家の購入前に問題点が分かる!住宅診断の費用やタイミングを解説

不動産を買いたい

「住宅診断の項目や費用を知りたい」「中古住宅の購入を検討しているが設備などに不安がある」と気になる方も多いのではないでしょうか。

住宅診断は、住まいの専門家が第三者の立場から住宅の状況を調査することを指します。近年では中古住宅の需要が高まっていることから、購入する前に住宅の状況や問題を確認する診断としても話題を集めています。有資格者による専門的な立場から住宅の状況を見てもらうことで、安心して家を購入する手助けにもなる診断です。

今回の記事では、住宅診断を行う際の流れや診断項目について解説していきます。タイプ別の住宅診断の費用やタイミングを知りたい方や住宅の購入に興味を持っている方はぜひ最後までお読みください。

住宅の現在の状況や問題の発見に繋がる住宅診断

住宅診断とは、専門家が第三者的な立場から住宅の問題を調査することです。

中古・新築住宅の購入を検討している人や、現在居住している家の問題点を発見したい人など、幅広い場面で利用されており、住宅の状況を客観的な視点で判断してもらう診断として利用されています。

住宅を購入する際の悩みを解消することや住居をリフォームすべきタイミングを知るきっかけにもなる住宅診断の種類や効果について詳しく解説していきます。

住宅診断の種類

住宅診断には、大きく分けるとホームインスペクションと建物状況調査の2つがあります。住宅の現状を調査するという意味では同じですが、調査しなければならない場所や診断できる有資格者が異なる点が特徴です。

・ホームインスペクション
日本でホームインスペクションと呼ばれているのは、民間事業者が行う住宅診断のことです。

2008年に設立したNPO法人日本ホームインスペクターズ協会が創立した、民間資格の住宅診断士(ホームインスペクター)が専門家として住居の検査とアドバイスを行います。診断項目や費用は事業者によって異なっているので、確認しておきたい項目によって診断を依頼する業者を検討しましょう。

後述する建物状況調査との違いは、ホームインスペクションは新築住宅も含めた調査を行いますが、建物状況調査は既存の中古住宅のみの調査を対象としている点です。

・建物状況調査

建物状況調査とは、国土交通省が定めた既存住宅状況調査技術者講習を修了した既存住宅状況調査技術者(建築士)が行う検査です。

国家資格を有する建築士が行う必要があり、調査すべき主な項目は「構造耐力上主要な部分」と、「雨水の浸入を防止する部分」です。2018年4月より施行された改正宅地建物取引業法により、中古住宅を取引する際に建物状況調査の実施有無の説明が義務化されました。実際の業務で建物状況調査に関する実施有無の説明が必要になるのは、「媒介契約」「重要事項説明」「売買契約」を行う3つのタイミングです。
詳細は国土交通省が発表している 住宅瑕疵担保制度ポータルサイトをご確認ください。

※既存住宅状況調査技術者講習…既存住宅を調査する人材の育成や検査の質の向上等を目的とした講習であり、家を売る人も買う人も安心して取引するための制度。

参考: 既存住宅状況調査技術者講習制度について(国土交通省)

住宅診断を実際に行う場合は、調査したい項目がどの診断に当てはまるのかを事前に確認しておくことが重要です。ホームインスペクションの場合は、中古や新築の住宅に関わらず診断してもらうことができるので、新築住宅の購入を検討している人も依頼が可能です。建物状況調査に関しては、主な項目だけでなく設備の点検をオプションで追加してもらえる場合もあるので、診断できる項目を確認しておくことが大切です。

住宅診断の効果

住宅診断を行うことで得られる効果は、住宅の購入や売却の前に問題点や状況が分かることです。

ホームインスペクション及び建物状況調査のいずれも、プロの目線でさまざまな項目の調査を行います。住居の屋根や軒裏など外回り、室内の床や天井が劣化していないかなどを確認することが可能です。

中古住宅の購入を検討している場合は、安心して長期間住める家がどうかを判断する材料にもなります。また、住宅のどの部分のリフォームやリノベーションを実施するべきかを検討する上でも役立つでしょう。住宅の購入前の不安を解消することや、売却や購入のトラブル回避のもつながる点も住宅診断のメリットといえます。

住宅診断の主な診断項目

住宅の屋外や室内等をくまなく調べることで、問題点や欠陥がないかを確かめることが診断の目的です。

住宅診断の診断項目は各事業者によって異なり、詳細には100項目以上の診断を行う場合もあります。新築や中古、マンションなど住宅の種類や診断を実施する目的によっても診断項目は異なりますが、ここでは住宅診断で実施される主な診断項目について解説します。

