは、借地満了時に土地を返還する必要があります。

契約期間は50年以上で、長いものであっても70年程で地主に返還する場合がほとんどです。

現在は、人生100年時代とも言われており、30代で購入すると老後に住み続けることは難しくなることが予想されます。

70~80代の高齢者となると賃貸に引っ越すということも難しく、定期借地付きマンションを購入する場合は早めに住宅の対策を検討する必要性があります。

住宅ローンの審査に通りづらい場合があること

定期借地権付きマンションの中でも中古を購入する際は、残存期間が短いことから借り入れが難しくなるケースがあります。

古い定期借地権付きマンションでは借入期間を55年程度に設定しているケースが多いです。
残存期間が30年を切る物件は長期で住宅ローンを借り入れることができず、住宅ローンの審査に通りづらい傾向にあります。

そのため、中古の定期借地権付きマンションを購入する場合は、ある程度頭金を準備するか、将来の住み替え資金を用意しておく必要があります。

将来的な資産価値が低くなる傾向があること

定期借地権付きマンションは、建物の築年数が経過すると資産価値が低下する傾向があります。

所有権付きマンションであれば建物や室内の経年劣化による資産価値の低下のみです。
しかし、定期借地権付きマンションでは、期限がくると地主に土地を更地で返還する必要があるため、年数が経過するごとに売却が難しくなり、必然的に資産価値が低くなるというわけです。

土地の所有者に対して地代を支払う必要があること

定期借地権付きマンションでは、土地の固定資産税や都市計画税を支払う必要はありませんが、地主に地代を支払う必要があります。

地代は、固定資産税程高くありませんが毎月の支払いが必要になります。
定期借地権付きマンションを購入する際は、所有権付きマンションとの価格差だけでなく、固定資産税や都市計画税などのランニングコストに対して地代がどの程度かかるかも含めて検討することが重要です。

借地契約終了時のための解体積立金が発生すること

定期借地権付きのマンションは、契約満了時に更地で返却する費用として解体積立金が発生ます。

新築時に一時金で払うケースもありますが、金額も大きくなるので毎月の費用として解体積立金として徴収しているケースが多いです。
また、最近では解体費を価格に含み、解体積立金が不要な物件もあります。

定期借地権付きマンションに住む4つのメリット

立地条件の良い物件が多い、購入価格を安く抑えられるなど定期借地権付きマンションはメリットも多いです。

購入の際の注意点をしっかりと理解し、上手に物件を購入しましょう。
ここでは定期借地権付きマンションに住む4つのメリットをご紹介します。

立地条件の良い物件が多いこと

定期借地権付きマンションは、通常の物件よりも立地や部屋の広さなどの条件が整ったマンションが売りに出されていることがあります。

定期借地権付きマンションが建てられる場所は、地主が手放したくない土地ということもあって、便利が良く、資産性の高い場所に建設されることが多いです。

新築マンションの建設されないエリアや希少性の高い立地であれば、売却の際にも買い手がつきやすくなります。

物件の購入価格を安く抑えられること

同条件のマンションを購入する上では、通常のマンションよりも定期借地権付きのマンションの購入価格が安く抑えられる傾向にあります。

所有権付きのマンションは、建物だけでなく土地の価格も含まれますが、定期借地権付きマンションは建物のみの価格なので分譲会社も価格を抑えて売り出せます。

住宅ローンの借入額を少なくできること

定期借地権付きマンションは、土地の購入費用がかからないため、結果として住宅ローンの借入額を少なくできます。

住宅ローンの借入額が減っても通常のマンションと同様に住宅ローン減税の対象です。
ただし、購入時に土地の借入や解体のための一時金がかかる点には注意しましょう。

土地の固定資産税・都市計画税がかからないこと

建物や土地には、固定資産税や都市計画税などの税金がかかります。

しかし、定期借地権付きマンションは、税金を支払うのは所有者なので、定期借地権付きのマンションの場合は支払う税金の額が減ります。

ランニングコストを抑えることで毎月の生活費も増やすことができます。

定期借地権付きマンションは「将来の住み替えを予定している人」向け

定期借地権付きマンションは、メリットと注意点をきちんと理解すれば良い物件を手に入れることができます。

定期借地権付きのマンションに向いている人の特徴は以下のとおりです。

・初期費用を抑えて家を購入したい人
・将来的なライフスタイルの変化が予想される人
・一定の場所に長期間住むことを望まない人
・立地の良い物件を安く購入したい人

予算、エリアが同条件であれば、通常のマンションよりも価格が安くて立地の良い物件を購入できます。
定期借地権付きマンションは、同じ場所に長く住みたい人よりも将来の住み替えを予定している人におすすめですね。

さいごに

今回は、定期借地権付きマンションの購入の際の注意点やメリットについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

定期借地権付きマンションは、通常のマンションよりも価格を抑えて好立地の物件を購入できるなど多くのメリットがあります。

特に、将来の住み替えを予定している人にとっては、借入期間が決まっているので明確な出口戦略を立てやすいです。

しかし、定期借地権付きマンションは借入期限があるので、老後に住む家がなくなる、地代や解体積立金などのランニングコストが必要になる点には注意が必要です。

自分のライフプランと照らし合わせながら定期借地権付きマンションの購入を検討してみてください。

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引士 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

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