墨田区の住みやすさはどう?治安やおすすめの駅をタイプ別で解説
「墨田区って観光客が多くて住みにくくないのかな?」 「子育て環境や治安は実際どうなの?」
墨田区はスカイツリーや両国国技館など、観光名所が多い街として知られていますが、実際の住みやすさや生活環境が気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、墨田区の治安や家賃相場、子育て支援制度などを具体的に解説。観光地と住宅街の共存が暮らしに与える影響や、都心へのアクセスの良さについても詳しくお伝えします。
墨田区での暮らしを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
墨田区は住宅街や自然の多い子育て向けのエリア
墨田区は、下町の風情を残しながらも近代的な施設と緑地が調和した暮らしやすい街です。
約8万平方メートルの隅田公園では、春には屈指の桜の名所となり花見客でにぎわい、夏には涼やかな水辺の風景を楽しめます。
全長2kmにおよぶ隅田川緑道公園では、ジョギングや散歩を楽しむ住民の姿が日常的に見られます。白髭橋から厩橋(うまやばし)まで、橋を眺めながら散策でき、春は花見やレガッタ観戦(※1)、夏は隅田川花火大会でにぎわいます。
歩くほどに異なる角度から東京スカイツリーを楽しめるのも魅力です。
さらに区内には60箇所を超える児童遊園が整備されているので、どの地域に住んでも子どもの遊び場に困ることはないでしょう。
墨田区は下町ならではの落ち着いた住宅街と豊かな自然が共存し、都心近くでもゆとりある暮らしを得られる魅力的なエリアです。
(※1)レガッタ観戦:ボートやヨットなどの大会の観戦
2019年から2024年の間で1万人以上人口が増加
墨田区の人口は2019年から2024年の5年間で約1.3万人増加し、28万人を突破しました。
30代後半の人口が29,390人と最も多く、30代前半から40代の子育て世代が続いています。
特に押上エリアでは東京ソラマチの開業以降、セキュリティの整ったタワーマンションの建設が相次ぎ、新しい住民を引き付けています。
区内の駅同士は適度な距離にあり、徒歩や自転車での移動も便利です。さらに、都営新宿線や半蔵門線など9路線が利用できることから、都心へのアクセスの良さも若い世代の流入を後押ししています。
令和5年の犯罪件数は23区内で7番目に少ない
墨田区の犯罪発生件数は2,137件で、23区中で7番目に少ない数字を記録しています。
内訳を見ると、粗暴犯が192件、自転車盗が665件、侵入窃盗が40件となっています。
特に菊川駅周辺(菊川2丁目・3丁目)は暴行事件が1件、傷害事件が2件と極めて安全な住環境を達成。街灯が整備されていて、夜でも明るいため仕事で帰りが遅くなっても安心でしょう。
一方で、錦糸町駅周辺(江東橋3丁目・4丁目)では暴行事件が31件、傷害事件が17件発生しており、深夜の外出には注意が必要です。
参考:区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数令和5年(警視庁)
区の防犯対策が充実している
墨田区では、年末年始を含む毎日2台の青色パトロールカーによる巡回を実施しています。
特に錦糸町エリアでは、「客引き行為等の防止に関する条例」を施行し、環境浄化に力を入れています。
また、自主的な防犯パトロール活動を推進するため、防犯パトロール用品を支給しています。
例えば「わんわんパトロール」という地域住民による見守り活動には、パトロール用バッグやバンダナを支給。また、自動通話録音機の無料貸出しなど、防犯施策も展開しています。
街頭における犯罪を防止するため、町会、商店街振興組合などが連携して防犯カメラ等の防犯設備を設置する場合には、経費の一部の助成もしています。
参考:区の防犯対策(墨田区)
東京の歴史や伝統が息づく墨田区の特徴
江戸時代から続く老舗の和菓子店や、職人の工房が残る墨田区。