主な診断項目
外回り(外構)基礎、外壁、軒裏、屋根、バルコニー
室内壁、柱、床、梁、天井
床下土台及び床組、基礎、床下面
天井裏・小屋裏梁桁、小屋組、各階間の天井裏、小屋裏
設備給油、給水、排水、換気、火災報知器

上記の診断項目以外にも、各事業者が作成したリストに基づいて検査が行われます。診断項目の数によって検査にかかる時間は異なりますが、一般的には一戸建ての場合は3~5時間、オプションを足すとさらに時間を要することをイメージしておきましょう。

外壁や基礎などのひび割れや床下の水漏れ、設備の動作確認など診断項目ごとに確認事項が設定されており、専門家が劣化状況や住宅の状態の調査を行います。住宅診断を行った後の報告書の作成には1週間程の期間を要するので、事業者に依頼してから実際に作業に取り組んでもらう期間と合わせると約2~3週間程度です。

住宅の広さや使用している建材によっても検査する項目は異なります。築年数が長い住宅の場合は外壁や屋根、水回りの項目、木造住宅ではシロアリの被害や雨漏りによる腐食がないかなど、住宅の種類によって重点的に確認する項目があります。中古や新築、築浅など住宅の条件に合わせて依頼する事業者を選びましょう。

住宅診断の流れ

住宅診断を実際に利用する場合は、住宅診断を行う会社へ問い合わせをしてから報告書を受領するまでの流れがあります。各事業者によっても手順や内容が前後することもありますが、ここでは一般的な利用の流れを解説していきます。

住宅診断の大まかな流れとしては、上記の図で表した通りです。

住宅診断を行う事業者のホームページや電話番号からお問い合わせして、希望する住宅の詳細について伝えます。診断内容や料金に問題がなければ診断を申し込みましょう。後日、平面図や立面図などの必要書類の送付を行います。依頼者の他に売主や仲介業者とも予定を合わせて、実施日を決めた後に住宅診断が行われます。診断結果の報告を受けて、代金を支払うと完了です。

中古住宅の購入を検討している場合は、他の人も同じ住宅の購入を考えている可能性があるので、住宅診断の申し込みから完了までをスムーズに行うことが大切です。新築住宅の場合は、物件の引渡し前に検査を行うことで、引渡し後に発生する問題のリスクを軽減できます。また、依頼から住宅診断までのスケジュールをあらかじめ立てておくことで、書類の準備や日程調整が遅滞なく進められます。住宅の購入やリフォーム、リノベーションの検討など診断する目的に合わせて依頼する事業者を選択しましょう。

〔タイプ別〕住宅診断の費用とタイミング

住宅診断を行う住宅の種類を大きく3つのタイプに分けると「中古一戸建て住宅」「新築一戸建て住宅」「マンション」があります。住宅によって診断のタイミングや費用が異なるので、実際に住宅診断を受ける際は、タイプに合った診断を選ぶことが大切です。

住宅診断にかかる費用は事業者によって異なりますが、一般的な住宅診断にかかる費用やタイミングを知ることで依頼する事業者を選ぶ際の参考にもなるでしょう。また、中古や新築の戸建住宅、マンションの住宅診断の特徴や違いについても詳しく解説していきます。

中古一戸建て住宅

中古一戸建て住宅とは、建築後1年以上で過去に人が居住したことのある戸建住宅です。
建築後1年を経過していても、人が居住したことのない物件については未入居物件といいます。

中古一戸建て住宅
費用約4万円~7万円
タイミング住宅の売買契約前、住宅の売買契約後の引渡し前
特徴中古住宅の経年劣化や設備の耐久性が発見できること

中古住宅の需要は近年高くなっており、住宅の設備の状況を把握することや問題点が見つかる住宅診断が注目を集めています。中古一戸建て住宅の住宅診断にかかる費用は、一般的に4万円~7万円です。所要時間は住宅の広さや構造、診断項目の数によって異なりますが約2~5時間ですなお、中古住宅の経年劣化によるひび割れや変色、壁の塗装剥がれなど、住宅の細部まで専門家に調査を依頼したい場合は、状況に応じてオプションの診断項目を追加しましょう。

中古一戸建て住宅の住宅診断を行うベストなタイミングは、住宅の売買契約前です。
中古住宅の売買契約が成立する前に住宅診断を行うことで、住宅に重大な欠陥や問題点が見つかった際の対応を売主に依頼することができ、事前にトラブルを回避することにも繋がります。また、家の状態をあらかじめ知った上で購入できるので、安心感や納得感が得られるでしょう。

中古一戸建て住宅を購入することが決定している場合は、売買契約後の物件の引渡し前に住宅診断を行うことにメリットがあります。住宅診断を売買契約前に行う際との違いは、売買契約が成立しているので他の人に物件を購入されてしまう心配がない点です。

