日当たりのいい部屋の選び方!方角による違いと快適に暮らすコツ解説
「南向きの部屋を選ぶべきなの?」「日当たり以外に部屋選びで重視すべきポイントは?」
日当たりのいい部屋は快適な住環境を得るための大きな要素です。
しかし、方角による違いや実際に住んでみて感じるメリット・デメリットについて知りたいという方も多いでしょう。
一般的に「南向きの部屋は日当たりがいい」と言われますが、日当たりの良し悪しは方角だけで決まるものではありません。部屋の向きに加えて、周辺環境や窓の大きさ、階数なども大きく影響します。
この記事では、日当たりのいい部屋の特徴やメリット、注意点について解説します。快適な住まい探しの参考にしてみてください。
日当たりのいい部屋に住むメリット
日当たりのいい部屋には、気持ちの良さだけでなく、実用的なメリットも多くあります。自然光が部屋を明るく照らし、気分を前向きにするだけでなく、心身の健康にも良い影響を与えます。
ここでは、日当たりのいい部屋に住むことで得られる主なメリットを紹介します。
洗濯物が乾きやすい
日当たりがいい部屋の大きなメリットの一つは、洗濯物が乾きやすいことです。
太陽の光が部屋に差し込むことで、洗濯物に直射日光が当たり、乾燥を促進します。特に梅雨の時期や冬場など、外に洗濯物を干すことが難しい季節でも、日当たりのいい部屋なら室内干しでも比較的早く乾くでしょう。
また、日光には殺菌効果もあるため、洗濯物の菌やカビの繁殖を防げます。特に赤ちゃんのいる家庭や、タオルなどを頻繁に使う家庭には非常にありがたい環境です。
洗濯物が早く乾けば、洗濯の回転率が上がり、日常生活の快適さも向上します。
湿気がこもりづらい
日当たりのいい部屋は、自然に室内が温まりやすく乾燥しやすいため、湿気がたまりにくい環境になります。
湿気はカビやダニの原因となるだけでなく、家具や建材の劣化を引き起こすこともありますが、日差しがしっかりと入ることで、こうしたリスクを軽減できます。
特に高層階や周囲に建物が少ない場所では、より多くの日差しが入るため、いっそう快適に過ごせるでしょう。
また、湿気の少ない部屋は健康面でもメリットがあります。湿気によるアレルギーやぜんそくの悪化を防ぎやすくなり、より健康的な生活環境を保てます。
部屋の湿気にお悩み中の方は、以下の記事も参考にチェックしてみてくださいね。
電気代を節約できる
日当たりのいい部屋は、日中に自然光だけで十分明るくなるため、照明を使う頻度が減り、電気代の節約につながります。特に在宅ワークなどで日中も家にいることが多い方にとっては、大きなメリットです。
さらに冬場は、太陽の熱で室内が自然と暖まり、暖房の使用時間を抑えられます。これにより、暖房費の節約にもなります。
ただし、夏は日差しが強すぎると室温が上がりやすいため、冷房の使用が増える可能性がある点には注意が必要です。そのため、季節に応じた工夫が求められます。
健康的な生活ができる
日光には体内時計を整える働きがあります。朝日を浴びることで体内リズムがリセットされ、夜の良質な睡眠へとつながります。自然に規則正しい生活を送りやすくなる点も魅力です。
また、日光を浴びることにより体内でビタミンDが生成され、骨の健康維持やうつ症状の予防にも効果があります。特に冬は日照時間が短くなりやすいため、「冬季うつ」の対策としても有効です。
さらに、自然光のもとで過ごす時間は目の疲れをやわらげ、メンタル面にも良い影響をもたらします。明るい部屋で過ごすことにより気分が前向きになり、ストレスの軽減が期待できます。
参考:ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報(国立環境研究所)
参考:「うつ」とは違う?「冬季うつ」の対処法(NHK)
日当たりのいい部屋に住む際の注意点
日当たりのいい部屋には多くのメリットがありますが、一方で注意すべき点も存在します。