その一方で、634mの高さを誇る東京スカイツリーや、300店舗以上が入居する東京ソラマチなど、最新の商業施設も充実しています。
向島百花園では江戸の庭園文化を感じられ、すみだ北斎美術館では浮世絵の世界に触れることができます。
歴史的な街並みと現代的な施設が調和した、独特の魅力を持つエリアとなっています。
交通機関が充実しており利便性が高い
墨田区内を走る9路線の鉄道網により、都心へのアクセスは抜群です。
墨田区では、以下の9路線を利用できます。
・都営浅草線
・都営大江戸線
・都営新宿線
・東京メトロ半蔵門線
・東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)
・JR総武線・総武本線
・京成押上線
・東武亀戸線
押上駅から半蔵門線で大手町まで15分、錦糸町駅からJR総武線快速で東京駅まで9分と、通勤・通学に便利。
京成押上線は成田空港へのアクセスも可能で、出張や旅行にも重宝します。
区内循環バス「すみまるくん」「すみりんちゃん」も3ルートを走り、電車でカバーできないエリアへのアクセスも確保。駅周辺には駐輪場も整備され、自転車での移動もしやすい環境が整っています。
人気の観光地と下町情緒が共存している
東京スカイツリー周辺には商業施設が立ち並ぶ一方、路地に入ると「おしなり商店街」のような下町情緒あふれる風景が広がります。
もつ焼き屋や老舗いなり寿司店が並び、観光客と地元住民が自然に交わる活気あるエリアです。
両国エリアでは江戸東京博物館(2026年春まで改修工事のため休館)や国技館を中心に、ちゃんこ料理店や相撲部屋が点在し、大相撲の雰囲気を日常的に感じられます。
歴史的な建造物と現代的な施設が共存するこの街並みは、墨田区ならではの魅力です。
花火大会など季節のイベントが開催される
墨田区では、東京の三大花火大会の一つである「隅田川花火大会」が毎年7月に開催されます。
約2万発の花火が夜空を彩り、観覧エリアとなる隅田川沿いには毎年約100万人の人々が集まります。花火大会以外にも、4月の「墨堤さくらまつり」、10月の「すみだまつり・こどもまつり」など、地域に根ざした伝統行事が数多く開催。
特に「すみだまつり」では墨田区総合体育館3階に椅子約800席が設置され、ダンスなどの芸能大会やカラオケ大会決勝、中学校吹奏楽合同演奏会などを開催しています。
こうした季節のイベントは、地域コミュニティの活性化にも貢献し、住民同士の交流を深める機会となっています。
墨田区の家賃相場
墨田区の間取り別家賃相場は以下の通りです。
間取り | 家賃相場 |
1R | 9.13万円 |
1K | 9.99万円 |
1DK | 12.25万円 |
1LDK | 16.80万円 |
2K | 13.06万円 |
2DK | 17.63万円 |
2LDK | 22.34万円 |
3LDK | 29.40万円 |
墨田区の家賃相場は、エリアによって大きな差があります。スカイツリーがある押上エリアは再開発の影響で上昇傾向にあり、新築のタワーマンションも多く見られます。
一方、区の東部に位置する東あずまや鐘ヶ淵エリアは、比較的リーズナブル。下町の雰囲気が残る住宅街として、コストパフォーマンスを重視する方に人気です。
[タイプ別]墨田区の住みやすい駅
墨田区には9路線が走り、それぞれの駅周辺で異なる特色が見られます。
再開発が進む押上エリアから、下町情緒が残る曳舟エリアまで、ライフスタイルに合わせて住む場所を選べるのが特徴です。
特に子育て世帯向けのエリアと、一人暮らしに適したエリアでは、求められる環境や施設が大きく異なります。
家族構成やライフスタイルに応じて、おすすめの駅を詳しく見ていきましょう。
ファミリー向けのエリア
墨田区内でもファミリー層に特に人気が高いのは、押上、錦糸町、曳舟エリアです。
この項では、ファミリー向けのエリアについて詳しく解説します。
錦糸町
