サービスルームとは?居室ではないスペースの特徴と活用法を解説

不動産を知りたい

「サービスルームってどんな部屋?」「納戸とはどう違うの?」など、サービスルームは何のためにある部屋か分からないという方もおられるでしょう。

サービスルームは採光や換気の条件により、使用用途が限られる場合がある部屋のことです。
用途が限られるスペースであるため、同じ専有面積でもサービスルームがある部屋の値段の方が安くなることもあります。

この記事では、サービスルームのメリット・デメリットやサービスルームの主な活用方法について解説します。

サービスルームとは「建築基準法で居室の条件を満たさない部屋」を指す

サービスルームとは、「建築基準法で居室の条件を満たさない部屋」のことを指します。

居室と認められるためには、採光や換気などでさまざまな基準を満たす必要があります。
採光が十分で部屋の換気も問題なく、継続的な使用が想定されているかといった項目により居室かどうかが定められるのです。

具体的には、窓の大きさが床面積の7分の1以上であり、換気に必要な開口部が床面積の20分の1以上であることが条件です。

サービスルームとは、こうした採光や換気についての条件が不十分であり、居室として認められないスペースのことを指します。

また、短時間の使用が想定されているスペースも居室とは認められていません。
たとえば、窓の大きさや採光が十分であってもトイレやキッチンなどは、建築基準法上は居室にあたりません。

サービスルームは、ほかにも「納戸」や「DEN(書斎)」、「F(フリールーム)」、「ワークスペース」と表記されることもあります。

サービスルームのある物件のメリット

建築基準法上では「居室」と扱われないサービスルームですが、その部屋の用途については規制がないので、どのように使っても問題はありません。

採光が少ない点は、物が日に焼けて傷む心配も少ないといったメリットにもなりますので、余裕のある収納スペースとして活用するのもよいでしょう。

また、静かな環境を得られやすいので、書斎のようなプライベート空間として使用することもおすすめです。

以下で、サービスルームのメリットを確認していきましょう。

直射日光を避けられること

サービスルームは窓が小さかったり、無かったりするので通常の部屋よりも日光を避けられるといった特徴があります。

日焼けが心配な洋服や本、直射日光を避けたい食品などを置くスペースとして適しているといえるでしょう。

大切な家具をキレイな状態で長持ちさせたいなどの場合にも、サービスルームに設置しておけば日焼けによる劣化を防げます。

収納スペースとして利用できること

サービスルームにラックや突っ張り棒などを設置すれば、収納スペースとしても重宝するでしょう。

新しい趣味ができたり、家族が増えたり、といったライフスタイルの変化とともに物は増えていきます。

クローゼットに収まり切らない服や物をサービスルームに保管できることで、ほかの部屋を広く快適に使用できます。

プライベート空間が確保できること

居室に比べて、サービスルームはプライベートな空間を確保しやすいといった点もメリットです。

一般的な部屋より狭いことが多いので、自分一人だけの隠れ家的な楽しさも味わえるでしょう。

ただし、長時間過ごす場合は、換気や室温に注意してください。
サービスルームは湿気がたまりやすいほか、夏は特に熱がこもりやすくなります。
熱中症などにならないよう気をつけましょう。