日当たりの良さだけを重視して物件を選ぶと、実際に住み始めてから思わぬ不便さに気づくこともあるでしょう。
ここでは、日当たりのいい部屋に住む際に押さえておきたい注意点を詳しく解説します。
家賃が高くなる場合がある
日当たりの良い部屋、特に南向きの部屋は人気が高いため、同じ物件内でも家賃が高めに設定されていることがあります。物件情報に「南向き」と記載されているだけで、家賃が数千円高くなることも珍しくありません。
特に建物が密集している都心部では、日当たりの良さがより貴重とされるため、その分家賃も高くなる傾向にあります。
予算に余裕がない場合は、日当たりだけにとらわれず、駅からの距離や間取りなど、他の条件とのバランスを考えて選ぶことが大切です。
壁や床などが色あせしやすい
日当たりのいい部屋では、壁紙や床材、家具などが日光の影響で色あせする可能性があります。特に直射日光が長時間当たる場所では、その影響が顕著です。
家具やカーペット・カーテンなどは、紫外線によって徐々に色が変わったり、素材が劣化したりすることがあります。また、本や写真、アート作品なども日焼けによるダメージを受ける恐れがあります。
これを防ぐには、UVカット機能付きのカーテンを使用したり、直射日光が当たりやすい場所には色あせしにくい素材の家具を選んだりするなどの対策が必要です。
夏場は室温が上がりやすい
日当たりのいい部屋では、夏場に室温が上がりやすいというデメリットがあります。特に西向きの部屋や、終日太陽が差し込む南向きの部屋では、午後になると室温が急激に上昇しがちです。
室温が高くなることで冷房の使用頻度が増え、電気代がかさむ原因にもなります。
このような状況を避けるためには、遮熱カーテンやブラインド、すだれなどを使って直射日光を遮る工夫が有効です。
ガラス張りの場合は防犯面に不安がある
近年の住宅では、日当たりを確保するために大きな窓やガラス張りの部分が増えています。こうした設計は室内を明るくする一方で、防犯面に不安が生じることもあります。
大きな窓は外からの視線が入りやすく、プライバシーの確保が難しくなる場合もあるでしょう。また、ガラス部分が多いと、侵入経路となるリスクも高まります。
こうした問題に対処するためには、レースカーテンや遮光カーテンを活用したり、防犯フィルムを窓に貼ったりすることが有効です。
日当たりのいい部屋の方角
日当たりの良さを左右する最も大きな要素のひとつが、「部屋の方角」です。
部屋の向きによって、日光が差し込む時間帯や量が異なるため、快適さにも大きな違いが生まれます。
ここでは、東西南北それぞれの方角の特徴と、どのようなライフスタイルの人に向いているかを詳しく解説します。
東向きの部屋
東向きの部屋は、朝日が差し込むため、朝の時間帯が明るくなります。太陽が昇る方角に窓があるため、午前中は太陽の光が部屋に入りますが、午後からは徐々に日が陰っていきます。
東向きの部屋の特徴は以下の通りです。
• 朝日を浴びることで自然に目覚めることができる
• 午前中に洗濯物を干せば効率よく乾かせる
• 午後からは直射日光が入らないため、夏場でも室温の上昇を抑えられる
• 夕方から夜にかけては部屋が暗くなりやすい
東向きの部屋は、早起きが習慣の人や朝型の生活リズムを持つ人に適しています。また、日中は外出していることが多く、夕方から夜にかけて帰宅する人にとっては、夏場の暑さを軽減できるメリットがあります。
西向きの部屋
西向きの部屋は、午前中は比較的暗めですが、午後から夕方にかけて日光が差し込んできます。太陽が沈む方角に窓があるため、夕日の光が部屋に入ります。
西向きの部屋の特徴を以下で見ていきましょう。
• 午前中は直射日光が入らないため、朝はやや暗め
• 午後から夕方にかけて日光が差し込み、部屋が明るくなる
• 夏場の午後は西日が強く、室温が上昇しやすい
• 夕方まで洗濯物を干せる