新築一戸建て住宅

新築一戸建て住宅は、建設工事完了の日から1年以内のもので人が居住したことがない戸建住宅です。
上記は国土交通省が定めている「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定義づけされています。

新築一戸建て住宅
費用約5万円~7万円
タイミング住宅の売買契約前
特徴建設前や建設途中の住宅の診断を依頼できる場合があること

新築住宅は、工事の完了時に建築主事による完了検査を受けており、建築基準法に則った内容であれば検査済証が発行されます。新築一戸建て住宅の住宅診断にかかる費用は、一般的に5万円~7万円です。所要時間は住宅の広さや診断項目の数によって異なりますが約2~3時間です。住宅の建設時や検査による充分な確認が行われている住宅ですが、より安心して住宅を購入する上では住宅診断を受けておくことが重要です。

新築一戸建て住宅の住宅診断を行うベストなタイミングは、住宅の売買契約前です。
新築住宅は完成物件だけでなく、建設前や建設途中の物件の売買も含まれます。完成物件の購入を検討している場合は、売買契約が成立する前に住宅診断を行うとよいでしょう。工事や検査の際に発見できなかった瑕疵や大きな欠陥が見つかった場合も購入をやめるなどの対処ができるからです。新築物件に問題点があった際は、売主や建築会社などに補修を求められるケースもあるので、売買契約前に住宅診断を依頼しましょう。

建築前や建築途中の住宅の住宅診断は通常の診断よりも回数を重ねることで費用が高くなることが多いので、住宅診断を行う会社と相談した上で行う必要があります。

マンション

マンション
費用約5万円~6万円
タイミング住宅の売買契約前、居住中の住宅のリフォーム・リノベーション時
特徴マンションの構造像上の不具合や専有部分の欠陥が発見できること

マンションの住宅診断は、専有部分と共有部分の目視検査を行います。一般的にマンションの住宅診断にかかる費用は5~6万円程度です。

マンションは集合住宅なので、建物内すべての部屋を確認するわけではありません。居住中や購入を検討している部屋の室内やベランダなどの専有部分と共用廊下、エントランスなどの共用部分の検査を実施します。中古・新築に関わらずマンションの設備や問題点を知っておきたい人は売買契約前に住宅診断を行いましょう。

また、マンションの外壁やエントランスなどの構造上の不具合、購入を検討している部屋やベランダなどの専有部分の欠陥を見つけることができるので、住宅の購入前の不安を解消しておきたい人にも向いているといえるでしょう。

住宅診断は事前に不安を解消したい人におすすめ

住宅診断は、住宅の購入を検討中で事前に不安を解消したい人向けの診断です。

住宅の売買契約を結ぶ前に住宅診断を実施することで、専門家の立場から見て住宅に問題点や欠陥がないかを調べることができます。中古住宅の購入を検討している人であれば、住宅そのものの老朽化や設備の耐久性について知っておきたいと思うのではないでしょうか。また、新築住宅の欠陥や問題点がないかを確認するタイミングでも住宅診断は役立ちます。

居住中の家のリフォームやリノベーションを検討している人は、家のどの部分を改修した方がいいのかを知ることもできます。住宅を購入する場面や改修を加える前に不安を解消したい人に向いているのが住宅診断です。

【住宅診断をおすすめしたい人】
・安心して中古住宅を購入したい人
・住宅の問題点や耐久性を事前に確認したい人
・住宅のリフォームやリノベーションを検討している人
・新築住宅の欠陥がないかを第三者の目線で調査したい人
・住宅の購入後のトラブルを減らしたい人

最後に

住宅診断を行うことで、家を購入する際の不安や悩みを解消できます。
新築・中古に関わらず大きなお金を動かす住宅を購入する場面では、事前に家の問題点や欠陥を見つけておくのがおすすめです。

事業者によって診断項目や料金が異なるので、診断を申し込む前に内容を確かめておきましょう。また、特に気になる箇所や調べたい部分がある人はオプション料金を支払うことで、住宅の詳細まで調査することが可能です。

第三者の目線から住宅の調査を行う住宅診断は、売買契約が整理する前に行うことで購入後のトラブルを減らすことができます。家の購入をサポートする上で役立つ住宅診断を住まい選びの際に利用してみてはいかがでしょうか。

【監修者】大石 裕樹

【監修者】大石 裕樹

<保有資格> 司法書士 宅地建物取引士 貸金業取扱主任者 / 24歳で司法書士試験合格し、27歳で司法書士として起業。4年で日本一の拠点数を達成する。現在は、不動産の売主と買主を直接つなぐプラットフォーム「スマトリ」を立ち上げ、不動産業界の透明性を高め、すべての人にとって最適な不動産売買を安心安全に実現するため奮闘中。

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