錦糸町駅にはJR総武線と東京メトロ半蔵門線が乗り入れていて、東京駅までは約9分、新宿駅までは約25分とアクセスに優れています。
錦糸町駅北口エリアは、大型商業施設「アルカキット」や「オリナス」があり、買い物環境が充実しています。
5.6万平方メートルの広さを誇る錦糸公園には遊具が充実し、テニスコートや野球場も併設。スカイツリーを眺められる公園として休日には家族で楽しむ姿も多く見られます。
駅前には24時間営業のスーパーやドラッグストアがそろい、共働き世帯の暮らしをサポート。南口の繁華街とは異なり、北口エリアは治安も良好で、家族で安心して暮らせる環境が整っています。
押上
押上駅にはスカイツリーがあり、周辺には東京ソラマチを中心とした大規模な商業エリアと、閑静な住宅街が共存しています。
区内でも特に交通アクセスが良く、以下の4路線が利用可能です。
・東京メトロ半蔵門線
・東武伊勢崎線
・都営浅草線
・京成押上線
一度乗り換えますが、東京メトロ半蔵門で東京駅まで約20分、渋谷駅までは乗換なしで約30分と交通アクセスも比較的良好です。
都心へのアクセスの良さから、共働き世帯にも人気があります。
すみだ水族館やコニカミノルタプラネタリウムなど、子どもの知的好奇心を刺激する施設も充実。
2012年のスカイツリー開業以降、セキュリティの整ったタワーマンションも増え、新しい家族向けの住環境が整備されています。
曳舟
曳舟駅周辺は、下町の雰囲気を残しながらも、タワーマンションなど近代的な住環境が整備されたエリアです。
東武亀戸線と東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)の2路線が通っており、東京駅までは東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)で約22分(乗換1回)と交通アクセスは良好です。
駅前には「東武ストア」や「まいばすけっと」などのスーパーがあるほか、大型商業施設があります。
さらに全長約470メートルの「キラキラ橘商店街」には惣菜店やパン屋が軒を連ねているので、日常の買い物に便利でしょう。
駅から徒歩13分の場所には江戸時代からの庭園「向島百花園」があり、四季の花々を楽しめます。
一人暮らし向けのエリア
墨田区で一人暮らしにおすすめのエリアは、両国、菊川、本所吾妻橋です。
いずれも治安が良く、スーパーやコンビニが充実しています。都心へのアクセスも良好なので、一人暮らしに人気のエリアです。
それぞれの地域を詳しく見ていきましょう。
両国
両国駅周辺は、都心へのアクセスの良さと歴史ある街並みが魅力のエリアです。
JR総武線と都営大江戸線が利用可能です。秋葉原までJR総武線で約4分、新宿まで約20分と通勤・通学に便利です。
江戸東京博物館では江戸文化に触れられ、横綱横丁にはちゃんこ料理など個性的な飲食店が充実しています。
さらに駅前には「両国江戸NOREN」は旧駅舎を改築した商業施設があり、カフェやベーカリーなどおしゃれな店舗も出店しています。
24時間営業のスーパーもあり、仕事帰りの買い物にも困りません。
隅田川沿いはジョギングコースとしても人気で、休日の過ごし方も充実しています。
菊川
菊川駅は、都営新宿線一本で新宿まで約20分という好アクセスと、落ち着いた住環境が特徴です。
駅前には「オオゼキ」「ライフ」などの大型スーパーがあり、深夜まで営業しているため買い物にも困りません。ファストフードやファミレス、定食屋など、一人暮らしに嬉しい飲食店も充実。
駅前だけでなく、住宅地の中にも街灯が整備されているので夜でも明るく安心です。
本所吾妻橋
本所吾妻橋駅は都営浅草線が通っています。
都営浅草線一本で羽田空港や東京の主要駅へアクセス可能な利便性の高いエリアで、品川駅には約25分で到着します。
徒歩圏内に観光スポットが充実しており、駅から浅草雷門まで16分、スカイツリーまで9分とアクセスも抜群です。
さらに駅から徒歩5分の場所にある隅田公園は約8万平方メートルの広さを誇り、ランニングや散歩を楽しむ住民も多く見られます。