西向きの部屋は、夜型の生活をしている人や、午前中は外出していて午後や夕方に帰宅する人に向いています。ただし、夏場の西日は特に強いため、適切な遮光対策が必要です。
南向きの部屋
南向きの部屋は、一日を通して最も日照時間が長く、安定した日当たりが期待できます。太陽が南中する時間帯は最も明るくなります。
南向きの部屋の特徴は以下の通りです。
• 一年を通して日当たりが良く、安定した日照時間がある
• 冬場は太陽高度が低いため、暖かい日差しが室内に入りやすい
• 夏場は太陽高度が高いため、直射日光が室内に入りにくくなる
• 洗濯物が一日中効率よく乾く
南向きの部屋は、日当たりを最も重視する人や、在宅時間が長い人(在宅ワーカーや主婦、高齢者など)に適しています。また、冬場の暖かさを重視する人にもおすすめです。
北向きの部屋
北向きの部屋は、直射日光がほとんど入らないため、一日を通して比較的暗めになります。しかし、安定した間接光が入るため、光の変化が少ないという特徴があります。
北向きの部屋の特徴は以下の通りです。
• 直射日光が入らないため、一日中安定した光環境が維持される
• 夏場でも室温が上昇しにくく、涼しく過ごせる
• 冬場は寒くなりやすい
• 家具や床材、アート作品などの日焼けを気にしなくて良い
北向きの部屋は、直射日光によるまぶしさや熱さを避けたい人、安定した光環境を必要とするアーティストや写真家などに適しています。また、夜勤などで日中に睡眠をとる人にもおすすめです。
ただし、湿気がこもりやすいため、適切な換気や除湿対策が必要になります。
北向きの部屋についてさらに詳しく知りたい方は「北向きの部屋は本当に避けるべき?やめとけといわれる理由を解説」(スマトリ)の記事も参考にしてください。
日当たり以外に見るべきポイント
部屋選びの際に「日当たり」はとても重要な要素ですが、快適な暮らしを手に入れるためには、他にもチェックすべき点があります。
以下では、日当たり以外にも確認すべきポイントを紹介します。
騒音や生活音
住環境の快適さを左右する重要な要素の一つが騒音です。どれほど日当たりが良くても、常に騒音に悩まされていては、快適に過ごすことはできません。
騒音の原因には、以下のようなものがあります。
• 外部の騒音:道路の交通音、電車の音、工事現場の音など
• 内部の騒音:隣室や上下階からの生活音、給排水管の音、エレベーターの音など
部屋を見学する際は、異なる時間帯に訪れて騒音の状況を確認することをおすすめします。
また、幹線道路や線路・商業施設・飲食店の有無など、周辺環境もしっかりチェックしておきましょう。
新しい物件は一般的に防音性能が高い傾向にありますが、古い物件でも壁の厚さなど構造的な要素によって騒音が少ない場合もあります。
風通しの良さ
日当たりと同様に、風通しの良さも快適な住まいに欠かせない要素です。風通しが良い部屋は室内の空気が清潔に保たれ、湿気がこもりにくく、カビの発生も防ぎやすくなります。
夏場には自然の風で涼しく過ごせたり、調理の臭いがこもりにくかったりといった利点もあります。
風通しを確認する際は、窓の位置や大きさ、部屋が角部屋かどうかをチェックしましょう。窓が2方向にある場合は空気の流れが良く、角部屋であれば風通しがさらに期待できます。
隣の建物が近い場合は風の流れが遮られることもあるため、注意が必要です。
内見時には、実際に窓を開けて風の通り具合を確認しておきましょう。
建物の構造
建物の構造も、日当たり以外で注目すべき重要なポイントです。構造によって、防音性能や断熱性、耐震性などが大きく異なります。
以下に、主な構造とそれぞれの特徴をまとめました。
建物の構造 | 特徴 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 耐火性・耐震性に優れ、遮音性も高い。断熱性も比較的良いが、コストが高い |