用途に合わせて使用方法を変更できること

サービスルームの利点として大きいのは、用途に合わせて使用方法を変更できることです。

もうひとつ部屋が欲しい、という状況になった場合、収納としてサービスルームを使用していたとしても、別の用途として変更できるのです。

書斎や趣味の部屋として、また子どもの遊び場などさまざまな用途で使用できます。

生活の変化に合わせて対応できるサービスルームがあると、非常に便利であるといえます。

サービスルームのある物件のデメリット

自由な用途で使えるサービスルームですが、コンセントや空調設備が整っていないなどといった環境面でデメリットも存在します。

日当たりの悪さから湿気がこもりやすくなる、といった点にも注意が必要です。

この項ではサービスルームのデメリットと、その対処法を解説します。

空調設備が設置できないこと

サービスルームには、エアコンを設置できない可能性があります。

居室ではないため、コンセントやエアコン設置用にスリーブ(穴)が設置されていない場合があるからです。

そういった場合、窓用エアコンを設置するという方法もありますが、壁掛けエアコンに比べて電気代が高くなる傾向にあります。

壁掛けエアコンを必要とする場合には、工事が必要となるでしょう。

ただし、壁掛けエアコンには室外機が必要となるため、サービスルームが屋外に面していない場合は設置ができません。その点には注意が必要です。

湿気がたまりやすいこと

日光が入りづらいため、湿気がたまりやすいこともサービスルームの特徴です。

また、開口部が少なく、風通しが悪いといったことも湿気がたまる要因のひとつです。

カビ対策としても、湿度の調整は重要になってきます。
以下のような方法で湿気対策をおこなうようにしましょう。

・除湿器を設置する
・サーキュレーターで空気を循環させる
・除湿剤を四隅に置く
・家具と壁の間にすき間をつくる

そのほかにも、ドアを定期的に開けて換気したり、ドアを開けっぱなしにしておいたりするなどサービスルームの湿気については気を配っておきましょう。

自然光の確保ができないこと

窓が小さかったり、そもそも窓が無かったりするサービスルームでは、自然光の確保が難しいことがデメリットです。

部屋の日当たりの悪さは、物の日焼けや劣化を防ぐというメリットもある反面、部屋が暗くなってしまうことが難点です

精神面への影響や、日照不足による健康被害がでる可能性も考えられるので、長時間の利用はあまりおすすめできないでしょう。

コンセントがない可能性があること

サービスルームは居室とされないため、コンセントがないこともあります。

コンセントのない部屋は、書斎や作業部屋としては使いづらくなるため、目的が限定されてしまいます。

サービスルームを収納としてだけではなく、他の用途で使いたい場合には将来的にリフォームを検討することも選択肢の一つでしょう。

サービスルームの主な活用方法5選


ここまでサービスルームの特徴や、メリット・デメリットについて解説しました。
この項では、サービスルームの主な活用方法5選を紹介します。

居室ではないものの、サービスルームをどのように使うかは自由です。
こんな部屋があったらよかったのに、という思いに応えることもできるでしょう。

以下のサービスルーム活用方法も、ぜひ参考にしてください。

物置や保管庫として使用する

サービスルームの主な活用方法としては物置や保管庫として使用することが挙げられます。

日光を避けられるといったメリットから、物を傷めずに長期間の保存に向いていることが理由のひとつです。

また、サービスルームはクローゼットや部屋に設置された収納スペースよりも広いので、より多くの物を収納できるといった特徴があります。

季節ものの家電や、普段は使用しないスーツケースのようにかさばる物の収納にも便利でしょう。

趣味を楽しむ部屋として使用する

趣味を楽しむ部屋として、サービスルームを使用するのもおすすめです。

サービスルームは窓がなかったり小さかったりするので、光や音を通しにくく、集中して物事をおこなう場所として適しています。

コンセントのある部屋であれば、オーディオルームなどを作ることも可能でしょう。また、書斎として、読書や執筆に没頭するプライベート空間としても活用できます。

ワークスペースとして使用する

作業用に必要なデスクや椅子、インターネット環境などを整えることでワークスペースとしても使用できるでしょう。

サービスルームは在宅ワークの仕事部屋として活用したり、静かな環境で作業したりする場面に向いています。

リラックスする部屋とは別の空間を確保することによって、気分の切り替えにもつながります。

子どものプレイルームとして使用する

基本的には長時間の利用を前提としていないサービスルームですが、空調や湿気の問題に注意すれば、子どものプレイルームとしても活用できます。

人の出入りもない空間なので、片付けずに散らかっていても気になりません。

遊びの内容によっては、片付けないままの状態で、また次の日に続きから遊べるという環境は子どもにとってもうれしいでしょう。

ただし、注意点があります。
快適な環境にするため、換気用にサーキュレーターを設置する、ジョイントマットを使用して転んでもケガをしないようにするといった工夫は忘れずにしておきましょう。

ウォークインクローゼットとして使用する

棒とハンガーを設置してウォークインクローゼットを作ることで、ほかの部屋の収納スペースを確保できます。

サービスルームは居住するスペースではないので、背の高い収納を設置しても圧迫感を感じてしまうといったこともありません。

壁面を全て収納として使用すれば、大容量の服や荷物が収まるでしょう。
収納が設置されていない部屋の荷物なども置けるので、部屋が広く活用できます。

サービスルームのある物件を選ぶ際の3つのポイント

この項では、サービスルームのある物件を選ぶ際に、気をつけておきたい3つのポイントを解説します。

ポイントとして、最も大切なのはサービスルームをどのような用途で活用していきたいか、といった意向です。

それにより、サービスルームに求める設備、広さ、といった条件が定まるからです。

望んだ通りに活用できなかった、ということがないよう以下のポイントを確認しておきましょう。

部屋の設備を確認すること

ご自身が必要とする設備がサービスルームに整っているか確認しておきましょう。

サービスルームは、収納として使う以外にも幅広い用途で使用できるスペースです。

しかし、居住スペースとみなされないため、コンセントや空調設備が整っていないケースが多いことは前述した通りです。

サービスルームをどういった用途で使いたいのか、どのように活用していく可能性があるのかをよく検討した上で、その用途に合った設備があるか確認しておきましょう。

部屋の防音性能を確認すること

光が入り込まない分、落ち着いた静かな雰囲気で音楽を聴くことや楽器の演奏をすることなど、自分だけの空間を満喫できるスペースです。

しかし、部屋の防音性を事前に確認しておくことが重要です。

サービスルームは天井や壁が薄いケースもあり、そのように防音性能が低い場合は、周りの音がよく聞こえたり部屋から出す音が周囲に聞こえやすくなったりします。

不動産会社の人に防音性について聞いてみたり、壁を軽くコンコンと叩いてみて響き具合を調べたりすることによって、防音性の高さを確認しておきましょう。

部屋の間取りや広さを確認すること

サービスルームの間取りや、用途に合った広さがあるか確認しておきましょう。

サービスルームには、天井の高さが十分にないといったケースもあります。
天井の高さが2.1mに満たないといった場合も居室として認められず、サービスルームとなるからです。

設置する家具や、趣味で使うための道具の大きさなどを具体的に把握しておき、実際の間取りにおいて問題なく使用できるか確認しておきましょう。

さいごに

この記事では、サービスルームの特徴やメリット・デメリットについて解説しました。

ライフスタイルの変化とともに、家の中の必要なスペースも変化していきます。

サービスルームは収納として活用する以外にも、子どもの遊ぶスペース、趣味の部屋、書斎、オーディオルームなど、どんな使い方でもできる魅力的なスペースです。

また、費用の面でもサービスルームにはメリットがあります。
サービスルームは居室としてカウントされないため、家賃や購入費が安くなる場合があるのです。

メリットの多いサービスルームですが、物件を選ぶ際には、どのような設備が設置可能か、どういった利用をするのかしっかり検討した上で、選ぶことが重要です。

コンセントや空調設備、テレビといった設備が必要か、または今後設置できるかなどもしっかり確認しておきましょう。

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引士 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

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