「まいばすけっと」や「マルエツプチ」など、複数のスーパーが深夜まで営業しており、帰宅が遅くなっても買い物ができます。
毎年7月の隅田川花火大会では、迫力ある花火を間近で楽しめるのも本所吾妻橋の魅力です。
墨田区が行う子育て世帯向けの支援事業
墨田区では、出産・子育て応援金の給付や一時保育サービス、私立幼稚園への補助金など、充実した支援制度を整えています。
これにより、子育て世帯の負担を軽減し、安心して子育てできる環境を提供。
特に、ファミリーサポートとの併用が可能な制度は共働き世帯に好評で、人口増加にも寄与しています。
墨田区の子育て支援について詳しく見ていきましょう。
出産・子育て応援交付金給付(伴走型相談支援)事業
墨田区では、妊娠届出時に電子クーポン5万円分、出生届出後に電子クーポン10万円分が給付される「出産・子育て応援交付金」を実施しています。
この給付金は、保健師や助産師による面談を通じて、一人ひとりの状況に応じた支援プランを作成する「伴走型相談支援」と組み合わされています。
面談では、産後の生活への不安や、利用可能な子育て支援サービスについて相談できるため、初めての出産でも安心して準備を進められるでしょう。
参考:墨田区 出産・子育て応援交付金給付(伴走型相談支援)事業について(出産応援ギフト・子育て応援ギフト)(墨田区)
すみだ子育て支援ネットはぐ(hug)
「はぐ」は、区が認定した子育てサポーターが自宅を訪問して一時的に保育を行う、墨田区独自のサービスです。
対象は新生児から小学6年生まで。利用料金は1時間あたり500〜1,100円と手頃です。
利用要件となるのは以下の通りです。
・通院や急な用事の際の一時保育
・保育園・幼稚園児・小学校3年生までの病後児の保育(医師が記入した「診療情報提供書」が必要)
・冠婚葬祭・親族の看護時の保育
・療育施設(みつばち園・にじの子など)通園時のきょうだい児保育
墨田区には「ファミリーサポート」という制度もありますが、「はぐ」は緊急時の対応や病後児保育が可能で、より幅広いニーズに対応できる点が特徴です。
「ファミリーサポート」は利用理由を問わず利用できますが、病後児保育には対応していません。
参考:訪問型保育支援事業“すみだ子育て支援ネット「はぐ(Hug)」”(墨田区)
私立幼稚園等の補助金制度
墨田区では、私立幼稚園に通う園児の保護者向けに手厚い補助金制度を用意しています。
入園料補助として園児一人あたり最大70,000円を支給。保育料補助は上限月額31,000円が幼稚園に直接支払われ、実質的な負担が大幅に軽減されます。
申請は在籍する幼稚園を通じて行え、世帯の課税状況によっては31,000円を超える補助が発生し、その差額が保護者の口座に振り込まれます。
区内には「あさひ幼稚園」「江東学園幼稚園」など特色ある私立幼稚園が複数あり、教育方針に合わせた選択が可能です。
まとめ
墨田区は、充実した子育て支援制度と良好な交通アクセス、豊かな自然環境を備えた住みやすい街です。
スカイツリーに代表される近代的な商業施設と、下町情緒あふれる伝統的な街並みが共存しており、日々の暮らしに彩りを添えてくれます。
エリアによって特徴が異なり、ファミリー向けには押上や曳舟、一人暮らしには両国や菊川がおすすめです。
治安も23区内で比較的良好で、独自の防犯対策も充実。
子育て支援制度は「はぐ」や私立幼稚園補助金など、きめ細かなサポートが用意されており、若い世代の流入も増加しています。
利便性と居住性のバランスが取れた墨田区は、多様なライフスタイルに対応できる魅力的な街といえるでしょう。
墨田区で住まいを検討している方は、この記事を参考にぜひ、自分に合ったエリアを見つけてみてください。

<保有資格>
司法書士
宅地建物取引士
貸金業取扱主任者 /
24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。