鉄骨造(S造) | 耐震性があり、大きな空間を作りやすい。ただし、遮音性はRC造に比べると劣る場合がある |
木造 | 温かみがあり、湿度調整機能がある。ただし、遮音性や耐火性はRC造やS造に比べると劣る |
また、築年数も見逃せないポイントです。古い建物は家賃が安い傾向にありますが、断熱性や防音性能は現代の基準に比べて劣ることがあります。
内見時には、壁や床の厚さ、窓の構造(二重窓かどうかなど)、共用部分の管理状態なども確認しておくと安心です。
建物の構造についてさらに詳しく知りたい方は「住むならどっち?鉄筋コンクリート造と鉄骨造の5つの違いを解説」(スマトリ)の記事も参考にしてください。
日当たりが悪い部屋で過ごす対処法
理想としては、日当たりの良い部屋に住みたいものですが、さまざまな事情によりそうはいかない場合もあります。
しかし、日当たりが悪くても工夫次第で快適に過ごすことは十分可能です。
主な課題は、「暗さ」「湿気」「冬場の寒さ」などでしょう。これらを改善するための対策を講じれば、明るく過ごしやすい空間をつくれます。
明るいタイプの室内照明を選ぶ
日当たりが悪い部屋では、人工照明の選び方が特に重要になります。以下のポイントを参考に照明を選びましょう。
• 色温度:昼光色(5700K-7100K)の照明は太陽光に近い明るさを実現し、室内を明るく見せる
• 照明の種類:LED照明は省エネで長寿命、さらに明るさも調整しやすい
• 照明の配置:天井の中央だけでなく、壁際や部屋の角にもスタンドライトなどを置くことで、均一な明るさを得られる
• 間接照明:壁や天井に光を当てる間接照明を使うと、柔らかな明るさで部屋全体を照らせる
また、照明器具のシェードやカバーは、光を通しやすい白や明るい色のものを選ぶとより効果的です。
照明ひとつで部屋の印象は大きく変わるため、日当たりが悪い部屋では特に重視したいポイントです。
換気扇をつけて風通しを良くする
日当たりの悪い部屋は湿気がこもりやすいので、適切な換気が必要となります。
室内の空気を循環させるには、サーキュレーターを活用するのがおすすめです。空気の流れを作ることで、湿気が一部に偏ることを防げます。
また、浴室やキッチンなどの換気扇をこまめに回して、こもった湿気を屋外に排出するのも効果的です。
可能であれば、朝や夕方など気温差の少ない時間帯に窓を開け、短時間でも空気を入れ替える習慣をつけましょう。
インテリアのカラーを工夫する
インテリアの色使いは、部屋の印象に大きな影響を与えます。特に日当たりの悪い部屋では、明るさや開放感を演出するために色の選び方が重要です。
例えば、壁には白や明るいベージュ、パステルカラーなどの明るい色を使うことで、限られた自然光を反射して部屋全体が明るく感じられます。
家具についても、濃い色合いのものは空間を重たく見せがちです。ナチュラルな木目調やホワイトなど、明るいトーンのものを選ぶと軽やかな印象になります。
また、窓際にはできるだけ大きな家具を置かず、貴重な自然光を遮らないようにすることも大切です。
まとめ
部屋選びにおいて「日当たり」はとても重要なポイントの一つです。日差しがしっかり入る部屋は、明るく暖かく感じられ、心地よい暮らしにつながります。
ただし、快適な住まいを得る要素として、日当たりの良さがすべてという訳ではありません。立地や間取り・周辺環境・建物の構造なども総合的に判断することが大切です。
また、日当たりがあまり良くない部屋であっても、照明や換気、インテリアの工夫によって、快適な空間に変えることが可能です。大切なのは、実際に内見をして「自分がその空間で心地よく過ごせるか」をしっかりと確認することです。
後悔のない部屋選びをするためにも、日当たりを含めたさまざまな視点から物件をチェックして、納得のいく住まいを見つけましょう。

<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。